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元宝塚男役トップ・凰稀かなめ、大河ドラマで生きた経験とは?役づくりのため自宅では「すり足」で歩く

凰稀かなめ演じる赤染衛門
凰稀かなめ演じる赤染衛門 - (C)NHK

 現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で、源倫子のほかのちに中宮・藤原彰子に女房として仕える歌人の赤染衛門を演じる凰稀かなめ。2015年まで宝塚歌劇団・宙組の男役トップとして活躍した凰稀が、所作や歌詠みなど、宝塚での経験を活かしながら臨んだ役づくりを語った。

【画像】赤染衛門の推しメン

 本作は、平安中期に1,000年の時を超えるベストセラーとなった「源氏物語」を生み出した紫式部(まひろ/吉高由里子)の生涯を描くストーリー。凰稀にとって初の大河ドラマ出演。脚本を手掛けたのが、凰稀が2011年に出演した宝塚歌劇「美しき生涯-石田三成 永遠の愛と義-」の脚本も務めた大石静とあって、出演オファーを受けた際の喜びは格別だったという。

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 「大石先生とは宝塚時代にご一緒させていただいて、いつか先生の作品に、そして大河ドラマに出られたらいいなってずっと思っていました。大石先生はすごくパワフルな方。なおかつ可愛らしい部分もあって、人としてもすごく勉強になる方なんですね。宝塚の舞台でもそうでしたが、大石先生が書かれる作品には品もありますし、人間模様を面白く描いてくださるので演じる側として気持ちがすごく動くイメージがあって。だから“大石先生の作品に出たい、出たい”とずっと思い続けてます。特に時代劇は好きだったこともあるので、経験したい気持ちが強かったです。退団しても、こうしてお話をいただけるのは本当に嬉しいのですが、今回は、大石先生をはじめプロデューサーやスタッフ、視聴者の方々に納得していただけるような赤染衛門にしなければという責任感が後から来まして、プレッシャーの方が大きくなりました(笑)」

 念願かなっての大河ドラマでは、とりわけ所作に心を砕いたという凰稀。宝塚歌劇団在団時には男役だったため、女性の所作を体になじませるように自宅でも練習を重ねた。

 「宝塚では男役だったので、(時代劇での)女性の所作は初めて。花柳寿楽先生にご指導いただいたのですが、長袴での歩き方や立ち座りがとても難しくて。スムーズにできるように家でも練習しました。あと、家では常にすり足で歩くようにしていましたね。ほかにも、わたしは階段を右足から上がる癖があるのですが、この時代は左からというルールがあるので、プライベートでも左から上がるようにしたり。かかとの上げ方にも決まりがあるので、その練習もしていました」

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 所作に苦戦する一方で、宝塚時代に培った経験が生きたことも。

 「衣装が重いのでだんだん猫背になってしまうのですが、引き上げる筋力は結構あったんだなと。あとはお辞儀。平安時代は目上の人が通るときなどに三つ指を突いてお辞儀をするのですが、宝塚時代にどれぐらいの角度でお辞儀をするのが一番美しく見えるかといった研究、練習を重ねていたので、そういった経験は役立っているように思います」

 そして、赤染衛門といえば歌。百人一首には衛門の歌も収められている。凰稀にとって和歌を詠むのは初挑戦となり、ドラマで芸能考証を担当する友吉鶴心の指導を受けるも「初めはまったく思うように詠めなかった」そう。

 「和歌は本当にイチからの状態でした。もちろん歌の意味も勉強しましたし、音程や言葉を切るところも決まっていることなどを初めて知りました。一つ一つの言葉を大切にするので、わたしが想像していたイメージと違って、歌うように詠むのではなく“喋る”ことを意識してほしいとご指導いただきました。なおかつ、歌の意味を理解したうえで気持ちを乗せていく。先生に詠んでいただいた音源を聞いて練習したりもしたのですが、気持ちを乗せるというのが難しくて……今も勉強中です」

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土御門殿でのサロンのシーン

 劇中ではしばしば左大臣家の土御門殿で娘の源倫子(黒木華)が姫たちを集めてサロン(勉強会)を開く場面があったが、衛門はいわゆる先生としての立ち位置。これらの場面では、凰稀自らの判断である決めごとを課していたという。

 「衛門のを知的に見せるために意識していたのが喋り方です。若い姫様たちとは違うポジションなので声のトーンは少し落とし、ゆったり喋るようにしていました。所作に関しては、サロンの場に置かれている飲み物やお菓子に手を付けないようにしていたのと、皆が足を崩していても自分はずっと正座で居続ける、といったことも心がけていました」

 知的である一方で、時に意外な一面も見せるのが大石脚本のユニークさ。とりわけ第8回「招かれざる者」では衛門が打毬(だきゅう)で直秀(毎熊克哉)の勇姿に目を奪われたことを倫子に明かし、「衛門ったら人妻なのにそんなこと言って……」とのツッコミに「人妻であろうとも、心の中は己だけのものでございます」と大胆な返しをして反響を呼んだ。

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 「台本をいただいた時に、前半部分はサロンのシーンが多かったので“賢い人”“先生”であるように見せたいと思っていたのですが、打毬のところから少しずつ自由な心を持っていて、可愛らしいところ、乙女な部分も出していけたらと思っていました。衛門は旦那さんとすごく仲が良くて、子供のこともすごく大切にしていて、肝っ玉母ちゃん的な部分もある人だと思うので、そういったところや人間味ある部分は、追い追い見せていきたいです」

 衛門と自身の共通点については「思っていることをあまり表には出さず、どちらかというと人を支える側で、しっかりしているところ」だという凰稀。史実では倫子の娘・彰子にまひろと共に女房として仕える展開となるが、今後の見どころについて「まひろが衛門の良きライバルになっていきます。最終的にまひろとどんな関係になるのかはまだわからないんですが、まひろの感性や才能に多少なりとも嫉妬はあるのではないかと思ったりもします」と言い、宮中の女性たちには元宝塚のトップとして共感も。

 「宝塚時代に仲間たちと苦楽を共にする意識は大きいですし、良きライバルでもありました。そういう意味では宮中で働く人たちは同志と言えると思いますし、共感できる部分はとても大きいです」と語った。(編集部・石井百合子)

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