モラルの矛盾を問うパワフルなストーリー

いつかは絶対バレるに違いない嘘をついている主人公ダニエル。そんな彼の行動に、終始、ハラハラさせられ、また、笑わされる。しかし、そんな中で、映画は、この小さな街に潜む嘘と偽善を明かしていき、神と語ることができる権利を持つのは誰なのかという大きなテーマを問いかけていくのだ。自分の中に隠れていた才能に目覚め、それを謳歌しつつも、ダニエルが完全に成長して違う人になったりしないところもリアルで共感できる。ダニエルを演じるバルトシュ・ビィエレニアの、個性的でどこか強烈な表情も目を惹きつけるし、シネマトグラフィーも美しい。ラストシーンは、ビジュアル的にも、ストーリー的にも、心に残る。