”感動”で終わらせてはいけないテーマだが……

2021年6月5日 中山 治美 いのちの停車場 ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
いのちの停車場

吉永小百合の存在が大き過ぎて、幻想を抱いた役になりがちだが今回は比較的等身大。しかも現役医師の原作で、脚本は山田洋次監督作を手がけている平松恵美子だ。自ずと娯楽の表層をまとったピリリとした社会派ドラマを期待していたが、先に同じ在宅医を主人公にした『痛くない死に方』と同作の医療監修を務めた長尾和宏先生のドキュメンタリー『けったいな町医者』が公開され、在宅医療に頼らざるを得ない患者の事情も死の現実もとくと描いていただけに、それと比較すると物足りなさが残る。ラストが非常に重いテーマを投げかけているだけに、豪華キャスト映画の弊害か、そこに至るまでのエピソードの盛り込み過ぎとテーマの散漫さが悔やまれる。

中山 治美

中山 治美

略歴:茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。日本映画navi、全国商工新聞、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、BANGER!、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況:本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

中山 治美さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]