シネマトゥデイ

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映画短評

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  • メアリーの総て
    18世紀にフェミニストであることの意味を考えた
    ★★★★★

    倫理観なき科学の暴走や父子関係、宗教観など多彩なテーマを含む小説「フランケンシュタイン」。若干20歳にして画期的なSF小説を書き上げた女性作家の人となりや人間関係、作品に込めた思いが伝わる作品だ。詩人パーシーとのロマンスがメインかと思いきや、女性作家が認められなかった時代のヒロインの葛藤や心模様に比重が割かれている。女性の権利向上を訴えるTimesUpムーブメントにも通じるが、時代を先取りしたフェミニストの存在は現代女性にとっても心強い。E・ファニングはじめ注目の若手が頑張っていて、なかでも強烈な印象を残すのがバイロン役のT・スターリッジ。背徳的な雰囲気を醸し出している。

  • バスキア、10代最後のとき
    その頃のニューヨークの熱気を体感
    ★★★★★

     10代のバスキアを描くドキュメンタリーだが、彼だけではなく、彼がいたその頃の空気を描く。監督は、ジム・ジャームッシュ監督のパートナーでもあるサラ・ドライヴァー。彼女が当時NYに住んでいた友人たちの協力を得て、彼ら自身の体験や記録映像を交えて描く画面からは、70年代末~80年代初頭のNYの気配、アートと音楽とフィルムのシーンが混然一体となっていき、アーティストたちがフォームにこだわらなくてもいいのだと確信して動き出す、その頃の熱気が立ち上ってくる。
     ちなみに当時の映像や写真にはパティ・スミスなど著名人が多数写っているが、字幕は出ないので画面に目を凝らそう。

  • グリンチ
    山の上の孤独に、うっかり同情してしまう瞬間も…
    ★★★★★

    どんなに自分中心でワガママで、ひねくれ者でも、そして許せないほど嫌がらせをしても、このグリンチにどこか同情してしまうのは、『シザーハンズ』のエドワードや『美女と野獣』の野獣と同じ果てしない孤独感が漂っているからだろう。原作ではグリンチと村の住民の外見は似ていて、ジム・キャリー版でも同じ人間が演じている共通点はあったが、今回はまったく別種の外見。より隔絶感が強調された。

    徹底して予想どおりに進む物語は、お約束的な楽しさだが、異様にデカくなる盗んだプレゼントのビジュアルや、愛犬マックスのあまりの献身ぶりなど、不覚にも心をつかまえられる瞬間がチラホラ。クリスマスに最適な一本であるのは間違いない。

  • メアリーの総て
    フェミニズム的視点から『フランケンシュタイン』の本質を探る
    ★★★★

     怪奇小説『フランケンシュタイン』の誕生秘話といえば、ケン・ラッセル監督の『ゴシック』がつとに知られているが、本作では作者メアリー・シェリーの人生を紐解きつつ、彼女がフランケンシュタインの怪物に込めた思いを浮き彫りにする。知的で聡明で才気あふれる18歳の若き女性メアリー。詩人シェリーという理解者に出会い、愛と自由を求めて羽ばたこうとする彼女だが、しかし思うようにならない人生の厳しい荒波と、女性の自立を認めない社会の現実が目の前に立ちはだかる。フェミニズム的視点から『フランケンシュタイン』という傑作の本質を探っていく文芸映画。理想に燃えるナイーブなメアリーを演じるエル・ファニングがはまり役だ。

  • アクシデント
    意外な展開で楽しませる南アフリカ産B級スリラー
    ★★★★★

     舞台はアメリカで登場人物も米語を喋っているけど、実はケープタウン近辺で撮影された南アフリカ映画。ロックフェスに向かったお気楽なティーン女子2人組が、ヒッチハイクでイケメン男子コンビの運転するイカした高級車に乗り込んだところ、交通事故を起こして谷底へと転落してしまう。意識を取り戻すと車は逆さまで外へ出られない。そのうえ、イケメン男子たちも高級車も実はかなり訳ありで、犯罪組織と思しき連中が襲いかかって来る。突っ込みどころ満載ではあるものの、次々と意外な方向へ展開するストーリーで楽しませるB級アクション・スリラー。気付けば7分間の長回しだったオープニングをはじめ、カメラワークも結構凝っている。

  • メアリーの総て
    「フランケンシュタイン」執筆秘話を"女性の自立"視点で描く
    ★★★★★

     これまで小説「フランケンシュタイン」執筆裏話は、ゴシック小説の誕生という観点から描かれがちだったが、本作は"女性の自立"という視点から描く。監督は「少女は自転車にのって」の女流監督ハイファ・アル=マンスール。1818年、18歳のメアリー・シェリーがこの小説を書き始めた背景に、父親の影響、既婚者との恋愛、幼い子供の死、当時の社会通念との軋轢などを配置して、それらが彼女にこの小説を書かせるというストーリーは、ドラマチックで分かりやすい。それでいて、あの小説に込められたものはそれだけではないのではないかとも思われて、「フラケンシュタイン」という作品の持つ力を再認識させられる。

  • パッドマン 5億人の女性を救った男
    これぞ、男の中の男だ!
    ★★★★★

    すべてが妻への愛から始まったところが、まず素敵。いまだに男尊女卑がひどいインドにおいて、主人公は妻のために何でもしてあげる人。生理の辛さを知った時にも何とかしてあげたいと考えるが、生理用ナプキンは高すぎる。それで自分なりに開発を始めるのだが、最大の敵となるのは、皮肉にも女性。この問題に男が首を突っ込むのは、タブーなのだ。普通ならそこであきらめるのだろうが、自分の問題でもないのに、蔑まれつつもがんばり続けるのが彼。真の男とはこういう男のこと!DVなどの深刻な問題に触れつつも、ミュージカル的要素も入った、楽しく、ポジティブで感動的な映画になっている。すべての人に見てほしい一作。

  • ゴッズ・オウン・カントリー
    ”おっさんずラブ”並に萌え
    ★★★★★

    映画は時に、自分でも思ってもみなかった感情をわき立たせてくれるものだ。
    あるのは厳しい現実だけ!というような荒涼たる世界で繰り広げられる無骨な青年と、移民の季節労働者の不器用だけどいじらしい愛に、まさかのBL萌え。
    それもこれも、牧場の仕事を見事にこなして役と一体化した俳優陣の演技を筆頭に、映像、脚本、その全てが
    これが虚構の世界であることを忘れさせた結果だろう。
    かつ、漫画のようなお約束の胸キュンシーンを所々入れてくるのだから、ニクい演出をするものだ。
    英国インディペンデント賞など多数の賞を総ナメにしたのも納得。
    日本で配給会社が付かずイベント上映のみなのが心底惜しまれる力作である。

  • パッドマン 5億人の女性を救った男
    おかしいと思ったら、自分で動くことを教えてくれる
    ★★★★★

    主人公の言動も、映画の作りも、ひじょうに「誠実」。クライマックスのスピーチの場面に、その誠実さが凝縮されるので心が揺さぶられるのは間違いない。映画の長さや、挿入される歌とダンスといったインド映画の定則を守りつつ、インドはおろか世界の他国でも扱うのが難しい生理用品という題材を真正面から見据えた、作り手のチャレンジ精神に敬意を表したい。

    周囲から奇異な目で見られようと、おかしいと思ったこと、誤っていると感じることがあれば、とにかく自分で何とかしようとする。このテーマが最後まで貫かれる点も気持ちよい。ただ主人公もテーマも、あまりにもブレがなく、まっすぐで誠実すぎるので、逆に共感しづらい側面もある。

  • ピアソラ 永遠のリベルタンゴ
    鬼才ピアソラの素顔に迫る、愛情に満ちたドキュメンタリー
    ★★★★

     アルゼンチン・タンゴの革命児と呼ばれた偉大な作曲家にして演奏者、故アストール・ピアソラの素顔を、膨大な数の秘蔵映像や生前のインタビュー音声、息子であり共演者でもあったダニエルの証言などを交えながら紐解いていくドキュメンタリー映画だ。中でも、愛する家族との楽しげなバカンスや穏やかな団欒のひと時を記録した8mmフィルムの数々は、鬼才ピアソラの心優しき父親としての一面を如実に伝えて興味深い。そんなピアソラ自身の父親の、とことん息子を持ち上げ褒め倒して才能を伸ばすという、愛情溢れる英才教育法にも感じ入るものがある。数々の困難と試練を乗り越えられたのも、才能の根底に深い愛があったからなのだろう。

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