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リュウグウノツカイ (2013):映画短評

リュウグウノツカイ (2013)

2014年8月2日公開 60分

リュウグウノツカイ
(C) slash / nomadoh

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

これは一種の「学生運動」だ!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

女子高生に「大人の稚気」を託したシンボリックな寓話として面白く観た。監督のウエダアツシは、もやもやした現代社会の閉塞を斬り裂くパンク的な動乱を模索してこの形に辿り着いたのではないか。先行作には園子温の『自殺サークル』が思い浮かぶが、性的モチーフ、「密室」的な田舎の漁村となれば、これは若松プロの後継である。

実際、本作の題材は今なりの「学生運動」と言える。特に委員長タカコ(佐藤玲)が、集団妊娠計画のリーダーになったとたん真面目さが厳しさに反転し、メンバーに鬼のセックスノルマを課すところなど内ゲバ的な論理をきっちり押さえている。足立正生の『女学生ゲリラ』や『噴出祈願 15歳の売春婦』と並べたい!

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ソフィア・コッポラの反応が見てみたい!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ギターノイズが鳴り響くなか、「せーの!」で妊娠検査薬の結果を見せ合う冒頭から、胸ぐらをつかまれた気持ちになる。実際に学生が起こした衝撃的な事件をモチーフにした60分の自主ということで、『先生を流産させる会』のような荒削りさを想像させるが、じつはソフィア・コッポラに近い繊細さ。とはいえ、衝動的かつ無軌道な行動でありながら、『ヴァージン・スーサイズ』の死のベクトルと正反対。10人のヒロインからは恐ろしいほどの生命力を感じ、当事者の本心を監督も理解できない面白さからも、『ブリングリング』に近い。そして今後、自己責任というしっぺ返しを喰らうかもしれない“妊娠ガールズの十ヶ月戦争”は儚くも美しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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