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銃乱射事件の生存者がトラウマを乗り越えるため製作した短編映画とは

オーロラ銃乱射事件の生存者であり、自ら製作したティム・マクグラス監督
オーロラ銃乱射事件の生存者であり、自ら製作したティム・マクグラス監督

 2012年にコロラド州の映画館で起きたオーロラ銃乱射事件の生存者を題材にし、現在開催中のトライベッカ映画祭(17th TFF)で話題の短編映画『サバイビング・シアター9(原題) / Surviving Theater 9』について、同事件の生存者で本作の監督も務めたティム・マクグラスが、4月24日(現地時間)、ニューヨークのザ・ドミニク・ホテルで単独インタビューに答えた。

【動画】『サバイビング・シアター9(原題)』海外版予告編

 本作は、オーロラ銃乱射事件の生存者で、事件後、大学時代にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患ったマクグラス監督が、コロンバイン高校銃乱射事件の被害者女性キム・ブレア・ウッドラフさんと出会い、同じ苦しみを共有できたことで、過去の事件にトラウマを抱える人々に手を差し伸べる運動に携わっていくさまをドキュメンタリー調に描いたもの。映画内では、当時現場にいた人々へのインタビューを通して再現したシーンや、マクグラス監督が当時PTSDで苦しんでいたシーンを交錯させながら描いている。

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 このコンセプトが生まれたのは、事件から1~2年後、まだ精神的に回復しようとしていた時期だったと語るマクグラス監督。「その頃に、コロンバイン高校銃乱射事件の被害者で、太極拳を教えるキムに出会ったんだ。彼女は、トラウマを患っている人々の街に出向き、そこで太極拳のクラスを無料で開き、さらに(自身の体験による)カウンセリングも無料で行っていたよ。その時点では、キムを描いたドキュメンタリーを製作したら、僕のトラウマも癒えるのではないかと思っていたんだ。実は、その当時の僕も事件のトラウマでセラピーに通ってはいたが、それは、銃乱射事件の被害者という特殊な人へのセラピーではなくてね。だから、キムに本やセラピーではなく、何か乱射事件のトラウマを把握してくれる映画みたいなものがないか聞いたんだ。それがきっかけで、自ら製作してみようと思ったんだよ」と経緯を明かした。また、ドキュメンタリーで当時を振り返るよりも、生存者が前に進んでいることを描きたかったため、実写映画にしたそうだ。

 また、メディアが犯罪者ジェームズ・ホームズだけを扱っていることに、当時はいら立ちを感じていたそうで、「僕だけでなく、同じ体験をした人々は、メディアの報道にそう感じていたかもしれないね。今作のタイトルは元々、『We Are Still Here』(われわれは(あのトラウマを抱えながら)今も生きている)だったんだ。多くの人はすぐに同様の乱射事件を忘れてしまうからね。でもあえて、タイトルをSurvivingに変えたのは、トラウマと戦ったサバイバーのための映画だからだ。そのせいか、この事件だけでなく、同時多発テロや戦争、セクシャル・ハラスメントの被害者などからもメールをもらったんだ」と語った。

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 キャスティングについては、「僕以外は、みんな俳優を雇って演じてもらったよ。最後に、キムを含めた僕に関わってくれた実在の人物3人が登場しているんだ。実は、今作のオリジナルのコンセプトでは、僕のストーリーは入っていなかったんだ。でも製作していくうちに、あなたも参加すべきだと勧められて、自ら参加することにしたんだ」と説明し、実際に事件の起きた現場に戻って、当時を振り返りながら撮影することは、かなり困難だったことも明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

Surviving Theater 9 Trailer (2022 Release) - Tribeca Film Festival Official Selection » 動画の詳細
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