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映画短評

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  • 僕と世界の方程式
    一瞬、主人公の見ている数学的世界を体感!
    ★★★★★

     突出した数学的センスを持つ主人公が街を歩いている時に、ふと、彼の目に世界が色と図形で出来たるものとして映る。すると、主人公はその美しさに魅せられ、歩くことを忘れてその場にたたずむ。純粋な美と、純粋な感動が接する、そのシーンが美しい。

     主演のエイサ・バターフィールドの、ひょろりと伸びてしまって筋肉が追いついていない手足と背丈、いつも驚きに見開いているかのような大きな青い目という姿形は、世界とどう関わればいいのかよく分からない主人公の内面の不安定さを、そのまま形にしたかのよう。ドキュメンタリー出身の監督が鮮やかに切り取る、英国ケンブリッジと台湾台北、2つの街の色彩と湿度の対比も美しい。

  • 疾風スプリンター
    スポ根映画の熱をフィジカルなレベルで伝える快作
    ★★★★

     香港製男気映画というとジョン・ウーやジョニー・トーが思い浮かぶ。彼ら先人とダンテ・ラムが異なるのは、リアルな肉体性の追求という点。

     展開こそよくあるスポ根ものだが、ペダルをこぐ脚や太ももの筋肉の収縮、苦しげな表情、息遣いはひたすら生々しい。転倒時に生じた怪我や傷も、しっかり見せるから痛みもダイレクトに伝わってくる。そういう意味では、前作『激戦 ハート・オブ・ファイト』の発展系でもある。

     ラム作品の常連ニック・チョンが出演していない前情報に寂しさを覚えていたものの、見始めるとそれがどうでもよくなった。男優たちはもちろんヒロインも添え物に終わらず、存分に肉体性を表現。アツい!

  • 人魚姫
    クラくない人魚姫、または魚版『プリティ・ウーマン』!?
    ★★★★

     チャウ・シンチーは監督に専念するようになってから、新たな黄金時代を迎えているのでは? 前作『西遊記~』からの好調が維持されていて、そんなことが頭をよぎる。

     バカバカしい一発芸も下ネタも恐れずに連ねる、始めにギャグありきの姿勢の潔さ。過剰な笑いは、拝金主義を背景にした環境破壊というテーマの重さやロマンスのゲロ甘テイストを中和する。こんなことをやれる監督は、そうそういない。

     同名の童話がベースというより、『プリティ・ウーマン』の極端なアレンジという方がピッタリくる。ちなみに原題は“美人魚”。最初は美人とは思えなかったヒロイン、リン・ユンが、どんどん魅力的に見えてくるのもイイ。

  • ネオン・デーモン
    もはや誰にも止められないDD気質
    ★★★★★

    カンヌでのブーイングも納得の、やりたい放題である。ケネス・アンガーも、ギャスパー・ノエも、リンチも、アルジェントも、クローネンバーグも、「DD(誰でも大好き)で、何が悪い!」と言わんばかりに暴走するレフン監督。そこまで好き勝手やっても、オリジナルを超えれば、文句はないのだが、もちろん超えられるわけもなく、おまけに尺が長く、ジャンルムービーとしての潔さも感じない。また、既視感を含む印象は『ディストラクション・ベイビーズ』に近いものがあり、前出の変態パイセンたちをリアルタイムで体験できなかった世代が熱狂するのは分かるが…と思えてしまう。あと、レフンが貧乳・つるぺた好きなのは、イヤなほど分かった!

  • ザ・コンサルタント
    難点は多いが、どこか憎めない
    ★★★★★

    シラットを使いこなすベン・アフレックの姿は魅力的だが、「今度はベンにジェイソン・ボーンやらせたら面白くない? 『グッド・ウィル・ハンティング』な要素も入ってるし!」なオトナの計算が見え隠れする本作。主人公のバックグラウンドが次第に明らかになる展開は、ある意味ギャヴィン・オコナー監督の十八番だが、ミステリアスに描きながら、それが驚きに繋がらないし、アナ・ケンドリックスやJ・K・シモンズの使い方もモノ足りない。そんな難点が多いなかで、意外な笑いどころなど、どこか憎めない感じが見え隠れ。そこが賛否分かれるところだが、あの『ウォーリアー』監督の最新作と観ると、フツウに“問題作”にしか見えない。

  • 沈黙−サイレンス−
    さんざん待たされた甲斐はあった
    ★★★★

    スコセッシ監督の前作が『ウルフ・オブ・ウォールストリート』だったことが信じられないほど、静寂に満ちた160分である。監督の原作に対する、ただならぬリスペクトに引っ張られるかように、『アメスパ』での失敗以降、もう後がないと感じた(?)アンドリュー・ガーフィールドの鬼気迫る演技、暗すぎた篠田正浩監督版とは比にならないほど美しいイニャリトゥ組、ロドリゴ・プリエトの撮影など、すべてに圧倒される。しかも、ハリウッド大作にありがちな、奇妙な日本描写もないうえ、イッセー尾形から小松菜々まで、日本人キャストがしっかり爪痕を残しているのも嬉しい。ただ、体調が優れないときに観ることだけはオススメしない。

  • 新宿スワンII
    待ちに待った続編だが、パワーダウンは否めない
    ★★★★★

    前作では、深水元基の魅力が爆発していただけに、彼演じる関と旧友・滝との関係を描く「横浜王国編」の映画化はファンとしては嬉しく、滝役に浅野忠信を配する“もっと!スカウト版『クローズZERO』”を狙った山本又一朗Pの抜け目なさを感じる。だが、2人の「ハイロー」的アツさを求めると、意外に肩透かし。ヒロインを務めた広瀬アリスの存在感も、前作の沢尻エリカの足元に及ばず。極め付けは、まったくルールが分からないキャバ嬢コンテスト! いろいろと交通整理ができてない状態で、133分の尺はやっぱり長い。よって、パワーダウンしてしまったのは否定できないが、谷垣健治が参加したアクション・シーンだけは別格だ。

  • 太陽の下で −真実の北朝鮮−
    8歳の主人公のその後が不安で、不安で……
    ★★★★

    平壌の一般家庭に密着したドキュメンタリー映画が「北朝鮮政府が見せたい幸せ家族像」だったと気づいたロシア人監督が政府の裏をかいた作りなので、政府の指導っぷりが赤裸々に。生きるためには指導者に従って自身の感情は持たないようにする全体主義社会に生きる人々の処世術は今さら新しいものではないが、プロパガンダ映画の作り方ハウツーが恐ろしくも笑える。そして、8歳の主人公ジンミちゃんがクライマックスで流す涙に人間は本能として自由を求めているのだなと実感。もちろん涙の意味は彼女にしかわからないけど、北朝鮮政府はこの映画に激怒しているとのことで少女のその後が不安になりました。収容所に送られてたらかわいそう。

  • 牝猫たち
    社会のボトムから現代日本の哀歓を立ち上げる傑出の84分
    ★★★★★

    これまでの白石和彌監督作の中で一番好き。言わば『ロストパラダイス・イン・トーキョー』の発展形か。ルポルタージュ的、社会問題の総目録的な内容だが、それを寓話的な感触に落としこむ際にロマンポルノというお題の枠組みが絶妙に機能しているのだ。田中登『牝猫たちの夜』は新宿だったが、これは池袋。ロケも素晴らしく、「いまの日本」を伝える風景がよく選ばれているなと思う。

    ハリウッド映画や海外ドラマの働く女性群像を反転させたとも言える作劇も秀逸。底流するのは視座の「優しさ」。特に迫るのはシングルマザー結依のエピソードで、客役のとろサーモン村田秀亮が最高。リアルで色気もある「名優」ぶりにびびったよ!

  • ネオン・デーモン
    この鬼才は、どこまで悪魔的に進化するのか?
    ★★★★★

     『ドライヴ』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞した、ある意味上品なイメージゆえか、ニコラス・ウィンディング・レフンは少々誤解されているように思う。

     前作『オンリー・ゴッド』もそうだったが、本作でもレフンはジャンル映画のエッセンスを押し出す。ジョン・カーペンター作品を思わせるシンセ音楽の起用、『サスペリア』のごとき女たちの魔女的存在感。下品であることを恐れずに突破を図る、そんな意欲に圧倒された。

     伝えるべきは“美”に対する現代人の異様な執着。鮮血の映像に加えてテーマのとらえ方も過激だが、そこに宿るアーティスティックなこだわりにブレはない。苛烈さを突き詰めるレフンの姿勢、断然支持する。

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