シネマトゥデイ

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映画短評

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  • レディ・プレイヤー1
    サブカルチャー愛を謳うオタクの勝利宣言
    ★★★★

     未来のVRゲームを描いているが、1980’sカルチャーをこよなく愛するクリエイターの趣味がその攻略に反映されているのがミソ。懐かしい映画、コミック、アニメ、音楽の引用が活き、ニヤリとさせる。

     興味を引かれたのは、普段はパッとしないがゲーム内では輝く主人公のキャラ。攻略のため、尊敬するクリエイターの趣味を熱心に研究しているのだから、これはもう筋金入りのオタクで、スピルバーグの分身とも言えるだろう。

     80年代はオタクという単語が侮蔑的に語られ出した時代だが、当時のオタクが愛したサブカルチャーが現代にあたえた影響は計り知れない。そういう意味では、本作はオタクの勝利宣言でもあるのだ。

  • パシフィック・リム:アップライジング
    怪獣バトルにメカ対決、日本的特撮の見せ場は増量
    ★★★★

     前作から監督が代わり、ギレルモ・デル・トロのようなオタク的設定密度の濃さは望むべくもないが、それでも巨大ロボット作品に親しんできた身としては大いにワクワクさせられた。

     中盤のイェーガー同士の対決はその象徴で、都市を破壊しながらメカとメカが激突するスペクタクルは日本の特撮モノを思わせる。東京や富士山を舞台にした怪獣バトルのクライマックスは、それに対する作り手のリスペクトの表明で、見ていて嬉しくなる。

     J・ボイエガふんする主人公の、ひねくれたアウトロー的なキャラクターも引き付けるものがあり、パイロット復帰からの成長のドラマにアツさが宿る。少女訓練兵との交流のエピソードも妙味。

  • ミスミソウ
    閉鎖的な田舎で少年少女の悪意が暴走するトラウマ級青春残酷物語
    ★★★★

     過疎化の進む寂れた日本の田舎。閉鎖的な地域社会で鬱積した悪意が暴走し、歯止めが利かなくなった子供たちの陰湿なイジメ。同級生に両親を生きたまま焼き殺された少女が、「目には目を」とばかりに壮絶な復讐を遂げていく。
     雪深い白銀の世界が真っ赤な血に染まっていく様は、さながら『修羅雪姫』のごとし。手加減を知らない少年少女の殺し合いはあまりにも凄惨で、思わず目を覆いたくなるようなスプラッターが繰り広げられる。てか、ちょっとやり過ぎ(笑)。究極の青春残酷物語といったところか。とりあえず、ストーリーの救いのなさも含めてトラウマ級の仕上がりだ。

  • さよなら、僕のマンハッタン
    『卒業』をウディ・アレン風に料理した小粋なニューヨーク派映画
    ★★★★★

     かつての危険で猥雑なエネルギーやパワーを失い、居心地は良いが面白みのない街と化した現代のニューヨーク(アメリカの大都市はロスもシカゴも同様だけど)で、作家を志しながらも進路に迷う初心な若者が、単純ではない大人の世界を垣間見ることで人生の確かな第一歩を踏み出す。
     『卒業』を彷彿とさせるストーリーは使い古された感じだが、ウディ・アレン風の小粋なムードはとてもニューヨーク的。恐らく本場のニューヨーカーには「こんなのごく一部だから!」と文句を言われるだろうけど。そんな部外者のイメージするお洒落なニューヨークを存分に楽しめる作品。懐かしのデビ・メイザーなど、端役に至るまで豪華な役者陣も魅力的だ。

  • 女は二度決断する
    「眼には眼を」を乗り越え憎しみの連鎖を断ち切るひとつの可能性
    ★★★★

     むごたらしい爆破テロで夫と子を奪われたヒロイン。法は犯人を裁けなかった。怒りと悲しみの矛先はどこに向かえばいいのか。選択肢はいくつもあった。上告する、自分を誤魔化して生きる、命を絶って苦しみから逃れる、犯人を殺し溜飲を下ろす、さらに…。ヒロインが辿り着いたひとつの答えを、倫理的に許されないとジャッジすることは容易だが、それでは、「眼には眼を」を乗り越え、繰り返される憎しみを自らの手で断ち切ろうと苦悩した心の旅を、何も観ていなかったことになる。容認できないまでも深く理解できるのは、負の情念に苛まれたことがある証か。彼女の決断には、理性か感情かという表層的な二元論を超えた、境地と可能性がある。

  • タクシー運転手 ~約束は海を越えて~
    不条理に対抗する一般市民の勇気がストレートに胸を揺さぶる
    ★★★★

    自国の軍隊に、無辜の一般市民が殺された光州事件。その不条理さを再現する目的は、ソウルのタクシー運転手とドイツ人ジャーナリストという「外部」の視点にしたことで見事に達成された。作品を盛り上げるためのやや過剰な展開もあるが、その過剰さが気にならないほど、われわれ観客も事件の渦に巻き込まれる作りだ。

    報酬目当てだった運転手が、人間としての本能や使命感にめざめる。その過程をここまで劇的に表現できるのは、韓国でもソン・ガンホ以外にいないだろう。それほどの名演技の瞬間が何度か訪れる。光州の新聞記者が真実を伝えられない苦しさも挿入され、時代や状況は違うが『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』と重なる。

  • 君の名前で僕を呼んで
    初めての激しい恋のきらめきが眩しい
    ★★★★

     17歳の夏休み、北イタリア、緑に囲まれた別荘、溢れる日差し、そよぐ風、水面できらめく光。大学教授の父の助手としてやってきた魅力的な大学院生。と、もう道具立てが完璧。相手が同性であることは何の妨げにもならず、ただ初めての激しい恋の甘美さと切なさが描かれるところがいい。
     時代が80年代で、17歳の文系少年がトーキングヘッズのTシャツで、スポーツもする24歳の大学院生がサイケデリック・ファーズ好きという音楽ネタも。そして予告編でも流れるUSインディの人気ミュージシャン、スフィアン・スティーヴンスによる主題歌が魅力的。柔らかな音が、17歳の主人公の気持ちの揺らめきにそっと寄り添っている。

  • レディ・プレイヤー1
    ノスタルジアに胸がときめきっぱなし
    ★★★★

    舞台は2045年。物語の大半は登場人物たちがプレイするゲームの世界で展開し、ビジュアルはテクノロジーをたっぷり使った最先端のもの。そんなところに、70年代や80年代、時には90年代に自分が大好きだったものが突然登場してきて、びっくりさせられることがしばしば。それも、単なるウケ狙いではなく、ちゃんとストーリー上、役割を果たすから、さらにときめく。現代人へのメッセージもちゃんとあるが、この映画は何よりも素直に楽しむことが第一。今作のポストプロダクションの間に、180度方向性の違う「ペンタゴン・ペーパーズ~」を作ってしまったスピルバーグは、やはりすごい監督だ。

  • ラッカは静かに虐殺されている
    真実を伝えること。それが生きること
    ★★★★

    米軍などによる新たな攻撃で、深刻を極めるシリア情勢。ある意味でタイムリーな作品だが、フォーカスするのはシリアの勇士たちのジャーナリズム精神である。ISが制圧したラッカでの映像には何度も目を覆いたくなるが、全体的には冷静な視点が貫かれ、この監督の前作『カルテル・ランド』のような、作品としての激しさは抑えられている。

    決死の思いでラッカに残って現実を伝える覚悟。国外で拠点を作ってもつねに命を狙われる恐怖。それらがタイトルに重ねるように、静謐に、じわじわと迫ってくる。なぜこのような運命に生まれたのかと嘆きつつ、使命感を受け止め、仲間の死に思わず全身が震え出す彼ら。その瞬間、こちらの背筋も凍り付く。

  • グッバイ・シングル
    落ちめ女優の偽装妊娠騒動が映し出す格差社会と拝金主義の悲哀
    ★★★★★

     落ち目になった往年の韓流スター女優が突然の妊娠発表。未婚での妊娠告白は勇気ある行動!と世間から賞賛され、再びトップの地位へ返り咲くのだが、実はこれが全くの嘘。望まぬ妊娠に困った貧しい女子中学生の子供を、金にものを言わせて買い取るための偽装工作だった。その思わぬ人生逆転効果で図に乗ったヒロインが、手痛いしっぺ返しを受けることで大切な教訓を学ぶ。
     40代で化石扱いってのもどうよ…と思いつつ、そんな外見の美と若ささばかり重視される芸能界はもとより、格差社会の偽善や拝金主義の醜悪さなどを痛烈に風刺しつつ、涙あり笑いありのブラック・コメディに仕上げた演出の手腕は見事。文句なしに面白い。

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