何気なく発せられる言葉にハッとする

タイトル通り、“お嬢様あるある”を嘘臭くなく描くほか、日頃から富裕層と地方出身者が感じる壁、「結婚」についてなど、男と女が感じる壁、そして価値観の違いをも、キッチリ丁寧に描いていく。『ここは退屈迎えに来て』に続き、門脇麦と山内マリコ原作との相性は抜群だが、対する水原希子もこれまでのイメージをブッ壊してくれるほどの好演。そんな一見、反対に見えるキャスティングも見事だが、なにより岨手由貴子監督の力量が光る。男性キャラについては賛否ありそうだが、淡々と進んでいく物語の中、「私たちって、東京の養分だよね」など、何気なく発せられる言葉に時折ハッとさせられるほど、力強い一作。