略歴: 脳梗塞で死にかけ、今は杖片手に早めの余生。一応映画文筆屋。Web中心に村松健太郎の名前で書いてます。どうぞごひいきに。
近況: お一人でも映画館に行こうという気持ちになっていただけるように精一杯やらせていただきます。
サイト: https://www.instagram.com/kentaroumuramatsu_osonerampo/?hl=ja
色々な”変な物件”を巡っていくのかと思ったら一軒の建物を深掘りするスタイルでした。ちょっと虚を突かれた感がありましたが、これはこれで面白かったです。間宮祥太朗と佐藤二朗の変則バディものとしても楽しめます。今作の佐藤二朗は積極的に笑いを求められる立ち位置ではないのですが、そのことがかえって笑いを誘いました。後半はかなりの力業でお話が展開していきます。このギアチェンジについては賛否あるかと思いますが、個人的には”アリ”としました。メイン二人の組み合わせが意外なほどによかったのでシリーズ化されても良いかと思います。
描かれる事柄(描かれていない事柄)から傑作とするかどうかに関しては人それぞれ、多くの意見が出ることは間違いないでしょう。その上で一本の映画として見た時の圧倒的な力強さは否定できないのもまた確かなことです。複雑なキャラクターを演じたキリアン・マーフィー、中盤以降抜群の存在感を示すロバート・ダウニー・Jr、こちらも高評価が納得のエミリー・ブラントの熱演も素晴らしいです。実話映画ではありますがノーラン監督はその中にサスペンス的な演出を盛り込んだことであっという間の3時間となりました。ノーランとしても一段上に昇った感があります。
多くのジャンル(怪獣映画まで!)を手掛けてきていることで、オールジャンルいける人だという思いがあった金子修介監督が”そういえば特殊なティーンエイジャーの映画の達人だった”ということを思い出させてくれる快作でした。厄介な怪物3人組、特に羽村仁成の顔と名前は覚えておいた方が良いかもしれません。もう一方の主役である岡田将生。端正な顔立ちもあって”好青年キャラ”を演じることが多いですが、実はこういうひたひたと迫ってくるような妖しい役柄が巧くはまる。久しぶりに気持ちの悪い岡田将生を見れて嬉しかったです。サスペンスとしても最高。
本当に文字通り”生と死の狭間の映画”で驚きました。藤井監督が持つ独特な”ファンタジックさ”がものすごく巧く作用していて2時間超の映画でしたが、一気に見れました。色々な背景を持った人たちが出ててきて、その人たちの抱える問題はかなり深刻かつリアルで今日的な事柄で、一つ一つ考えさせられるのですが、そのうえで残り約1/3を使って描かれる映画作り、映画に関するパートがものすごく”救い”になっていて、見終わってみれば温かいものが残る秀作でした。ちょっとした役柄まで豪華なキャストを配したことで、隅々まで印象深いものになりました。
原作、ないしテレビドラマシリーズの知識は知っておかないといけないとはいえ佐々木蔵之介を筆頭に顔芸を堪能できるサスペンス映画。意外な仕掛けも多くて楽しめました。共演陣で言えば何と言っても敵役パートを一手に引き受けた津田健次郎。ラスボスにふさわしい悪役に徹した演技が最高でした。佐々木蔵之介VS津田健次郎の顔芸対決を味わえるだけでも一見の価値があるかと思います。佐々木蔵之介と木村多江、津田健次郎に囲まれる形になった高橋恭平や齋藤飛鳥はいかにも”分が悪い”のですが、それでも大健闘と言えるでしょう。