幻想的な調べにのせて伝える骨太メッセージ

2020年10月31日 中山 治美 ウルフウォーカー ★★★★★ ★★★★★

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ウルフウォーカー

カトゥーン・サルーンのケルト三部作の中で、最もメッセージ性の強い作品だ。時は中世。アイルランドにとって因縁の仲であるイングランドが入植し、植民地化した史実が背景にある。暴君と化したイングランドの護国卿はさらに、森林の開拓という大義名分を盾に脅威の対象であるオオカミを駆逐しようとする。異人種や思想の異なる人たちを敵とみなし、攻撃する人間の愚行を容赦なく見せるのだ。その中で育まれる少女とオオカミの力を持つウルフウォーカーの友情は、美しく尊い。愚かな歴史を繰り返し続ける我々に、製作陣が一筆一筆に込めた次世代の若者たちに託した思いに涙する。

中山 治美

中山 治美

略歴:茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。日本映画navi、全国商工新聞、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、BANGER!、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況:本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

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