なりすまし聖職者が信仰の本質をつく

美女にバカにされて思わず「自分、神父ですから」と見栄を張った前科者ダニエルが分断した村を再生、というおとぎ話のようでいて苦さが残る贖罪ドラマ。最初から最後まで、主人公が本当に生まれ変わったとは思えない点がリアルだ。演じるP・ビィイレニアが悪人から聖人までを巧みに演じわけていて、見事! 聖職者として尊敬を集めるうちにその気になった青年が型破り神父として善行を始めるが、ここで問われるのがキリスト教徒としてのあり方。「罪を許し、人を憎まず」は言うは易く、行うは難しだ。そして敬虔な村人に信仰の本質を思い出させたダニエルが得たものは? 信じるものは救われるはずだが、そうでない場合もあるね。