伝記ドラマ?NO!天才の思考に関する考察

“思考に注意なさい。思考は生きて、遠くへ行く”というセリフがあるが、本作はテスラの思考世界をビジュアル化する試みというべきか。
年代を追ったいわゆる伝記ドラマではないし、時代考証を重視した歴史劇でもない。現代の視点でテスラを見つめ、当時はなかったインターネットや、その先のデジタルの可能性にも言及。未来を見つめていたテスラの思考に驚かされる。
ラップトップや「ルール・ザ・ワールド」の歌唱なども飛び出す、タイムレスな感覚はシェイクスピア作品を現代劇のドラマとして蘇らせたアルメレイダ監督らしさとも言えよう。思考に注意しきれなかった男の悲劇としての映画の着地も、上手い。