シネマトゥデイ

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映画短評

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  • メアリーの総て(すべて)
    #TimesUpの時代にふさわしい、興味深い伝記映画
    ★★★★★

     ホラー界の最も重要なキャラクター、フランケンシュタインの生みの親は、若い女性。だが、それが理由で、あの傑作は、もしかしたら埋れたままで終わったかもしれなかったのだ。女性に対する偏見や不平等の是正を訴える「#TimesUp」運動が巻き起こる中でこの映画が公開されるのは、最高のタイミング。しかし、それは映画のほぼ終わりになってからで、そこまでは16歳の主人公メアリーが、情熱的な恋のために苦労を強いられる様子が描かれる。そのため、どちらかというとメロドラマっぽくもあるのだが、そこでも当時の女性がどのように生きていたのか、何を期待されていたのかが語られて、興味深い。

  • search/サーチ
    ユニークな映像手法が、ストーリーとテーマに直結
    ★★★★

     タイトルは、娘の"捜索"とネットの"検索"、両方を意味している。父親が娘の行方不明の真相を追う謎解きミステリーで、それだけで面白いのだが、その謎解きをネットですることで面白さが倍増。
     "すべてパソコン画面の映像で展開する"という宣伝文句は本当で、そのうえ、それが映像手法として面白いだけではなく、ストーリーとテーマの双方に密接に結びついているのだ。
     ネットのSNS、動画、検索などによる調査であることが、ストーリーに大きく絡む。そして謎解きの中で、ネットで分かること、陥りやすいことが描かれて、現在のネット社会についてのメッセージにもなっている。

  • ここは退屈迎えに来て
    芸達者な若手とフジファブのコラボ、だけじゃない。
    ★★★★

    主演の一人が橋本愛で、さりげなくスクールカーストも描きながら、“謎多き男・椎名くん”を巡る群像劇ということで、どこか『桐島、部活やめるってよ』な雰囲気も漂う本作。富山の情景に溶け込んだフジファブリックの劇伴に加え、名曲「茜色の夕日」の使い方もジワる、せつなく心地良い時空を超えたロードムービーだ。次々と芸達者な面々が登場するなか、ここでもマキタスポーツと援交する女子高生役の片山友希が異才を放つ。時間軸がシャッフルし、冒頭こそノレないかもしれないが、いつもは無意味な長回しが効果的に働くこともあり、廣木隆一監督にとって、『800』『東京ゴミ女』に次ぐ青春映画の名作に仕上がった。

  • ピッチ・パーフェクト ラストステージ
    かなり強引ながら、ファンにとっては満足の完結編
    ★★★★

    前作の構成を踏襲しながら、しっかり続編としての確立させた2作目のハードルは、さすがに高かったか! いきなり、大爆破シーンから始めたり、「カップス」を自虐ネタに使う意気込みは買いたいが、楽器OKな無法地帯となるアカペラバトルあたりから、いろいろ粗さが見えてしまう。とにかく、キャラクターに甘えてしまった感が強く、ファット・エイミーの父役のジョン・リズゴーやライバル役のルビー・ローズ姐さんは、ほぼ出オチといってもいいほど弱い。それでも、絶妙な楽曲セレクトに、定番のライブシーンなど、音楽の力は偉大であり、かなり強引ながらも、ファンとしては有終の美を飾ったと思える仕上がりだ。

  • “破壊”とも違うパンクな導入に、「大人計画」メンバーとふせえりが醸し出すカオスな空気感と、これまでの“脱力系”とは違った笑いにより、前作『俺々』の不満を解消してくれるだろうと確信させられた三木聡監督作。主演2人のコンビネーションは見事なうえ、狂気のA&Rを演じる千葉雄大に、片山友希を絡ませるなど、キャスティングも文句なしだ。とはいえ、韓国パートに突入するや否や、それまでの荒唐無稽さが一気に失速。メロドラマにしろ、バイオレンスにしろ、どこか韓国映画臭は感じるものの、この展開ではいいセリフも突き刺さらない。あいみょん制作の主題歌も映画的な名曲だけに、かなり悔やまれる。

  • テルマ
    リピートすればさらに唸る! 少女スリラーの傑作
    ★★★★★

     2018年の日本公開の作品では、『RAW 少女のめざめ』に匹敵する、恐ろしくよくできた”新女子大生の新生活”スリラー。

     ヒロインのめぐるミステリーで見る者の興味を引き寄せ、エロティシズムと恐怖を振りまきながら展開するドラマ。衝撃的な展開はもちろん、氷上や雪景色、俯瞰ショットなど、映像の一瞬一瞬にドキッとさせられ、ラース・フォン・トリアーの甥っ子ヨアキムの才腕に見惚れてしまった。

     単に怖さを味わっても面白いが、少女が自我を確立するまでの成長ドラマとしても成立しているのも見事。ティテールの巧みさ確認することを含めて、一度見たら、違う角度からもう一度見てみることをおススメしたい。

  • ファイティン!
    演出&ドンソクの力技に身を委ねて、泣くべし!
    ★★★★

     劇中でもタイトルが挙げられる『オーバー・ザ・トップ』からヒントを得たことは想像がつくし、家族劇で感動に持ち込むのも想定内。そうわかっていても泣けるのは、韓国映画ならではのアツい感情描写がなせる技か。

     力コブや表情に肉薄するアームレスリング描写は見ていて力が入る。それゆえ、ともすればベタに映る人と人との絆のエピソードにも気持ちを持っていかれる。演出の力技の勝利。

     そして主演のマ・ドンソクが放つ圧倒的な存在感。彼に腕相撲をさせるコンセプトから本作は始まったとは監督の弁だが、韓国生まれの米国人という設定はドンソクそのままで、演技に力が入ったのはそのせいかもしれないが、とにかくハマリ役。

  • テルマ
    冷たく静かな世界で、少女の何かが目覚める
    ★★★★

     主人公が幼い頃から彼女の内部に在り、しかし両親によってずっとその存在を否定するよう仕向けられてきたあるものが、彼女が実家を離れたことを契機に、少しずつ出現し始める。それは一体何なのか。と、物語の基本は定番だが、それが描かれる世界の冷えた大気と静寂は、この映画独自の味わい。
     氷の張る湖、雪の降り積もる森。窓のガラスさえ冷たい。その冷えた世界の中で、湖、プール、浴槽と、"水"のモチーフがループしていく。その冷気の中で、少女の内部から出現しようとするものが持つ熱が際立つ。
     そして、主人公がその何かの正体を知ったときに到達する場所は、定番を度外視したもの。最後の彼女の眼差しが冷たく熱い。

  • デス・ウィッシュ
    これこそ最盛期を過ぎたアクションスターの生きる道
    ★★★★

    『RED/レッド』や『ダイ・ハード』新作、『シン・シティ~』など近年も「それなりに」アクションスターの威厳を保ったブルース・ウィリスだが、過去の栄光にしがみつく痛々しさも伴ったのは事実。しかし今作の主人公は、天才外科医であり、もともと戦闘能力は備わっていない。メスを銃に持ち替える、ぎこちなさや戸惑いが現時点でのウィリスの肉体にフィット。観ていて無理矢理感がないのが好印象だ。最初は切実な復讐心が、やがて獲物を狙うハンターのように残虐な本能が頭をもたげ、仕事人の目に変貌するウィリスは、危険なオーラ全開! 短い出番ながら、銃砲店の女性店員のセールストーク。そのモラルを揺さぶる破壊力も脳裏にやきつく。

  • アンダー・ザ・シルバーレイク
    映画の都の暗黒面を垣間見るダークファンタジー
    ★★★★

     世にも奇妙な怪作であることは間違いないだろう。舞台はハリウッド近郊の住宅街シルバーレイク。夢破れた若者が失踪した美女の行方を探る。全編に散りばめられるクラシック映画やポップカルチャーからの引用。やがて若者は煌びやかな街に隠された陰謀の匂いを嗅ぎつける。ロサンゼルスは過去の伝説が息づく場所だ。ドライブ中に遭遇するサイレント映画スターの豪邸、撮影スタジオの片隅に佇む黄金時代の名残。それはさながら「夏草や兵どもが夢の跡」。世界中の人々に夢と希望を与え続けるハリウッドは、世界中から集まる人々の夢と希望を食い物にしてきた街でもある。これはそんな映画の都の暗黒面を垣間見るダークファンタジーとも言えよう。

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