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ジェントルメン (2020):映画短評

ジェントルメン (2020)

2021年5月7日公開 113分

ジェントルメン
(C) 2020 Coach Films UK Ltd. All Rights Reserved.

ライター8人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.1

なかざわひでゆき

久しぶりに初期のガイ・リッチー節が炸裂!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 世界に冠たる紳士の国イギリスを舞台に、大麻ビジネスで大儲けした成金ヤンキーが現役を引退しようとしたところ、その利権に群がる有象無象の連中が熾烈な争奪戦と騙し合いを繰り広げる。生まれも育ちも卑しいけどハートは生粋のジェントルマンなアメリカ人犯罪者が、社会的には立派なジェントルマンだが中身は寄生虫みたいな大富豪や英国貴族たちを手玉に取る…というのがなんとも皮肉。これをアメリカ人が撮ったら嫌味になるものの、英国人のガイ・リッチー監督だから洒落になる。ノリ的には初期のガイ・リッチー節が全開で、確かにいろいろと既視感はあるものの、なんだか懐かしい友人と再会したような嬉しさと楽しさがある。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

チンピラは今や昔、リッチーが頂上決戦に挑む!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『ロック、ストック~』『スナッチ』などのロンドン下町犯罪ドラマのハードだが軽妙なノリが完全に甦った、G・リッチーの新作。

 先述の作品と異なるのは、描かれるのがチンピラたちの右往左往ではなく、裏社会のてっぺんの争いであること。カリスマ的なワルの魅力という意味ではギャング映画としてしっかり成立しているし、リッチーの犯罪映画らしいユーモアも健在で嬉しくなる。

 H・グラントふんする食わせ物のジャーナリストが執筆した架空の映画の脚本を狂言回しにして物語は進行するが、この人を食った作りも面白く、彼の話がどこまで事実なのかというミステリーも興味を引く。そんな凝った作りに、リッチーの円熟を見た。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

芸達者なキャストが全員悪人

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『キングスマン』のような英国紳士らしさを期待すると、ちと違うものの、そこは『アラジン』でオトナの仕事をやってのけたガイ・リッチー監督作。マシュー・マコノヒー演じるアメリカ人の大麻王や、ヘンリー・ゴールディング演じる中国マフィアなど、ちょいと変化球を入れつつも、やってることは長編デビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』の頃と何も変わらず。20年も同じようなことをやっていれば、しっかり自身のスタイルとして成立する仕上がりだ。脚本的にはイマイチだが、芸達者なキャストたちが楽しそうに悪人を演じているうえ、セリフなど随所に映画愛を感じられるので、★おまけ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

一周回って原点に戻ったガイ・リッチーの痛快作

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

大麻ビジネスをめぐって入り乱れる有象無象のキャラクターを見事に捌き、時間軸を自由に動かし、皮肉なユーモアも交えた遊ぶ心たっぷりの脚本にニヤリ。ガイ・リッチー監督の初期作品を思わせるテイストのクライムものだ。特に笑えるのがC・ファレル演じるジムのコーチと彼に鍛えられている不良少年軍団。お揃いのトラックスーツ姿で一攫千金YouTuberを目指し、犯罪の記録をネットに残すボンクラ軍団の尻拭いをするコーチの善良さは犯罪が横行する物語の一服の清涼剤? 優れた頭脳で下剋上を成したヤンキーより、イギリス下町でそれなりに生きるラッドに共感しきり。それにしてもH・グラントは卑劣なキャラがお似合いになったなぁ。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

まだまだ感覚は衰えてないぜ、と監督の余裕とプライドがみなぎる

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

主人公が壮絶な運命に見舞われる冒頭から、一癖も二癖もありそうな展開を予感させる。ガイ・リッチー監督、自身がブレイクした頃のノリをぶちかます。セルフ・ノスタルジーが愛おしい。
その懐かしい感覚は、デジタルじゃなく映画=フィルムにこだわる探偵のキャラなど、随所にちりばめられ、パワーはあるが経験は浅い若造の悪党どもに対し、オヤジたちの腕が上回る展開に、まだまだ最前線の映画作家だというリッチーの自負が重なる。映画をネタにした脚本のヒネリにも遊び心が。
要所のアクション演出は切れ味があるし、キャストが総じて悪ノリしすぎず、ちょうどいいレベルの怪演を心がけ、エンタメとして観やすい作りになっているのでは?

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ガイ・リッチーはやっぱりこうでなくっちゃ!

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 やっぱりガイ・リッチー監督の本筋はコレ。英国流の粋なセリフの応酬、スタイリッシュなのに笑える味、互いに騙し合う"語り"="騙り"の魅力も、すべて処女作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』直系。『ロック~』冒頭ではジェイソン・ステイサムが路上で"騙り"を披露したが、今回はヒュー・グラント扮する脚本家志望のゲスな私立探偵が事実を脚色して語り、監督が観客に"騙り"を仕掛けてくる。
 さらにこの監督の得意技、ナレーションを多用して長セリフでノリを生み、そのノリで映像のリズムを作る技法も炸裂。今回はマンチェスターのラッパー、バグジー・マローンが出演、この技をさらに進化させている。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

ガイ・リッチーの帰還

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

色々大きな映画も撮ってきたガイ・リッチーが『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や『スナッチ』を思い起こさせる、犯罪群像劇に還ってきました。まず、そのことが嬉しいです。色々撮れることも分かりましたが、やはりこのジャンルこそホームグラウンドですね。
マシュー・マコノヒーもよいですが、ヒュー・グラントとコリン・ファレルがまたよい。特にコリン・ファレルがこういう風に癖になる俳優に転じるとは嬉しい驚きです。曲者監督が曲者俳優を集めて曲者犯罪者を撮りきる。見ないわけにいきません。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

ヒュー・グラントが最高に美味しい

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

前作「アラジン」で、意外にも優しくロマンチックな側面を見せたガイ・リッチーがルーツに立ち戻る今作は、彼らしいスタイリッシュさとユーモアに満ちつつ、積み重ねた経験を反映してか、過去作より洗練されている。多数のキャラクターがそれぞれに展開する、たっぷりと詰まったストーリーを牽引するのは、ヒュー・グラントとチャーリー・ハナム。野心的なタブロイド紙の記者を演じるグラントは味わいたっぷりで、今作で最も魅力的な存在だ。一方で冷静さを保つハナムは、突拍子もないことがたくさん起こる今作を落ち着かせる役割を果たしている。キャスティングの勝利といえる娯楽作。

この短評にはネタバレを含んでいます
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