オムニバスとしてのバランスに欠けるのが惜しい

日本が世界に誇る漫画家でアニメ監督でもある大友克洋の陣頭指揮のもと、彼を含む4人のクリエイターによる短編アニメで構成されたオムニバス映画。テーマはズバリ“日本”だ。モノノケの世界に迷い込んだ男の不思議な体験を描く森田修平の「九十九」、恋する女の情念が江戸の町を炎で包む大友克洋の「火要鎮」、幼い少女に心を動かされたシロクマが寒村を荒らす巨大な赤鬼と対峙する石井克人の「GAMBO」、そして廃墟と化した近未来の東京で無人兵器と戦う一団を描いたカトキハジメの「武器よさらば」。それぞれに独創的な作品が集まったのはいいのだが、その作風やテーマを含めて「武器よさらば」だけが全体から浮いてしまったような印象は否めない。日本古来の伝統美を豊かなイマジネーションと丁寧な筆致で描き出した他の3篇に比べ、SFバトルアクションに属するこの最終章はちょっと異質すぎたように思える。とりあえず、絵巻物に命を吹き込んだかのような「火要鎮」の江戸情緒あふれる様式美は絶品。