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八木莉可子「舞いあがれ!」でピュアさ表現する“透明感”の説得力

(C) NHK

 連続テレビ小説「舞いあがれ!」が第19週に突入。舞(福原遥)の幼なじみである梅津貴司(赤楚衛二)の短歌に心を打たれた秋月史子が古本屋・デラシネを訪れる展開が描かれた。透明感あふれる短歌女子を演じた朝ドラ初出演の八木莉可子の魅力について、制作統括を務める熊野律時チーフ・プロデューサーが起用理由などを交えて語った。

ピュア度100%な八木莉可子!「First Love 初恋」より

 連続テレビ小説の第107作となる「舞いあがれ!」は、ものづくりの町・東大阪や五島列島でさまざまな人との絆を深めた舞(福原)が、空への夢に向かっていく姿を描く物語。第19週では貴司(赤楚)を探し出し、デラシネに会いに来る史子の登場により、舞と貴司の関係にこれまでになかった微妙な変化があらわれる。貴司に自作の短歌を見せ、その言葉にすっかり心を奪われる史子の登場に、幼なじみの久留美(山下美月)も二人の関係を案じる。

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 熊野は八木の起用理由について「八木さんは(脚本の)桑原亮子さんの書いたラジオドラマ『君を探す夏』に出演されていました。史子というキャラクターを作るなかで、桑原さん自身が八木さんをイメージして作っていたというのを聞いて『なるほど』と。八木さんも詩や短歌に興味があって、史子のキャラクターに近いところがあり、独特の透明感を持った方。それなら八木さんにぜひお願いしようとなったんです」と振り返る。

 史子は生き辛さを感じて短歌に救いを求め、歌の中で自分の気持ちを表現する。貴司とよく似た孤独感を抱えた女性でもある。その史子を演じる八木について、熊野は「生き辛さを抱えた点を表現することはもちろん、八木さんの持つ透明感も出ていて感心しました。背も高いことがデラシネの窮屈そうな感じや、自分の生きている中にうまく収まらない感じが出ていて、すごくいいなと思ったんです。『史子ってこういうことだよな』という説得力が出ていて、お願いして良かったです」と笑顔を見せる。

 史子は貴司に短歌を見せる際に「忌憚なきご意見を」と古風な言い回しをしたり、言葉遣いも佇まいも独特。「文学の世界に入ることは、史子にとって極めて重要なこと。孤独感も感じるなかで、なかなか他人と深い意味でのコミュニケーションを取ることができなかった。そういう思いについて誰かと話したいけれど、それができず、心の中にパンパンに詰まった思いが出てこれなくなっている。文学の世界に入ることで覚えた古風な言い回しが言葉の端々に出てくるのも、彼女の不器用や、社交的に人と関わるのが苦手な人なんだろうな、という部分として現れているのだと思います」と解説する。

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 また、史子は舞に対して初対面で唐突に「奥様ですか?」と尋ね、否定されると「ああ、よかった」とあからさまに安堵の表情を見せる。そんな史子の一面についても「出口のない思いを短歌に込め、それが貴司と出会い、きちんと認めてもらって次に会うことを『楽しみにしている』とまで言ってもらえる。そういう人との出会いが彼女にとっては初めてのことで、貴司にも思い入れを持ってしまうんです」という。「悪気はなくとも、舞に対して『この人は梅津先生とどういう関係なんだろう』と気になってしまう。そういうピュアさ、彼女の切実さがあのシーンによく出ていると思います」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)

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