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SNS-少女たちの10日間- (2020):映画短評

SNS-少女たちの10日間- (2020)

2021年4月23日公開 104分

SNS-少女たちの10日間-
(C) 2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia, Helium Film All Rights Reserved.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

なかざわひでゆき

ネット上で未成年を狙う変態オヤジたちの醜悪な滑稽さ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 外見が幼く見える成人女性3人に12歳の少女を演じさせ、SNS上で未成年に接触してくる男たちの実態を捉えた衝撃のドキュメンタリー。未成年を相手に己の剥き出しの性欲をぶつけてくる大人たちの浅ましい言動はまさに恐怖だが、しかし同時に、PCやスマホの向こう側で大勢の撮影スタッフに見られているのも知らず、あられもない醜態をさらす変態オジサンたちは滑稽でもある。これは本編中でも言及されるが、結局やつらは小児性愛者というよりも、年端のいかぬ無知な子供なら簡単に騙したり脅したりして好きに操れると思っているクズばかりなんだよね。果たして、児童ポルノ大国と呼ばれる日本で同じことをしたらどうなるのだろうか。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

辛くても使命を果たしてくれた女優さんたちに拍手

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

大胆かつ実験的なやり方で、現代に蔓延する悪を暴露してくれたことに拍手。いくら実際にはもっと歳が上の女優さんだからといって、毎日連続で見知らぬ男たちから卑猥な言葉をささやかれ、映像や写真を見せられるのは相当に苦痛だっただろう。でも、彼女たちは常にしっかり自分をコントロールし、立派に使命を果たしてくれた。彼女らに連絡してきた男たちの数、その中で純粋な会話だけを求めていた普通の人がひとりしかいなかったという事実に、これが氷山の一角であることが表れている。子供たちが晒されている大きな危険を表に出し、社会に問題提起するのだから、どっきりカメラ的なこのアプローチにも疑問は感じない。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

一方通行の欲情を誘発するネット社会の現実。不快だけど必見

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

マイケル・ムーア的に、相手をハメて悪を告発するスタイルだが、内容が内容だけに全編に異様な緊張感がとぎれず、終盤の修羅場まで一気の勢い。基本的に不快なシーンのオンパレードの中、一瞬、救われるドラマがあったりするし、弁護士や医師ら専門家のコメントが効果的で、全体の構成もうまい。相手側の男たちの顔のボカシが、目や口周りの表情がわかる程度なのも、リアルかつスリリングである。
未成年に対する誘発、強要が、ネット社会でどんどんイージーになっている現実は、わかりきったことだが、その闇は深すぎると実感。告発よりもセンセーショナルを優先させたような、やりすぎな演出も感じつつ、現代の問題を直視する意味では必見。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

ネット界に跋扈するすけべ男の闇は深い

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

生まれた時から人生がネットと繋がっている少年少女は気軽に電脳世界で友達作りをしているけれど、実は落とし穴もある。そんなネットの闇を赤裸々に炙り出す快作だ。ネット上の交渉が性的でも実際の行為が伴わない限りは児童虐待と思わない人もいるようだが、「それ、犯罪だから」と言いたくなるおぞましい言動が続き、警察の介入も当然と思う。劇中では顔がぼかされているプレデターたちのむき出しのすけべ心は笑えもするが、邪悪さを感じる男もいて恐ろしい。12歳のふりをした成人女性でさえトラウマになっているようで、これが本当の少女だったらと胸を痛めてしまう。たった一人だけいた普通の青年はまさに一服の清涼剤だった。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

おっさんオオカミには騙されない

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

自分の一時の性欲を満たすために子供たちを利用するおっさんへの“戒め”ドキュメンタリー。前半は精神科医や性科学者らが待機し、被験者をサポートするなかでのリアリティ番組風。ヌードモデルとのアイコラ画像で釣ろうとするスタッフの底意地の悪さが垣間見られるなか、ホイホイ釣られたおっさんたちの「そんなに性器を晒したいか?」な状況には呆気に取られるばかり。そして、後半は当の本人たちに接触するスリリングな展開に突入。隠しカメラ&マイクで挑む姿は、もはや潜入捜査官か、バラエティ番組のどっきりかという趣きだ。それにしても、“イケメン=いい人”展開は出来過ぎたエピソードすぎないか?

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相馬 学

胸糞の悪くなるようなネット上の現実に対する、告発

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 SNSと、それを利用している人間の欲望の関係を俯瞰する。これは興味深い。

 無防備な12歳の少女(を装った20歳以上の女性たち)がSNSにアクセスした途端、殺到する男たち。そのほとんどが、性的欲求を満たすためだ。ただただ、おぞましい現実。一方では、幼い子どもに、簡単に端末機器をあたえてしまう親たちの思慮の浅さが見えてくる。

 どっきりカメラのようなやり方には疑問を覚えるが、虎穴に入らずんば虎子を得ず……という作り手の覚悟は潔い。やり方はラジカルでも、本作は人間の心の闇を鋭く見据えている。そういう意味では、正しい告発ドキュメンタリーだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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