メロドラマな古典が笑える感動作として蘇る

ディケンズの自伝的作品がモンティ・パイソン風なコメディに! 主人公デイヴィッドを取り巻くのは、エキセントリックな叔母や借金漬けだが楽天家の里親、野心家の事務員など風変わりな人物ばかり。次に何が起こるの?とワクワクさせる。ドタバタ喜劇的な要素を巧みに繋ぎながらも原作を損ねていないあたりが、コメディの鬼才A・イヌアッチ監督のセンスだろう。児童搾取や階級差が生む弊害といった暗い部分にも洒落が随所に忍ばせられていて、ユーモラスだ。また数奇な運命を経て作家になる青年役をD・パテルが演じていて、人種にこだわらずにキャラクターに最適な役者を当てる演劇的なキャスティングも非常に興味深い。