お騒がせ俳優卒業？『インディ・ジョーンズ』シャイア・ラブーフの現在
シリーズ最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の公開を記念して、第4作『インディ・ジョーンズ／クリスタル・スカルの王国』が金曜ロードショーで6月30日に放送される。本作でインディの息子を演じたシャイア・ラブーフは、本作出演後にお騒がせ俳優として有名になったが、最近はどうしてる？ シャイアの近況に迫る。
2000年代初頭には、ドリームワークス製作の大作映画3作に続けて出演。『ディスタービア』(2007)、『トランスフォーマー』(2007)、そして本作『インディ・ジョーンズ／クリスタル・スカルの王国』(2008)がたて続けに大ヒットし、スティーヴン・スピルバーグの秘蔵っ子と言われたシャイア。しかしその同時期に、2007年11月にはシカゴのドラッグストアへの不法侵入容疑で逮捕され、2008年にはロサンゼルスで飲酒運転による自動車事故を起こし、すっかりゴシップ記事でよく見かけるお騒がせ俳優になった。また、2010年のインタビューでは、自身が出演した『インディ・ジョーンズ／クリスタル・スカルの王国』について「人々が愛している作品を失敗させてしまった」と問題発言。ハリソン・フォードがディティール誌の取材でこの発言について聞かれて、「シャイアは愚かだ。俳優は出演した映画を支持するのが義務だ」と批判したこともニュースになった。
お騒がせぶりは近年も変わらず、『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(2019）撮影中の2017年に、公共の場で泥酔して逮捕され、自らリハビリ施設に入所。その後も、2020年12月に、彼の監督作『ハニーボーイ』(2019)での共演をきっかけに交際した英国の人気ミュージシャン、FKAツイッグスが、性的暴行、虐待、精神的虐待を受けたとして、彼を提訴。その報道の後、シャイア本人は自ら降板したと発言しているが、オリヴィア・ワイルド監督・出演の『ドント・ウォーリー・ダーリン』(2022)から降ろされたというニュースが流れた。
しかしこの頃、彼の行動には変化が起きているようだ。この変化には、ミア・ゴスとの関係が与えた影響が大きいかもしれない。ミアは、A24製作の異色ホラー三部作『X エックス』(2022)、『Pearl パール』(2022)で注目を集める英国女優。彼女はラース・フォン・トリアー監督の『ニンフォマニアック Vol.2』(2013）でシャイアと共演したのをきっかけに交際し、2016年に結婚したが、2018年に離婚。それからシャイアは、先述のFKAツイッグスや、音楽クリップで共演したマーガレット・クアリーと交際するが、すぐに破局している。
そして、世界中が新型コロナウイルス感染拡大のため家に引きこもっていた2021年、シャイアとミアが、彼の自宅近くで一緒に自転車に乗っているところが報じられて復縁の噂が浮上。2022年3月には2人の間に女の子、イザベルが誕生する。その後は、2人が娘と一緒に外出している姿は何度も記事になり、この春にもディズニーランドで娘の誕生日を祝う様子が報じられている。また、シャイアは、彼がリハビリ施設に入院していた時に、唯一、面会に来てくれたのがミアだったとも語っている。
また、彼の心情がわかるメールもある。先述の『ドント・ウォーリー・ダーリン』の降板がニュースになった2022年、Varietyにメールを送付。同紙が掲載したそのメールで、ラブーフは降板の経緯を説明し、FKAツイッグスへの謝罪と感謝を述べ、そして自分の現状については「私には生後5ヶ月の小さな女の子、イザベルがいる」「私の妻、ミアと私は、お互いを再び発見し、愛と尊敬のある健康な家庭を作るための旅を始めている」と綴っている。
この頃から、シャイアはベテラン監督と組む仕事が増えている。『バッド・ルーテナント／刑事とドラッグとキリスト』(1992)のアベル・フェラーラ監督の映画『パドレイ・ピオ（原題） / Padre Pio』(2022）では、第一次対戦後、イタリアの貧しい村で人々のために尽くした神父の役で主演。そして、フランシス・フォード・コッポラ監督が私財を投げ打って製作する大作映画『メガロポリス（原題） / Megalopolis』で、アダム・ドライヴァー、ダスティン・ホフマン、フォレスト・ウィテカーらと共演し現在ポストプロダクション中。その後も、『ザ・プロフェッショナル』(2001）のデヴィッド・マメット監督が、1963年のケネディ大統領暗殺事件を描く『アサシネイション（原題） / Assassination』で、アル・パチーノ、ヴィゴ・モーテンセン、ジョン・トラヴォルタらと共演する。
かつてのお騒がせ俳優は、このまま真面目に本格俳優への道を歩むのか、それともまた何か一波乱あるのか。1986年生まれの彼は、現在37歳。まだまだ、何が起きるかわからない気配がするのも、この俳優の魅力かもしれない。（文・平沢薫）
