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宮澤佐江、芸能界にギャップ感じた時期 活動休止を経た現在地

芸能活動を約1年間休止していた宮澤佐江 - 写真:中村好伸
芸能活動を約1年間休止していた宮澤佐江 - 写真:中村好伸

 2006年にAKB48第二期生としてデビューし、現在は女優として活躍する宮澤佐江。特撮ドラマ「ウルトラマンデッカー」(毎週土曜あさ9時~・テレビ東京系)に出演中の彼女が、2018年に芸能活動を一時休止していた空白の期間を振り返った。

【画像】カワいい!AKB48時代の宮澤佐江

 「ウルトラマンデッカー」では、謎の宇宙浮遊物体・スフィアに対抗するエキスパートチーム「GUTS-SELECT」のカイザキ サワ副隊長を演じている宮澤。新人隊員をお姉さんのように導くしっかり者で、きりっと制服を着こなす姿も凛々しい。

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 そんな彼女は、2014年に地球ゴージャスの「クザリアーナの翼」以降、ミュージカル女優としてキャリアを積み、2023年1月からはミュージカル「キングアーサー」でヒロイン・グィネヴィア役をWキャストで務める。もともと、観客としてもミュージカルになじみ深かったわけではないそうで、「まさか自分がミュージカルのお仕事をさせていただけるなんて、全く思っていませんでした」と振り返る。

 それでも「初めて参加したときからミュージカルが好きだった」そうで、「アイドルをやっていたので、その延長線上のようなところがあるのかも」と宮澤。ライブなどで経験を積み重ねたアイドルから、ミュージカル俳優へと順調に歩みを進めたのかと思いきや、「今も稽古前から体が硬直しちゃって満身創痍なんです……」と意外に緊張するたちだと吐露する。

 次々と出演舞台が決まる状況に「とてもありがたい」と感謝する一方で、「本当に自分が好きなことがわからないという迷子の状態になってしまった時期があった」と告白。2018年に芸能活動を休止していたのは、「ミュージカルという大きいプロジェクトに呼んでいただくことが多くなっていた時期で、その重圧に心が耐えられなくなってきて。もともと映像のお仕事、テレビのなかでお芝居をする役者さんになるのを夢見ていたのに、なかなかそちらの道は開けなくて……どうしたらいいんだ!? と悩んでいました」と続ける。

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 休止中はどのように過ごしていたのか? 「何も考えず、食べたいときに食べたいものを、好きなだけいっぱい食べていました」と明るく笑い飛ばす。15歳からアイドル活動していた宮澤にとって、そうしたごく普通の女の子のような当たり前の日々が新鮮だった。「次の日のことを気にしないでいいというのも、自分にとっては初めての経験で、友達と自由にスケジュールを合わせて旅行に行くのも、いつかやってみたいと思っていたことのひとつでした。家族と密に過ごすことも、30歳手前で改めて経験させていただきました」

 約1年間の休止期間を経て「少しリセットできました」と宮澤。「今の事務所の方に声をかけていただいたから、こうして再出発ができています。そうでなかったら、この世界には戻ってきていなかったのかなと。声をかけていただいて、本当によかったです」と苦しい時期を乗り越えたからこそ明るい表情で語る。

 それは、きっと一人の人間として大きな経験であっただろう。それでも「休業したことがプラスに働いているなという大きな実感は正直いってまだないのかもしれない」と素直に語る。「物事を常にフラットに見られるようにはなった気がします。芸能界って確かに特別だけれど、その中にいる側の人間にとっては特別じゃないというのか……。それこそ、ウルトラマンの世界ってスゴイな! って思います。たとえば、私が演じるカイザキ サワにとっては、いろいろな場所に怪獣が現れるのは日常茶飯事なわけです。そんな風に、私は芸能界に対して特別なところにいる! と思い過ぎていました。それでちょっと息苦しくなったのだと思うんです」

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 もちろん、一握りの人しかその世界には入れないのをわかっていると前置きしながら、「だからこそ、その中に今、自分がいることをもう少しラフに考えようと思えたのは、お休みさせていただいた期間があったからもしれません」と感じているのは、きっと大きな心境の変化だろう。どんなに夢見ても、特別な能力や才能を持つ一握りの人しかそこにいることが許されない世界。経験がないまま責任のある大きな仕事に携わることを運命づけられた20代の宮澤には、担うものが重すぎたのかもしれない。決意して作った空白の時間は、「居心地が少し違います」という心境の変化をもたらす。今の彼女の頭の中は、もう次の舞台のことでいっぱいらしい。

 そんな宮澤は今、女優としてどんな夢を抱いているのだろう? 「そうだなぁ…」と目線を宙に遊ばせ、しばしの沈黙があった後「自分の名前を検索したときにパッと出てくる作品、代表作のようなものがいつかつくれたらいいなって。主演とかヒロインじゃなくてもいいので、『あの役の宮澤佐江、よかったよね』といろいろな方に知ってもらえたらいいなって思います」と前を見据えた。(取材・文/浅見祥子)

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