“本番”やらせた衝撃より、テーマを最後まで貫く潔さに感銘

2021年4月25日 斉藤 博昭 愛のコリーダ ★★★★★ ★★★★★

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愛のコリーダ

フィックスのカメラで収める濃厚な絡みなど、やってることは過激だけど、監督の視線は徹底して冷静。人間の本能としての性の歓びを追求した、一種の観察記を観ている感覚。ラブストーリーでもあるけれど、それ以上に、ひたすら「やりたい」という、ただそれだけの映画だが、余計なドラマに逸れることは一切なく、今こうした映画を撮るのは不可能だと痛烈に感じる。そのまっすぐさが、作品にピュアな誠実さを与え、大島監督の裁判での「わいせつ、なぜ悪い」という名言も時を超えて心に響く。
題材が男性の局部をチョン切った阿部定事件なので、つねに痛みの予感が漂い、緊張の糸もとぎれない。過剰な色づかいの誘惑も、デジタル修復ならでは。

斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴:1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況:例の接待問題で軽く話題になっている、洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」で、4月に何回か放映される「ザ・シネマ レコメン道場」という新番組に出演しています。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

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