過酷な事件の真相に対し、小栗旬も星野源も決して我を忘れない

始まって10分も経たぬうちに背筋がゾクリとする瞬間が訪れ、その後も、子供時代に犯人に加担したかもしれない贖罪の側と、時効になった大事件に取り組む記者の両面から、じわじわと、しかもテンポよく真実に迫っていくので、とくに両者がひとつになるまでの前半は一瞬の緩みも与えない。やや複雑な事件の全容も意外なほどすっきり頭に入ってくる。
登場場面がわずかな人物たちを、適役キャストが、その人の過去の人生まで思い起こさせるように名演し、圧巻である。主演2人が、あえて熱演を抑えたのも効果的。
実際の事件はあくまでモチーフだが、「キツネ目の男」の似顔絵を記憶している人は、全編、どこか不安な感覚を味わい続けるだろう。