シネマトゥデイ

シネマトゥデイ

映画短評

« Prev 全4,064件中11~20件を表示しています。 Next »
  • ビニー/信じる男
    ボクシングもので実話ものだが、それだけではない
    ★★★★★

     ボクシング映画で、実話に基づく映画ではあるが、一筋縄ではいかない。主人公ビニーは自分のやってきたことを振り返り、多数の人々に言われ続けてきた「それはそんなに単純なことじゃない」という言葉はウソだったと言う。そして、本当はすべてはとても単純なことなのだと言う。そういう性質の男が"単純であること"を実践する。それを描いたのが、この映画なのだ。
     そういう物語を描くために、ボクシングというモチーフを選んだとしたらそれはおそらく正しい。ボクシングとは、極端に単純化すれば、人を殴ることであり、だからこそ見る者の動物的かつ原初的な何かに、揺さぶりをかけるものなのかもしれないのだから。

  • カーズ/クロスロード
    大人の鑑賞に耐えうるアニメの最新モデル
    ★★★★

     前作が007のパロディに終始するあまり低評価となったせいか(個人的には楽しんだが)、今回はシリアスに軌道修正。世代交代という現役意識の強い熟年層には切ないテーマを刷りこんでドラマを紡ぐ。

     主人公マックィーンに1&2作目のような調子こきムードは一切なく、ベテランらしい落ち着きさえ感じさせる。それゆえに世代交代の現実は重い。それを彼にどの局面で意識させるのか?という点で、巧い作り。

     熟年意識の一方で若さにも目配せしている点もいい。才能と自信を兼ね備えた者もいれば、才能はあるが自信が欠如している者もいる。それを見据えている点も絶妙。文句なしに、大人の観賞に耐えうるアニメーションだ。

  • 銀魂
    冗長を楽しめるか否かが評価の分かれ目!?
    ★★★★★

     原作やアニメ版のギャグを実写でどう料理するのかと思ったら、テレビのバラエティ的な内輪ウケネタ多し。パロディとなった番組を見ていない人には意味不明で個人的にはキツかったが、そんな笑いが好きな人には楽しめるだろう。

     それはさておき、アクションには見るべき点がある。アクロバティックな剣げきはチャンバラとは一線を画しているが、平行目線から俯瞰へと角度を変えるダイナミックな描写は買い。肉体性をしっかり感じさせる点も好感度大。

     役者のノリノリな雰囲気も妙味で、コスプレノリもハマる。ただ、物語的な必然性のないシーン込みで楽しませる作品にしては、2時間超えの尺は明らかに長い。

  • ウィッチ
    この監督、名前だけでも覚えて帰ってくださいね
    ★★★★

    次作の『Xメン』でマジックを演じるアニヤ・テイラー=ジョイの出世作にして、短編でエドガー・アラン・ポーの「告げ口心臓」を撮るなど、噂先行型だったロバート・エガース監督の長編デビュー作。サンダンスで監督賞を獲った本作は、350万ドルのローバジェットながら、言語や信仰など、徹底した時代考証もあり、17世紀のニューイングランドの空気感を再現。エンタメ感はないに等しいものの、蝋燭の灯が揺れる闇で展開される魔女狩りをめぐる心理ドラマは、不気味の一言。新人離れした演出だけでなく、アートとしての完成度の高さに驚かされる。『狼の血族』『死霊の谷』など、初期「東京ファンタ」の熱狂と興奮を追体験したければゼヒ!

  • 彼女の人生は間違いじゃない
    瀧内公美の時代がきた。
    ★★★★★

    じつは本作より身体を張ってる『グレイトフルデッド』から4年、消化不良だった『日本で一番悪い奴ら』を経て、瀧内公美の時代がきた。確かに出演シーンは見せ場だらけ。ラストに流れる背中を押す主題歌も、個人的に溺愛する『東京ゴミ女』に通じるものがあり、長年女性を描いてきた廣木隆一監督のベストという見方もできる。ただ、同じ“再生”がテーマの『RIVER』じゃないが、ヒロインに焦点を絞ればいいのに、震災をめぐる人々の群像劇にしてしまったことには疑問が残る。もっと彼女に寄り添うことで、心の隙間を埋めたかったとはいえ、“なぜ、デリヘルじゃなきゃいけなかったのか?”ことに対する回答が見えてくるだけに残念だ。

  • ブランカとギター弾き
    若き奇才から、優しき俊英へ
    ★★★★

    前衛ゴリゴリの駒場寮ドキュメンタリー『W/O』(00年)以来、不意打ちのようにお目に掛かった長谷井宏紀(林文浩の名著『外道伝』では「アートバカ」として紹介)の新作。かつてのイメージとは大きく異なる平易な作風に驚かされた。これは完全に良い意味での成熟だろう。余計な手を加えず、ただ世界に耳を澄ますかのように、アンプにつないだアコギの音も、路上の子供達のざわめきも、すべてが豊かな人間味を持って響いてくるのだ。

    お話はシンプルな枠組みだが、しかしその中にマニラの街の多元性が生々しく記録されている。クストリッツァからの賞賛を裏返せば、彼とは全く違った方法で同じことを描いている映画と言えるかもしれない。

  • ビニー/信じる男
    “不可能”を受け入れず、チャレンジした先に光が!
    ★★★★★

    交通事故で頚椎を損傷したボクサーの奇跡的な復活自体が『情熱大陸』な展開だから、主人公ビニーへの共感度が高くなる。鍛え上げたマイルズ・テラーがチャレンジし続ける主人公を熱演している。意気がった青年役が多いせいか面構えもふてぶてしくなり、ビニー役がぴったり。スポ根ものだし、M・タイソンから解雇された酒浸りのトレーナーや恩着せがましい毒父、金に目のないプロモーター父子も絡んでボクシング界の裏事情を美化してないのがまたいい。トレーナー役のアーロン・エッカートの前頭部を本当に剃った役者魂にも胸を打たれた。復帰戦の観客席にドン・キングの姿があったのはベン・ヤンガー監督の英断! モデル料、支払ったかも。

  • 台湾萬歳
    雑誌やTVでは伝わらない台東人のリアル
    ★★★★★

    雑誌やTVで取り上げられる台北といえばグルメや温泉。楽しい~。でも台湾人の人生観や生活感に弾丸旅行で触れられるわけはなく、やはり頼りになるのは酒井充子監督の台湾三部作だ。最終章の本作は台東の漁師夫妻とブヌン族の人々に焦点が当てられ、日本統治下での移住の記憶やいまでも受け継がれている日本の漁法や食文化が紹介される。前2作は元新聞記者らしいジャーナリスティックな視点が強調されていたが、今回は地元の人々の視点とほぼ同列な印象。漁や畑仕事に同行し、旧正月の宴にも招待されるのは、15年も現地で足繁く取材した監督だから築けた関係性のはず。なので、画面を見ながら台湾の歴史や文化をさらに詳しく知りたくなった。

  • ダイ・ビューティフル
    練り上げられた脚本とインパクトのあるキャラクターが絶妙にマッ
    ★★★★

    自分自身を曲げなかったトランスジェンダー少年の波乱の人生を描いたドラマに詰まっているのは、愛や幸せを追求する人間の普遍の叫び! ヒロインのトリシャがミスコン女王になった直後の急死で幕を開けて、葬儀にまつわるエピソードと回想シーンで時制を行き来しながら彼女の人生をつまびらかにする脚本がよく練られていて、物語にぐんぐん引き込まれた。浮き沈みがあってもポジティブに生きるトリシャや親友バーブスのキャラクター造形はインパクト大だし、言動にも説得力あり(時にバカなことしちゃうけど、それも愛嬌!?)。主演のP・バレステロスのセレブ風メイクがまたインパクト大で、遺影撮影や終活の参考にしたいと思った次第です。

  • 十年
    香港が直面するさまざまな問題は他人事じゃないと思う
    ★★★★★

    今から10年後の香港を描いた作品には、イギリスから中国に返還されて20年間に噴出したさまざまな問題が描かれている。なかでも怖いと思わせるのが「1国2制度」の名の下に自由を束縛しようとする中国政府の思惑や、それに盲目的に従ってしまう人々の無関心さだ。政権がおかしいと感じたら個々人がきちんと声を上げなければ、民主主義などあっという間に消え去ってもおかしくない。加計学園問題などを見ていると、自民党の独裁が続く日本も同じ状況に陥ってもおかしくないよな~とため息。ただし、この映画は最後に希望の種を残してくれた。発芽に大いに期待したいし、私も発芽しなきゃダメだなと自省しました。

« Prev 全4,064件中11~20件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
楽天市場
スポンサード リンク