シネマトゥデイ

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映画短評

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  • 退屈な日々にさようならを
    「小さな映画」の、とっても大きな傑作
    ★★★★★

    年内は限定公開だが、2016年の重要な一本だと思う。ワンレベル更新した今泉力哉の傑作だ。舞台は東京と、登場人物の故郷である地方の町。後者は震災の被害が大きく、放射能の影響も濃い所。その示し方はさりげなく、慎ましく。やがて142分、生と死が親密に溶け合う大きな世界像が不思議な時間感覚で醸成されていく。

    今泉の描く日常の人間模様はサークルという言葉が似合うが、小さなコミュニティの成立要因に対する批評性こそが彼の肝だろう。もしここに生活を脅かす外的危機が介入すれば、極めてリアルな社会派になる、との論旨を筆者は語った事がある。今作はそのアンサーだと勝手に受け取った。カネコアヤノの音楽も素晴らしい!

  • ブレア・ウィッチ
    オトナの事情に屈した『デスノ』監督
    ★★★★★

    『パラノーマル・アクティビティ』がひと段落ついたので、リアルタイムで前作を知らない世代に向けての再始動しかみえない続編。アダム・ウィンガード監督の起用は唸らされたが、やはりシリーズ化に向けた“オトナの事情”に屈した感アリ。パワーアップした魔女の呪いやクライマックスのライティングなど、ホラー演出はまずまずだが、あまりにストーリーが前に進まなすぎ。少しでも真実が明らかになるなり、ウィンガードお得意の反撃展開に持っていくなり、何らかのやり方があったはずだ。百歩譲って、今作るんだったら、なぜ4DXにしなかったんだ? 『デスノート』に続き、『悪魔を見た』のリメイクまで任していいか、ちょっと心配になった。

  • ヒッチコック/トリュフォー
    フィンチャーら人気監督たちはヒッチコックの何を語るか
    ★★★★★

     とにかく登場する監督たちの顔ぶれが凄い。「ゴーン・ガール」のデヴィッド・フィンチャー、「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン、「6才のボクが、大人になるまで。」のリチャード・リンクレイターなど、まったく作家性の異なる現役監督たちが、ヒッチコックのどの部分をどのように語るのか。それに興味があるなら見る価値がある。発言と一緒に、該当映画の該当シーンが映し出されるのも分りやすい。フィンチャー監督がヒッチコックのある部分についての推測を語ると、それに続けて、その推測に関連した内容を語るヒッチコックの肉声を聞かせるといった編集も技アリ。ヒッチコックの肉声がリアルに迫ってくる。

  • アズミ・ハルコは行方不明
    『溺れるナイフ』に続き、賛否両論間違いなし!
    ★★★★

    「ありきたりな日本映画にしたくない」という想いから原作の時系列を崩し、エピソードをシャッフルした松居大悟監督の判断は正解。そのため、謎解きミステリーを期待すると、肩透かしを喰らうかもしれないが、『溺れるナイフ』に続く、感覚的かつ刺激的な青春映画に仕上がっているのは事実。『私たちのハァハァ』の自転車遠征組がパワーアップしたような少女ギャング団の存在は、パン・ホーチョン監督作『出エジプト記』のような不気味さもあり、ラストシーンも印象的。ボロボロになる蒼井優とチャラ過ぎる高畑充希の演技は圧巻だが、とにかくこの2人で本作を撮ったことは、松居監督のキャリアとしても集大成的であり、一皮ムケた感もある。

  • 劇場版 艦これ
    あくまでも予習してから劇場へ!
    ★★★★★

    賛否あったTVシリーズ1期の反省も踏まえてか、コミカルな日常系でなく、バトル中心のシリアス路線を選んだ『劇場版』。TVシリーズ第3話で沈んだ如月が帰還し、それにより敵の深海棲艦と艦むすの関係が明らかになる展開だけに、どこか既視感はあるにしろ、これぞ“提督”が観たかった「艦これ」だろう。しかも、初めて描かれる夜戦シーンは圧巻で、大和の攻撃を始め、見せ場も多い。サクッと91分、明らかに2期に続くエンディングも悪くないが、ここまでの“一見さんお断り”ノリはいかがなものか。ある程度のキャラ紹介はもちろん、『ガルパン』のように、せめてオープニングで1期ダイジェストを見せる配慮は必要だったように思える。

  • ジムノペディに乱れる
    とにかく性欲だけは強い一週間。
    ★★★★★

    『今度は愛妻家』のカメラマンや『つやのよる』のペンション経営者など、女性に翻弄されるダメ男を描かけば、ことごとく“研ぎ澄まされた”作品になる行定勲監督。本人が近いからかは置いといて、そういう意味では今回もハズしていない。同じ過去の栄光にしがみつく映画監督として、『下衆の愛』の主人公に劣るものの、ゲス度はかなり高く、制作意欲はなくても、とにかく性欲だけは強い一週間。後半に登場する妻の状況が『つやのよる』とほぼ変わらないのは、どうか思うが、とにかく芦那すみれがエロいことに驚き。ちなみに、ガチで日活撮影所のスタッフルームで撮ったと思われるエロシーンがいちばんロマンポルノっぽかったりする。

  • エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に
    賞味期限付きの“自由”を生き生きと描いた快作
    ★★★★

     『6才のボクが大人になるまで。』の延長線上にあるドラマ語というよりは、ちょっとだけ上品な『アニマル・ハウス』といった方がピッタリくる(コレはコレで十分、下品なのだが……)。

     寮生活の始まりの3日間をとおして、大学生活でしか味わえない“自由”をスケッチ。酒飲みとナンパと大騒ぎに、友情と恋も入って見ていて楽しくなるが、この自由に“期限”があることをきちんと視野に入れているリンクレイター監督のまなざしが妙味で、少し切なくもある。

     名門野球部という設定なのに、キャラひとりひとりが、まったく名門校の生徒らしくない点も面白い。アメリカの体育会系、自由過ぎ!

  • 湾生回家
    日台を浮遊する魂
    ★★★★★

    台湾生まれの日本人=湾生。
    敗戦で日本に強制返還された彼らの、故郷への望郷の念を描いたドキュメンタリーかと思っていたら、想像以上の展開に動揺するだろう。
    政府の謳い文句に踊らされて台湾へ渡るも、生活が困窮し台湾人に育てられた女性。
    帰国後、差別と偏見に苦悩した男性。
    年老いて一層、誰もが故郷・台湾への思いを募らせている。
    劇中、彼らは当時の状況を何度かこの言葉で振り返る。
    「戦争だから仕方がなかったのだ」と。
    本当にそうだろうか。
    そんな疑問を今に投げかけつつ、戦争はまだ終わっていないことを強く印象づける貴重な記録である。

  • マダム・フローレンス! 夢見るふたり
    これはヒュー・グラント久々の当たり役!
    ★★★★

     あまりの音痴ゆえ史上最低の歌姫とも呼ばれるフローレンス・フォスター・ジェンキンス。その人生は仏映画『偉大なるマグリット』でも描かれたが、あちらは彼女をモデルにしたフィクション。こちらは正真正銘の伝記映画だ。
     まさに事実は小説よりも奇なり。自らの才能を勘違いしたヒロインの思い込みは確かに滑稽だが、しかし天衣無縫に見える彼女の抱えた人生の重みにしんみりと胸打たれ、そんな妻の夢を全力で支える夫の献身に本人たちしか分からぬ夫婦愛の真髄を垣間見る。
     ‘40年代ニューヨーク社交界の優雅、メリル・ストリープの味わい深い演技も見ものだが、なんといっても年輪を重ねたヒュー・グラントのチャームが素晴らしい。

  • ブレア・ウィッチ
    1作目よりも遥かに怖いことは確かだけれど…
    ★★★★★

     インディーズ・ホラーの俊英アダム・ウィンガードが、あの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の正統な続編を撮る。それだけで、ホラー映画ファンの期待を煽るには十分だと言えよう。
     オリジナルの演出スタイルや世界観をきっちりと踏襲しつつ、非日常の世界に足を踏み入れてしまった人間たちの疑心暗鬼と怪異現象の謎を巧みにシンクロさせていく心理描写が手堅い。ファウンドフッテージという手法が全てだった前作に比べると、ちゃんとしたプロの仕事である。
     1作目よりも遥かに怖いことは確かだが、しかしその一方で、それ以上の何かに欠けるという印象も拭えない。まあ、続編という縛りがある中では大健闘だと思うのだけれど。

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