"アジア的なるもの"を描く色、形、所作が美しい

2021年3月3日 平沢 薫 ラーヤと龍の王国 ★★★★★ ★★★★★

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ラーヤと龍の王国

 現実に存在する特定の国ではない、"概念としてのアジア的な世界"を描く映像が魅了する。ジャワの影絵芝居を連想させる映像で始まり、夜の河に花を流し、東洋武術の動きで格闘する。色も形も所作も、アジアの意匠を下敷きにしつつ、アニメーションという形式だからこその抽象化、デザイン化を駆使。その抽象化を、石の表面の手触りまで伝わるディティールの緻密さが支えている。
 そして人々はみな"人間を超える崇高なもの"---この物語ではそれは"龍"の形をしている---を敬う。その"敬う"という概念が身についているので、誰もがそれに出会うとおのずと敬いの仕草をする。この現実のアジアでは失われつつある所作が美しい。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「日経エンタテインメント!」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:アニメシリーズ「インビンシブル〜無敵のヒーロー〜」@Amazonプライムを視聴中。クリエイターが「ウォーキング・デッド」の原作コミック作者ロバート・カークマンなので、第1話のラストから「おおっ!?」な展開。全8話と短めだし、最後まで見届けないと。

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