「宝町」と化したえんとつ町

原作者が実体験する「出る杭は打たれる」な社会的テーマ性や、『海獣の子供』からスゴいことになった芦田愛菜やジャイアンキャラもイケることを実証した伊藤沙莉など、ジブリを狙った俳優中心のボイスキャストの好演が光る。ただ、町を統治する中央銀行とレジスタンスとの関係性など、より世界感を広げたことで、絵本原作の持つオリジナリティが失われてしまった感アリ。なにしろ、えんとつ町は道頓堀入った「宝町」で、そこで健気に生きるプぺルとルビッチは「クロとシロ」。そんなSTUDIO 4℃での制作を適材適所と取るか、『鉄コン筋クリート』の呪縛から逃れられなかった、と取るかで評価は大きく変わってくる。