整形水 (2020)：映画短評

LINEマンガ「奇々怪々」の人気エピソードを長編アニメ化。作画に関しては日本人好みではないかもしれないが、韓国版『パーフェクトブルー』なサイコ・サスペンスに見せかけて、外見至上主義な韓国らしさが炸裂するホラー版「カンナさん大成功です！」。美人に変貌しようとも、性格は悪いままという難アリなヒロインに笑えるなか、枕営業などの芸能界の闇も描くなど、ちょいちょい野次馬心理を突いてくるのも巧い。そんな先が読めないストーリー展開だけでなく、「笑ゥせぇるすまん」や「週刊ストーリーランド」を思い起こさせる斜め上を行くオチなど、ヨン・サンホ監督の胸クソ悪くなるアニメ好きならおススメ。

Kコスメには高い美意識を感じるし、美容整形にも肯定的なイメージがある韓国。美男美女は就職で圧倒的に有利と聞くし、自己受容とは真逆の外見至上主義がいっそ清々しい！　が、本作はその風潮に一石を投じている。主人公イェジは幼少時から顔にコンプレックスがあり、人生に対して後ろ向き。性格もかなり歪んでいる彼女が“整形水”を使った画期的な手法で美女に変身し、何を手に入れるのか？　物語から導き出される教えに新鮮味はないが、ホラー感たっぷりの終盤にニヤリ。韓国事情に疎いので、芸能界では枕営業が当たり前で、美人がこぞって性格悪いという描写にリアリティがあるのかは謎でした。都市伝説のような？