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塚本晋也監督、亡き盟友・石川忠さんと新作でもコラボ「天国の石川さんと相談」

映画『ほかげ』塚本晋也監督と河野宏紀
映画『ほかげ』塚本晋也監督と河野宏紀

 塚本晋也監督が9日、丸の内の日本外国特派員協会で行われた映画『ほかげ』試写会に、同作に出演する河野宏紀とともに出席、塚本作品の常連だった音楽家で、2017年に亡くなった石川忠さんが本作の音楽にクレジットされている理由について明かした。

趣里&森山未來が共演、塚本晋也監督作『ほかげ』予告編

 終戦直後の闇市で、半分焼け残った小さな居酒屋を営みながら体を売って生きてきた女性が、戦争孤児との関係にほのかな光を見いだす姿を描き出した本作。戦場の極限状況で変貌する人間を描いた『野火』の流れをくみ、本作では戦争を民衆の目線で描き出した。現在放送中のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」のヒロインを務める趣里が主演を務めている。

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 今回、戦後の闇市を舞台にした理由について「実は闇市を扱ったスケールの大きな映画の構想が頭の中にあったんですけど、それは規模が大きすぎたので、まずはそれとは逆に小さな話にしたわけです」と明かした塚本監督は、「ただ、その大きな構想で考えたストーリーでは、今映画に映っている以外の部分。子どもがどうして来たのか、(森山未來演じる)テキ屋さんとどう会ったのかなど細かく考えていたので、小さな物語の中でも(その背景を)感じさせることができるように専心したというか。そのためには俳優さんの演技が大事だったので、いかにやりやすいようにするかを考えました」と明かした。

 本作の音楽は、2017年に逝去した音楽家の故・石川忠さんが担当している。塚本作品とは切っても切り離せない存在である石川さんということで、「どうして今回の映画で石川さんの音楽が使われているのか?」と尋ねられるひと幕も。

 「石川さんとは最初の『鉄男 TETSUO』からやっていました。(前作の)『斬、』(2018)を作りはじめた時はご存命で、また一緒にやろうねという話はしていたんですが、撮影が終わっていざ頼もうとした時に亡くなられてしまった」と振り返った塚本監督は、「その時はそれまでに石川さんが僕のために作ってくれていた曲と、石川さんの奥さまが未発表曲をくださったので。編集の時は、天国の石川さんと相談しながらそれらを貼り付けて進めました」と明かす。

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塚本晋也監督

 次の作品は「違う方にお願いしなきゃな」と頭では考えていたという塚本監督は「どうしよう……と口では言いながらも、手はどんどん石川さんの曲を編集の時に貼り付けてしまうんですね。石川さんの奥さまのご了解を得て、未使用の曲を。ハードディスクの中に入っているんですが、フォルダを開けるとまた別のフォルダがマトリョーシカのように入っているんですけど、そこに曲がバーッと入っていて。1音だけビヨンと鳴っているようなのもあるんですが、その中から際限なく探していって、見つけては貼り付けるという作業をけっきょくまたしてしまったということです」と述懐。

 「これはもう理屈を越えて、ただ手がそう動いてしまったということです」と語る塚本監督は、「最終的な目標としては、これはあの時に使ったあの曲だよね、ということではなく、あくまでもこの映画用に使った曲であると感じてもらいたい、ということをテーマに。天国の石川さんと相談しながら。石川さんは声に特徴があるので非常に相談しやすいんですよ。だから石川さんならこう答えるだろうなというのは、耳で聞きながら、ひとつずつ確認をとりながら進めていきました」と“天国の石川さんとのコラボレーション”について明かした(取材・文:壬生智裕)

映画『ほかげ』は11月25日より全国公開

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