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明日の食卓 (2021):映画短評

明日の食卓 (2021)

2021年5月28日公開 124分

明日の食卓
(C) 2021「明日の食卓」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

追いつめられていく日本の母親たち

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 経済的に恵まれた家庭の古風な専業主婦、仕事と家庭を両立して夢を追いかける共稼ぎのフリーライター、子供に不自由させまいと幾つもの仕事を掛け持ちするシングルマザーと、たまたま同じ名前の息子を持つ3人の平凡な女性たちが、完璧な母親であろうとするがあまり児童虐待やネグレクトへ追い込まれていく。子供を産み育てる女性に画一的な理想の母親像や責任を一方的に押し付けながら、しかしその一方で母親という仕事の重みが往々にして軽視されがちな日本社会の在り方に疑問を呈する作品。サスペンス仕立てのストーリー展開は時として作為的に感じられなくもないが、しかし迷える母親たちの直面する苦悩と葛藤には生々しい説得力がある。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

女性は、良き母親の理想に縛られすぎなのかも。

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

同じ名前の息子を持つシングルマザーと共働きの母親、専業主婦それぞれの人生模様が描かれる。よく耳にするワンオペ育児だけでなく、イジメや介護問題、突然のリストラに心の弱みに漬け込む新興宗教勧誘などなど母親が遭遇する障害が多く、生きにくい時代であると実感。しかも子ども側の事情や心情も複雑で、10歳にして悩みだらけ。社会が多様化し、生き方の選択が増えた結果なのかも? 完璧な幸せなどないと心に刻むべし。女優陣が素晴らしく、壁にぶち当たるたびに込み上げる思いが見る側にダイレクトに伝わってくる熱演だ。余談になるが、離婚家庭でもない家庭ですら育児に関して父親の影が薄いのが気になった。これも問題ですな。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

やはり母は強し

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

原作の文字情報だけだからできた展開は敢えて控えめにして王道の映像化をしたという印象の一作。
尾野真千子のタフな母親像はこれまで見てきましたが、菅野美穂、高畑充希の母親役は意外に少なく新鮮でした。3人のヒロインが全く交わらないという作りも重い炉かったです。三つの物語が独立してある一方で、ちゃんと一本の映画になっているというなかなか難しいことやってのけています。さすがは瀬々敬久監督だなと唸る一本です。
ベタでもはや時代遅れな表現の言葉と言われるかもしれませんがやはり“母は強し”を感じる一本でした。

この短評にはネタバレを含んでいます
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