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ウィッチ (2015):映画短評

ウィッチ (2015)

2017年7月22日公開 93分

ウィッチ
(C) 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

相馬 学

精神崩壊によって、魔女は生まれる!?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 なんとも不思議なテイスト。魔女狩りが行なわれていた時代を背景に、現実と非現実の狭間を行く、そんな妙味が宿る。

 敬虔なクリスチャン一家の絆が引き裂かれる描写は徹底してリアル。信仰の揺らぎや疑惑、子どもの邪気といった負の要素がキャラクターの心理を追いこむ。一方で、森で起こる異様な出来事はオカルト寄り。現実性と非現実性を絡めたスリルの盛り立てが巧い。

 ドラマの肝はヒロインが魔女なのか否かというミステリー。それは見て判断してもらうとして、過酷な体験を強いられる彼女の精神の崩壊を体感させるつくりがイイ。『スプリット』のA・テイラー=ジョイは、今回もスリラーのヒロインとして堂々たる存在感を放つ。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

ピュアとエロスを併せもつアニヤ・テイラー=ジョイに眼は釘づけ

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

“魔女狩り”という比喩に閉じ込められ、一方で、箒に乗って天翔るヒロインを指すと思い込む人も多くなった、魔女。本作は、17世紀アメリカ・ニューイングランドで怖れられた魔女の本質を描き出す。排斥された七人の親子。突如として消えた赤ん坊。次々と降りかかる災厄。湧き起こる疑心暗鬼。恐怖と神秘が交錯する荘厳な森の光と闇が、美しくも怖ろしい。数々の映画祭が称えた新人監督の手腕もさることながら、ピュアとエロスを併せもつ96年生まれの新星アニヤ・テイラー=ジョイに眼は釘づけになる。真っ白な肌にかすれた声、あどけなさが残る表情に汚れなき大きな瞳。信仰と誘惑の狭間で揺れる彼女の存在は、見事にテーマを体現している。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

凝ったディテールと全体のトーン作りが成功の秘密!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

清教徒がたどり着いた17世紀のアメリカを舞台にしたホラーだが、電気のない時代らしい暗めな映像や表情を変えない役者の演技でまず陰鬱な気分になる。信仰心の篤い人々独特の悪魔への恐れや未開の地への不安が見る側をも怯えさせる。低予算とは思えない凝ったディテールも含め、全体のトーン作りは完璧だ。しかも家族7人だけの共同体でさらなる事件が起こり、疑心暗鬼に陥った母親が長女に罪をなすりつけようとする展開に『白雪姫』の母娘関係を連想する。一般論でいうと魔女は恐怖が生み出した幻想だろうが、この映画の魔女は家族に無下にされた怒りや絶望の産物のよう。人間関係の原点である家族を大事にしようってメッセージなのかも。

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くれい響

この監督、名前だけでも覚えて帰ってくださいね

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

次作の『Xメン』でマジックを演じるアニヤ・テイラー=ジョイの出世作にして、短編でエドガー・アラン・ポーの「告げ口心臓」を撮るなど、噂先行型だったロバート・エガース監督の長編デビュー作。サンダンスで監督賞を獲った本作は、350万ドルのローバジェットながら、言語や信仰など、徹底した時代考証もあり、17世紀のニューイングランドの空気感を再現。エンタメ感はないに等しいものの、蝋燭の灯が揺れる闇で展開される魔女狩りをめぐる心理ドラマは、不気味の一言。新人離れした演出だけでなく、アートとしての完成度の高さに驚かされる。『狼の血族』『死霊の谷』など、初期「東京ファンタ」の熱狂と興奮を追体験したければゼヒ!

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平沢 薫

魔女はこのようにして出現するのに違いない

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 魔女というものは、きっとこのようなものであったのに違いない。本作を見終わると、そうとしか思えなくなる。
 
 極限状況下の心理ドラマ。偏った心理が接触して互いに影響し合い、歪みが増幅していく。影の中を動く暗いものを凝視していると、輪郭が次第に失われていき、それが本当にそこに存在するのか確信が持てなくなっていく。幼い子供たちは、ただ自分の行動が与える影響を考えることなく行動するというだけで、周囲に害をなす。

 登場人物たちがみな、寒くひもじい状態にあることを片時も忘れさせないために、戸外の映像は常に青みがかった灰色。大気は日中も、常に暗く冷たく湿っている。

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猿渡 由紀

古いお化け話のような恐怖を感じさせる一風変わったホラー

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

原題に「ニューイングランドの民話」という副題がついているとおり、1630年を舞台にした今作には、 古いお化け話のような怖さがある。7人家族が、人里離れた森のそばでひっそりと暮らしているという設定だけでも、 不吉なことが起こりそうな予感がするが、末っ子が姿を消したり、男女の双子がヤギと話すと言ってみたり、不気味な感じでうさぎが現れたりという現象が続くのだ。悲劇がエスカレートしていった時、家族から一斉攻撃を受ける長女を演じるのが、アニヤ・テイラー=ジョイ。彼女の純粋無垢さが、苦痛をなおさら強烈なものにする。北米ではシャマランの「スプリット」より1年早く公開された今作は 、彼女の大ブレイク作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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