信憑性があり、余韻を感じさせる結末もいい

ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンの妖艶なシーンがあるということで早くから話題を呼んだが、そこに至るまで、いや、ふたりの間に友情に近いものが生まれるまでにも、じっくりと時間をかけるところが今作の強み。孤独でストイック、他人に心を開くことができない古生物学者(ウィンスレット)が思いもかけずに世話をすることになった若い女性(ローナン)に対してもつ微妙で複雑な感情とその変化を、ウィンスレットはせりふなしで見事に表現してみせるのだ。現代を代表する演技派のひとりである彼女にとっても、これはキャリア最高の演技のひとつだと思う。信憑性がありつつ、フェアリーテール的な余韻ももつ結末もいい。