シネマトゥデイ

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映画短評

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  • 火口のふたり
    全裸の交わりが、こんなにも生々しく、美しく、切なくて…
    ★★★★

    原作もほぼそうだったように、登場人物は2人。ひたすら彼らの関係性が描かれるので時折、息苦しい感覚にも囚われるのだが、その分、肉体の歓び、その究極の快感を取り戻せずにはいられない2人の戸惑いと切実さがひしひしと伝わってくる。かなり際どく大胆で、時として笑っちゃうほど生々しい性描写も、冒頭で野村佐紀子の写真で予告されるので、なんとなくアートっぽく感じられ、観ていて気恥ずかしくはならないから不思議。

    原作が3.11の直後に書かれたので、近い将来、また訪れる天災への危機感がじんわり漂う。そして主演2人が惜しげもなくさらす全裸に、終末観がまとわりついて胸を締めつける。その意味で、小説の忠実な映画化。

  • カーマイン・ストリート・ギター
    下町の”幸福”が、ここにある
    ★★★★★

     NYのダウンタウンにたたずむ一軒のお店が舞台で、客が次々と訪れる。こちらはドキュメンタリーだが、フィクション『ブルー・イン・ザ・フェイス』にも似た、市井の風景がそこに広がる。

     ジャームッシュが出演し、故ルー・リードにも言及するなど、同作とのリンクは多いがサブカル臭は皆無。フラリとやってくる客と、老ギター職人のやりとりを聞いているだけで、ほっこりしてくる。

     老ギター職人と金髪25歳・女子弟子の絵的ユーモアもジャームッシュ的だが、80年代の尖ったNYインディーズとは異質。ギターを弾いてみたくなるし、この街に住みたいと感じる。後から次々と温かい場面が思い出される幸福な映像体験だ。

  • ゴーストランドの惨劇
    残虐性よりも構図で勝負する異才の円熟
    ★★★★★

     『マーターズ』『トールマン』とロジェ監督の作品を追いかけているファンは、ドラマが劇的に転調することは想像がつくだろう。今回の“それ”も絶妙という他にない。

     絵として見せるべきものをしっかりと描写。『激突!』のように現われるキャンディ屋のトラック、突き立てられた中指、異様なおしゃべり人形、鏡に書かれた“HELP ME”のメッセージ……いずれも恐怖を喚起する絵だが、伏線としてもきっちり活かされた。

     『マーターズ』に比べると残虐描写が控えめであるのは当たり前だが、裏を返せば、それに頼らずとも十分に怖いと思わせることができる。いたぶられる女優陣の熱演をも計算に入れた、ロジェ監督の円熟!

  • メランコリック
    “ポスト『カメ止め』”になりえるのか?
    ★★★★★

    “銭湯で死体処理”というアイデアは、確かに面白い。とはいえ、ゴア描写を期待していなくても、解体作業のアッサリ感はリアリティに欠け、それが巻き込まれ型サスペンスとしての怖さや、ブラックコメディとしての笑いに繋がらない。本作の持ち味は、かなり殺伐した展開ながら、揚げ物好きな主人公の両親の描写に代表される、ハートフル感だろう。ほかにも、300万円の製作費や相棒を演じる磯崎義知ら、無名ながらも魅力的なキャストなど、『カメ止め』との共通点がいくつか見られ、そこをフックに同様の中毒者を生んでいる動きも理解できる。にしても、あまりに演出が単調すぎて、緩急がなさすぎる。

  • 聖なる泉の少女
    水の冷たさ、清浄さに浸らせてくれる
    ★★★★★

     画面から、冷たく清浄な冷気が静かに漂ってくる。雪の降る北の山地、山に見守られた湖、その水面の滑らかさ。泉の水の冷たさ、清らかさ。その水の清浄さに浸っているだけで、伝わってくるものがある。
     ストーリーは一応あるが、人々を癒す水が湧き出る聖なる泉、その泉を世話する老いた父親と娘、泉の力の減衰、という民話的古典的なもので、セリフも説明も最小限まで切り詰められている。その分、風景や建築物、生活用品、そこにあるすべての物が、雄弁に語りかけてくる。それに耳を澄ましながらこの世界の冷たさと清浄さを味わい、その心地よさに浸っていると、それが今、ここにはないということが静かに迫ってくる。

  • 永遠に僕のもの
    アルモドバル製作、大いに納得!
    ★★★★★

    天使の顔した美少年殺人鬼・カルリートスはバイクを飛ばし、ダンスも踊るが、意外と展開は淡々としている。つまり、アルゼンチンでホントにあった犯罪史というより、無軌道な若者の青春映画として、カルリートスになりきったロレンソ・フェロを愛でるアイドル映画として観るのがベターだ。しかも、BL風展開に、『エル・クラン』のカメラマンによる撮影、国民的バンドの楽曲のセンス良き使い方など、製作にペドロ・アルモドバルがクレジットされているのも納得のオサレ感。そんななか、主人公を悪の道に導く同級生のオヤジの初登場シーンに唖然! ヨコチンならぬハミキン映画として、語り継がれるだろう。

  • ゴーストランドの惨劇
    ロジェ監督のホラー愛が凝縮
    ★★★★★

    ネタバレ厳禁のトリックがあるものの、決してそれだけではなく、パスカル・ロジェ監督のホラー愛が凝縮された一本といえるだろう。ラヴクラフト崇拝で始まるだけに、「閉ざされた部屋」かと思いきや、「ロブ・ゾンビの映画みたい」というセリフが飛び出し、『悪魔のいけにえ』オマージュへ。その後も、ロジェお得意の容赦ない暴力描写の一方で、ベタさ全開の音響効果や、人形部屋や地下室などを縦横無尽に動くカメラワーク、91分という上映時間に至るまで、まるで“ホラー映画の見本市”のよう。そんな既視感からモノ足りなさもあるもしれないが、リピートすることで、かなり緻密に作られているのが分かる。

  • タロウのバカ
    こんな世界からも“神話”は立ち上がる
    ★★★★★

    リミッターを外す、どころかフルパワーでぶち壊した大森立嗣の渾身作。デビュー前の脚本が基ながら「いま撮る必然」に満ちた点では大林宣彦『花筐』と並び、当代きっての人気者達が参戦した意義では『ディストラクション・ベイビーズ』等を引き継ぐ闘争となる。

    現在日本社会の腐敗に敏感な作家は「バカ」という主題を同時浮上させている。『イワンのバカ』的聖性を纏わせつつ、インサイドでの改革の試みが石井裕也『町田くんの世界』で、アウトサイドからの一揆が片山慎三『岬の兄妹』なら、ワイルドサイドへ飛び出せと促すのが『タロウのバカ』だ。そこには棄てられた子供達が聖域を作り、野生美を湛えたタロウ=YOSHIが待っている。

  • 50年前の夏に起きた惨劇は、とくにハリウッドに大きな影を落としました。今なお、影響の残るその大きな影に永遠の映画少年タランティーノが過去作でも使ったある手法で奇跡を起こします。
    ついに共演が叶ったレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット。それぞれアイドル的な存在として活躍してきた両雄が、40代・50代になったからこそ出せる“枯れ”が物語の影と高レベルでシンクロ。面白くて、やがて悲しいハリウッドの夢物語が完成しました。

  • ロケットマン
    『ライオン・キング』と合わせてどうぞ!
    ★★★★

    売れてドラッグにハマり痛い目に遭う。
    ミュージシャン映画の王道だ。
    当人たちがそういう人生を歩んできたのだから致し方ない。
    しかしエルトン・ジョンは現役だ。製作総指揮も務めている。
    だが失態も家族との軋轢も、”ありのまま”を惜し気なく晒す。
    レジェンドになることを拒否しているかのよう。ROCKだな。
    そもそも自分をイジった『キングスマン』チームと組んでいる辺りもセンスあり。
    天邪鬼な彼らだけに、ライブシーンてんこ盛りで観客にカタルシスを与えるようなことはしない。
    音楽の才能は『ライオン・キング』で補足するとして、エルトンの波乱人生とタロン・エガートンの多才さを堪能したい。

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