皮肉な程に素晴らしい世界

社会復帰を目指す元ヤクザと彼を巡る人々の時代と社会の趨勢を感じさせるドラマ。『ヤクザと家族』と対にして見るとまた面白い。
本作で初めて原作モノに手を出した西川美和監督ですが、カラーは健在。
そして、トリックスターの役所広司が何とも言えない苦笑いを誘います。純粋なガキ大将がそのまま老年に差し掛かったようなキャラクターは、お近づきになりたいようななりたくないような存在です。
彼を囲む役者たちも絶妙な配置でいい具合に振り回されます。そして唐突に現れるペーソスあふれる結末にまたやられます。