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劇場版『アンダードッグ』【後編】 (2020):映画短評

劇場版『アンダードッグ』【後編】 (2020)

2020年11月27日公開 145分

劇場版『アンダードッグ』【後編】
(C) 2020「アンダードッグ」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

なかざわひでゆき

命を賭けた真剣勝負の凄みと気迫に圧倒される

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 いよいよ森山未來と北村匠海が互いに譲れない対決試合へ挑むことになる後編。今回も前編同様、終盤の壮絶なラストマッチが最大の見どころで、それこそ命を賭けた真剣勝負の凄みと気迫に圧倒されっぱなしとなる。日本映画でこれほどの死闘はなかなかお目にかかれないだろう。と同時に、前作で下ごしらえされた彼ら周辺の人間模様も絡み合いはじめ、それぞれが人生の再起へ向けて動き出していく。一度転落してしまった人間が這い上がるのは決して容易なことではない。その揺るぎないほどの厳しさの中に、どうしようもなく不完全な人間に対する深い愛情が滲み出る。是非とも、前後編を一気に続けて見て欲しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

誰よりも“負け犬”になった者の反撃に泣く!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 「前編」で落ちるところまで落ちてしまった森山未來ふんする主人公。そんな究極の負け犬の這い上がりが「後編」のドラマの肝。

 前作では希薄だった主人公のトレーニング・シーンが一気に増える。そこに浮かぶ彼の“本気”。前作の群像劇スタイルも主人公VS北村匠海へと少しずつ移行し、『ロッキー』スタイルの熱い物語へと変容する。森山のボーッとした表情が、どんどん険しくなるのがイイ。

 「後編」だけを見る人はいないと思うが、当然本作は「前編」から見ないと意味がない。だからこそ、の泣けるドラマ。年明けから配信されるドラマシリーズは、より群像劇の要素が濃いというが、こちらも楽しみになってくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

前編から観続けるか、時間をおいて観るかで印象も変わるかも

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

「やっぱ、これだよな」とボクシングの魔力から逃れられない主人公の心情だけでなく、周囲の人間関係や、さりげなく笑いをとるシーンなど、前編以上に「ドラマ」が意識される。
似たスタイルと状況で製作された『あゝ荒野』もそうだったが、前編のクライマックスが異様に盛り上がるだけに、この後編はそのテンションを超えられず。全体として、後編の闘いこそ主人公のすべてを懸けたものになるはずが、前編の死闘が幻影のように邪魔をする。作品単体としてはよくできている(それでも内容を考えると2時間半は長い)のに、2部作の中の立ち位置としては物足りない印象。
ラストは素直に熱く感動させるので、とりあえずすべてを観届けてほしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

日本映画が「ちゃんと輝く」ために

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ひとつの「総力戦」の趣がある。武正晴&足立紳の黄金タッグのもと、素晴らしい座組みで作り上げたセントラル・アーツの魂を受け継ぐスコセッシへのアンサー(『レイジング・ブル』のマスカーニならぬブラームス!)。前・後編で4時間半強、少しも弛まないどころか激しく熱くなる。

『百円の恋』を安藤サクラ以外で『万引き家族』に補助線を引けないものかと思っていたが、この「アンダー」のザラついた実相から立ち上げた王道の娯楽映画は従来の日本映画の文脈を世界性に接続させるかもしれない。二ノ宮隆太郎(助演賞級)があのトラヴィス(『タクシードライバー』)を背負う展開にも痺れ、渡辺紘文との共演シーンも結構事件!

この短評にはネタバレを含んでいます
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