シネマトゥデイ

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映画短評

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  • 嘘を愛する女
    最近何かと出過ぎの高橋一生だが、これはかなりハマリ役では?
    ★★★★★

    目の前にいるこの人は、いったい何者なのか? ヒッチコックの名作『めまい』も連想させる、妖しきサスペンスと濃密なラブストーリーの混在は、とくに前半、的確な演出と編集によって味わい深い仕上がりになっている。その大きな要因は、高橋一生の持ち味と、演じる役どころの幸福なケミストリーのおかげか。やはりこの人、得体の知れないキャラクターに血肉を通わせる才能があるようだ。

    ただし中盤からは、映画全体の語り口が変調するので、そのあたり、物語の辻褄を合わせてスッキリしたいか、もっと妖しさに心をざわめかせたいかで、好き嫌いが分かれるかも。タイトルが示す、危険な運命に溺れる感覚は薄味かも。

  • スリー・ビルボード
    過激な行動の背後に細かな心理の襞がある
    ★★★★

     主人公の過激な行動に目を奪われがちだが、特殊な個人の物語ではなく、実はそれぞれに問題を抱えた人間たちの群像劇。画面に映る時間が短い人物たちも、単純ではない思いを抱えている。そもそも主人公の、死んだ娘の事件を解決するための過激な行動も、娘への愛情のみから発したものではない。そんな人間心理の複雑な襞が、日常的な場面の中で丹念に描写されていく。そのための演技派俳優の大挙出演かと納得がいく。
     それでいてドラマが重くなりすぎないのは、随所で光る主演のフランシス・マクドーマンドのユーモア感覚と、常にこの町に降り注ぐ陽の光のせいだろう。最後に広がる光景にも、その陽光が満ちている。

  • ルイの9番目の人生
    子どもは周囲の人の気持ちにとても敏感なんですね
    ★★★★★

    毎年1度は死にかけると語る少年ルイのモノローグを受けて母親に素人診断を下してしまうが、単純な毒母の物語で終わらないのが本作の魅力だ。昏睡状態の少年を軸に彼の両親の関係が徐々に明らかになり、殺人未遂事件の真相に迫る一種の謎解きだが、根底にあるのはルイの心の痛み。幼いながらも周囲の人々の気持ちを敏感に察し、必死にサバイバルするルイの心境はいかばかりか。切羽詰まったルイの選択は現実離れしているかもしれないが、「こういうことあるかも」と思わせる。ルイ役で物語を引っ張るのは、ちょっとヒネた感じもあるA・ロングワース。酸いも甘いも噛み締めたというか、子どもながらの達観が伝わる快演だ。

  • パディントン2
    ロイド・ダブラーに続く、理想の恋人は熊でした!
    ★★★★★

    理想の男性は『セイ・エニシング』のロイド・ダブラーでしたが、パディントンも加わりました。どんな人にも分け隔てなく接し、敬意を持って、相手の良い面を見る。パディントンのような人ばかりだったら、世界がハッピーな場所になるはず。彼の温かなハートはご近所さんの優しさを引き出し、ムショ仲間とも固い絆を培う。その一挙一動に思わずにっこり。そして今回のパディントンはアクティブなアクション演技も披露。野良犬の背に乗って西部劇ばりの追跡劇をしたり、りんご飴を使って疾走する列車にしがみついたり。可愛くてかっこいい! 悪役を演じるヒュー・グラントのコメディ演技も素晴らしく、今後はこの路線を追求してほしい。

  • 目撃者 闇の中の瞳
    人間の欲望をむき出しにする監督の才能に注目!
    ★★★★★

    セクシータレントを乗せて交通事故を起こした政治家をスクープした記者もまた事故を起こし、その車にも因縁が!? というつかみで霊魂系ホラー?と思いこんだら、物語が予想外の方向に転がり始めて興奮。布石の置き方も回収の仕方も巧みだし、登場人物の造形が多面的なのが魅力的だ。チェン・ウェイハオ監督は、あらゆる出来事を多角的に見つめて人間の欲望をむき出しにしていく。本作は劇場長編2作目らしく、今後の活躍が期待できる逸材なのは明らか。またスクリーンに登場した瞬間から異様な空気感をまとっているメイソン・リーに目が釘付け。本当のサイコパスなのではと思わせる演技力に圧倒された。

  • ジオストーム
    ひとまずディザスター映画として平均点以上の仕上がり
    ★★★★★

     監督はローランド・エメリッヒの相方ディーン・デヴリン。だからなのだろうけど、気象コントロール衛星の運用を巡る政治的陰謀サスペンスを描く基本プロットは初期エメリッヒ作品『スペースノア』そっくりで、世界各地で起きる異常気象パニックのスペクタクルは完全に『デイ・アフター・トゥモロー』。そこへ『アルマゲドン』的な感動要素も盛り込まれ、どこかで見たような展開だらけなことは否めない。
     ただ、ジェリー・ブラッカイマーの指導によるリライト&撮り直しが功を奏した面もあってか、ひとまず平均点レベル以上のディザスター映画には仕上がっている。思いきり金のかかったアルバトロス作品というくらいの気持ちで臨まれたい。

  • 監獄の首領
    犯罪の巣窟と化した監獄生活に背筋が凍る韓国産犯罪アクション
    ★★★★

     刑務所に居ながら外の世界の権力を操り、所内の人事も牛耳って所長や看守をアゴで使い、夜な夜な部下たちを外へ出してはアリバイ100%の完全犯罪を繰り返す。そんな犯罪組織のボスと新たに収監された元刑事の対立と駆け引きを、ウルトラハードなバイオレンスてんこ盛りで描く韓国産犯罪アクション。
     賄賂に恐喝、暴行、殺人など何でもあり。南米や東南アジアの刑務所も真っ青の凄まじい監獄生活の描写は、もちろん完全なフィクションとはいえ、しかし公務員の汚職など日常茶飯事の韓国ならさもありなんといった説得力がある。中盤で明かされる元刑事の正体や目的は予想通りだが、それでも一筋縄でいかないストーリー展開は見応え十分だ。

  • 悪と仮面のルール
    荒唐無稽な設定に真実味を持たせるだけのパワーが足りない
    ★★★★★

     悪の心を代々受け継ぐ家系に生まれた男が、その望まざる伝統の継承に抗いつつも、愛する女性を危険から守るために罪を重ねていく。原作の予備知識がないこともあって、もっとダークで血生臭いサイコスリラーを予想していたのだが、どちらかというとサスペンス仕立てのラブストーリーといった趣きだ。
     テロや戦争などの絶対悪が蔓延る世の中にあって、愛ゆえに人を殺める主人公の行為は果たして悪と呼べるのか?という点が本作の核心だと言えよう。荒唐無稽な設定はともかくとして、そこに真実味を持たせるだけのパワーが乏しく、雰囲気先行で上滑りしがちな印象は否めない。題材や視点が興味深いだけに、その食い足りなさが惜しまれる。

  • ガーディアンズ
    ロシアのスーパーヒーローは熊に変身する
    ★★★★★

     確かに、熊は珍しい。ミュータントのヒーロー4人のうちの1人を動物系にするとして、その1種類しか登場しない動物を"熊"にするのは、ロシアならではの発想だろう。4人中の1人がカザフスタン出身という設定でアジア系の風貌をしているのも、ロシア式と言えそうだ。しかし、より興味深いのはむしろ、それ以外はハリウッド製のスーパーヒーロー映画と違いがないという点なのではないだろうか。こちらも「X-MEN」「X-ファイル」と同じスーパーソルジャー計画で、遺伝子操作で、マッド・サイエンティスト。VFXも、質感は硬いが派手さでは負けてない。ここから先のロシア製SF映画がどんな世界を見せてくれるのか楽しみになる。

  • 5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生
    単なる感動ものに終わらない実録サクセスストーリー
    ★★★★

     病気で視力の95%を失った若者が、ホテルマンになるという夢を叶えるため、視覚障害を隠して一流ホテルの研修課程に挑むという実話の映画化だ。
     諦めなければ夢はきっと叶う。そんな使い古された文句に集約される話だが、しかしその道程は極めて過酷だ。まさに「言うは易く行うは難し」。あなたなら自分の夢を叶えるため、どれだけの覚悟を持って努力できるか?そんな問いを観客に投げかける。
     とはいえ、語り口はどこまでも明朗快活。若者は周囲の人々の善意に支えられ、固い友情や淡い恋愛を経験しながら試練を乗り越えていく。それでも単に心地良いだけの感動映画で終わらないのは、事実に裏打ちされたリアリティの賜物だろう。

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