シネマトゥデイ

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映画短評

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  • ブリグズビー・ベア
    歪んでいても、大丈夫
    ★★★★

     歪んでいても大丈夫ーーーなんてことは実生活ではほとんどなく、なにかと面倒なことがあるのが現実だが、だからこそ、こういう「でも大丈夫」な映画が作られて目出度い。赤ん坊の時から世間と隔絶され、両親と暮らす家の中で、父親が撮影した着ぐるみのクマが主人公のオリジナル特撮シリーズだけ見て育つという、ある意味かなり贅沢な育ち方をした25歳男子が、自分の状況の真相を知った時、世界と折り合うためにどんな決意をするのか。その時、主人公の妹の男友だちに「スター・トレック」のTシャツを着たVFXマンを目指すSF映画オタクがいて、主人公と意気投合するという展開も嬉しい。マーク・ハミルが魅力的な役柄を演じている。

  • ニンジャバットマン
    よくぞDCが許した特撮アニメ発のクレイジーなアメコミ戦国絵巻
    ★★★★

     ゴッサムシティの連中が戦国時代にスリップし、武将として戦う…設定だけで十分にクレイジーだが、中島かずきのイタズラはやりたい放題に炸裂し、神風動画のOP映像的密度のビジュアルで全編を突っ走る。背景美術は浮世絵風、活劇はC・ノーラン版より洗練され、ジョーカーは66年TV版以上に陽気すぎて不気味。バットマンや城の“変容”は日本ならではの意匠だ。もしもデップ―が目にしたらこう言うに違いない、「お前ら、昭和の特撮・アニメ出身か?」と。よくぞワーナーのロープロは本国へ企画を上げ、DCコミックスは自由な制作を許したものだ。本作によって、ハリウッド進出に変化が生ずるか、門戸が閉ざされるか、どちらかだろう。

  • ゲッベルスと私
    ナチス中枢にいた秘書の証言「私に罪はない」が私達を覚醒させる
    ★★★★★

     モノクロ映像に刻まれた103歳の老女の皺が多くを語り、インサートされる戦時下ドイツの初公開記録映像が、その証言を深く考察させる。証言者は、ヒトラーの右腕として時代を牽引した宣伝相ゲッベルスの元秘書。よりよい暮らしを求めてナチスへ入党した女性の戦争責任を追及する目的はないが、ホロコーストについて「知らなかった」「私に罪はない」という言葉からは、アイヒマンと立場は違えども、もうひとつの“悪の凡庸さ”という視点が立ち上がる。信念や批判力を失った普通の人々の無自覚や無責任の総体こそが悪の本質であると自覚させ、戦争へ突き進み蛮行が行われる上で、改めて生活者の態度を問い、覚醒させる力がある作品だ。

  • ビューティフル・デイ
    暗闇で体感する、美しくも如何わしい感触
    ★★★★★

    行方不明の少女を救出することが、自身のトラウマからの解放に繋がる男の物語。現代版『タクシー・ドライバー』にして、随所に『バッファロー'66』っぽさもみられるなど、前作『少年は残酷な弓を射る』で覚醒したリン・ラムジー監督、6年ぶりの新作としては、どこかモノ足りない。しかも、ホアキン・フェニックスの圧倒的な存在感や、ジョニー・グリーンウッドの音楽に救われている部分も多く、カンヌでの脚本賞受賞には首を傾げてしまうほどだ。一方で、シャーリーンの「愛はかげろうのように」や『サイコ』のコミカルな使い方など、目を引く描写もある。それも含め、この美しくも如何わしい感触は、劇場の暗闇で体感するに値する。

  • メイズ・ランナー:最期の迷宮
    “仲間を見捨てない”……この"ラン"の本質はそこに!
    ★★★★

     三部作の完結編となる本作で、あらわになったシリーズの一貫性があるなら、“決して仲間を見捨てない”というキャラクターのスピリットに尽きる。

     主人公トーマスの行動原理は前2作同様に、今回もそこにある。一緒にサバイヴしてきた仲間が危機に陥ったならば、どこまでも助けに行く。そのトーマスが絶体絶命の危機に陥ったときに他の仲間が助けに来る、ともすればご都合主義的な展開も、そこに宿る侠気で説明がつく。

     とっかかりこそ”メイズ”の面白さにあったが、主語はあくまでランナーだ。どんなに走り続けても、救えた者もいれば救えなかった者もいる。そんな現実こそがリアルな青春ドラマに、ちょっと泣けた。

  • 終わった人
    バランスの良い視点で描かれる卒婚コメディ
    ★★★★★

     “卒婚”という社会現象の一例として興味深いものを覚えると同時に、ユーモアやヒューマニズムを体感できるコメディを楽しんだ。

     ホラー畑の監督がそれをどう料理するのか興味があったが、いくつになっても助平な男目線を活かしつつ、女性の側の視点をシリアスにとらえる、バランスの良さ。ともかく、舘ひろしの一見ダンディ、でもダメ男的な軽妙な個性も活きている。

     広末涼子をめぐる男関係の構図は出来過ぎているきらいもあるが、それを気にせずに観られれば、楽しめる娯楽作。舘と広末の岩手訛りでのやりとりはリアルで、東北出身者として、つい吹き出したことを付け加えておきたい。

  • V.I.P. 修羅の獣たち
    北からやってきた最凶・最悪の要人
    ★★★★

    『ベテラン』のような財閥の御曹司ネタも尽きたか、容疑者は北朝鮮No.2の御曹司というヤバさ。しかも、ワケあって、南の国家情報院が保護しなきゃいけない展開は、『殺人の告白』に近いもどかしさだ。小遣い稼ぎで出たと思われるピーター・ストーメア演じるCIA要員も胡散臭く、『新しき世界』のパク・フンジョン監督ブランドは健在。とはいえ、もっとサクサク進みそうな話を重厚な演出とトゥーマッチな劇伴で、じっくり魅せるところは賛否分かれるところ。猟奇犯罪を繰り返す容疑者を演じるイ・ジョンソクが南の人間に見えないのはリアルさを回避したものだと思われるが、それでもドン引きする残酷描写が用意されているので要注意だ!

  • オンリー・ザ・ブレイブ
    ブローリンとブリッジスのオヤジっぷりを堪能
    ★★★★★

    「アベンジャーズ」のサノス役や、「デッドプール2」のケーブル役でジョシュ・ブローリンにシビれた新たなファンに、彼の特殊メイクなしの演技を味わうチャンス到来。ブローリンが、いい感じに練れて熟成期に入ったオヤジを演じ、すでに完熟期のオヤジを演じるジェフ・ブリッジス(こちらも今や「キングスマン2」のステイツマンのリーダー役でおなじみ)に若造扱いされたりもする。このオヤジたちのシブい味が堪能できる。
     基本は実話に基づく消防士たちの物語。だが、彼らを英雄として美化するのではなく、どこにでもいそうな人間たちとして描く。彼らがカッコイイ台詞を言ったりせずに、ただ仲間たちと仕事に取り組んでいく姿がいい。

  • 30年後の同窓会
    70年代アメリカ映画を愛する映画ファンのための同窓会でもある
    ★★★★

     3人の旧友が旅をする。ベトナムで心に傷を負った50代男が仲間と共に、イラクで命を落とした息子の遺体を引き取りに行く重めのロードムービーを、笑いを織り交ぜ、寄り道しながら軽妙に綴っていくリチャード・リンクレイターの語り口は、さながら『20才だったボクが、大人になってから。』。そこはかとなく立ち上る痛恨の念。政治的信条や正義といった価値観が後退し、経済性のためのディールとフェイクが優先されるトランプの時代が、映画を覆う。原作者が同じ『さらば冬のかもめ』はもちろん、べトナム戦争を描いた作品群のその後といった趣もあり、70年代アメリカ映画を愛する映画ファンたちの同窓会としても胸に迫るものがある。

  • ブリグズビー・ベア
    こっちのロード&ミラープロデュース作は本領発揮!
    ★★★★

    『ルーム』の後半や『FRANK -フランク-』あたりを意識した、こじらせ男子映画と思いきや、これが前記の2作を軽く超える感動作だから、あなどれない。四半世紀の監禁や洗脳から解放され、戸惑う主人公の勇気の物語と映画&VHS愛に、モノづくりをする人間は励まされ、涙するはず! マーク・ハミルの起用もよくある出オチでなく、しっかり意味があるのからスゴい。時折、作り手のあざとさも見え隠れするが、ロード&ミラープロデュース作として、日本で『ハン・ソロ』と同時公開されるのは、とにかく興味深い。ただ、登場人物みんないい奴&テーマが若干カブる『ワンダー 君は太陽』とも同時公開なのは、ちょっともったいない!

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