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『ザ・スーサイド・スクワッド』豪華声優で世界に並ぶバズ 高まる吹き替え需要

(c)2021 WBEI TM&(c)DC

 映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン監督が、DCコミックスの悪党チームを描く『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』。個性豊かな悪党たちの吹き替えには、ハーレイ・クイン役の東條加那子やブラッドスポート役の山寺宏一をはじめ豪華声優が集結している。SNSでも話題となったキャスト陣決定の経緯を、ワーナー ブラザース ジャパン合同会社で宣伝プロデューサーを務めるマーケティング本部の金子涼氏と、日本語版制作プロデューサーを務めるテクニカルオペレーションズ部の品川直子氏が語った。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』予告編

吹き替え声優はどう決まる?

 テレビ放送をはじめ、多くの映画ファンに親しまれている洋画吹き替え。品川氏は、ワーナー映画のキャスティング方針について「何よりも、オリジナルのクオリティを維持することが使命です」と語る。「オリジナルにマッチした方を選ぶのが基本。特にローカライズが難しい役の場合は、本国からオーディションをするように指示があります。あらゆる言語のキャスティングを審査する専門の海外スタッフがいて、厳しいチェックの下で決定しています」

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 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』では、東條や山寺をはじめ、悠木碧(ラットキャッチャー2役)、宮野真守(ポルカドットマン役)、大塚明夫(ピースメイカー役)、玄田哲章(キング・シャーク役)、宮内敦士(リック・フラッグ役)、立木文彦(サバント役)、日野聡(ジャベリン役)、姫野惠二(シンカー役)、津田健次郎(ルナ将軍役)、上村典子(アマンダ・ウォラー役)、水樹奈々(エミリア・ハーコート役)、江川央生(キャプテン・ブーメラン役)、加藤亮夫(T.D.K役)、武内駿輔(ブラックガード役)と豪華声優を起用。キャスト発表時の反響について金子氏は、アメコミの盛んな世界各国と比べても負けない盛り上がりを見せたと振り返る。

 「世界的な予告編の解禁と同時に声優を発表したのですが、おかげさまで大変な反響をいただきました。世界各国のバズと比較しても、ほかの国に並ぶくらいの盛り上がりがあった。アメコミ作品の場合、日本はどうしても欧米諸国に負けることが多いのですが、今回の結果は、明らかに声優の皆さんのおかげです」

最強メンバーの起用

 大反響の背景には、批判されることも多い、タレント起用を危惧していたファンの安堵(あんど)感もあっただろう。金子氏は、マーケティングの観点からもプロの起用を優先する傾向が強まっていると感じている。「今は声優の皆さんのメディア露出も増え、純粋に引きがあるという観点はあると思います。制作側には、マーケティングバリューと実力を兼ね備えた方の起用をお願いして、最強のメンバーをそろえていただきました」

 「ただ、ワーナー・ブラザースは監督やキャストなどクリエイター主導のスタジオだと思っているので、マーケティングが作品の先に立ってしまってはいけないという考えが根底にあります。『ザ・スーサイド・スクワッド』でも、監督であるジェームズ・ガンの意向に沿わないキャスティングで、作品を壊すことだけは避けたいという思いがありました」

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 品川氏も「制作側としては、後々まで残るものなので、吹き替えは常にベストなものにしたいと思っています。そういう意味でも、今回は音響監督の三好慶一郎さん、および制作現場スタッフの尽力のお陰で、名実ともに超一流のキャストがそろったので、安心できました。また、公開前から批判されてしまうこともありますが、皆さんご存知のように、本業の声優さんではなくても、上手な方はいらっしゃいます。今回もファーストサマーウイカさん(ソル・ソリア役の)に参加いただきましたが、素晴らしい演技をしてくださっています」

ニクい配役の経緯

玄田哲章のキング・シャークは共演陣からも大好評だった (c)2021 WBEI TM&(c)DC

 キング・シャーク役(声:シルヴェスター・スタローン)に玄田哲章をあてるなど、ニクいキャスティングも話題に。品川氏は「スタローンが顔出しをしているわけではなく、演技も少しエキセントリックなものでしたが、玄田さんがベストマッチだと確信していました。実際にスタローンの声に合わせたハジけた演技になっていて、玄田さんの声を聞いたほかの声優の皆さんにも『かわいい』と評判でした」と明かす。

 一方、ブラッドスポート役の山寺は、「本編がギリギリまで完成しなかったため、手探りのキャスティングだった。最もセリフの多いキャラだというのは事前にわかっていたが、どんなセリフがあるのか、本当に山寺さんに合う役なのか直前まで分からなかった。それでも山寺さんは、イドリス・エルバの声の感じに寄せて演じてくださったりと今回も完璧。こちらから、もう少し自然な本来の山寺さんのお芝居に戻してほしいとお願いしたくらいでした」

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 また、海外スタッフからも大絶賛だったのが、ラットキャッチャー2役の悠木。「ラットキャッチャー2は、本国のテストが必要なキャラの一人だったんですが、悠木さんの演技は海外からも大絶賛でした。すごくキャラクターの読みが正確というか、常に面倒くさそうだけど屈託のない、ある意味でピュアな役が完璧にフィットしていましたね」(品川氏)

 ちなみに、ジェームズ・ガン監督は、登場キャラクターの「ほとんどが死ぬ」と発言しているが、キャストのネームバリューとキャラの生死は関係がないとのこと。品川氏は「死ぬ役も非常にインパクトがあって作品全体の印象を左右する重要な存在です。こんな贅沢をしていいのかというのはありました」と苦笑。人気声優が集まっただけに、スケジュールの合間を縫って、必死の吹き替え作業が行われたという。

高まる吹き替え需要

 テレビ放送やソフト化だけでなく、劇場公開時に吹き替え版が上映されることも増えている昨今。品川氏は、需要の高まりを肌で感じているという。「昔から字幕を読むことにストレスを感じる方もいたと思いますが、需要の高まりは感じています。4D上映をはじめとした、映画館の楽しみ方の変化もあるのではないでしょうか」。

 金子氏も「4D上映をはじめとした映画館の楽しみ方の変化は影響していると思います」と語る。「特にラージフォーマットで映画を楽しむ場合、演出や大画面に集中したいという理由で、吹き替えを選択する方は多くなっている。そうした上映形態は単価も高くなるので、業界の一助にもなるのではないかと思っています」。(編集部・入倉功一)

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