シネマトゥデイ

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報誌等で活躍するライターや編集者が毎月5本の映画を評価! 映画を観ることに関しては‘プロ’には違いないが、プロといえども人の子。作品の出来の善し悪しに関わらず、好き、嫌いはどうしてもつきまとう。このコーナーでは作品評価の他に個人的な好みを★5段階で表現した。ただしあくまで映画は私的なものなので、ここでの評価が低いからといって読者にとってつまらない映画かといえば……それは劇場へ行って自分の目で確かめよう!

 

-近況など-

映画ライター
野球よりサッカー派なんですけど、仕事でワールドカップの日本戦はほとんど見られなかった。でも日本vsチュニジア戦の最中、スタジオ・ジブリで仕事中に宮崎駿監督に遭遇! ご尊顔拝せて感激でした。
ライター
先月仕事でNYに行き、幸運にも憧れの我がアラン・リックマン様の芝居を見た。生きてりゃあ、いいこともあるもんだ! しかし、NYの町をガシガシ歩いたせいか、目下、足が肉離れ一歩手前状態に。天国から地獄の日々だ。

編集者&ライター
次から次と戦争映画を繰り出すハリウッド。安直に作るのは、もういい加減にして欲しい。特に過去の過ちを認めているというよりも、単なる“感動”の一要素として描かれる人種偏見のエピソードには気分が悪くなる。

メン・イン・ブラック2

ストーリー: MIBのエリート捜査官として活躍しているJ(ウィル・スミス)の前に地球上ではランジェリーモデルをコピーしてセクシー宇宙人になりすましたサーリーナが現れ、MIBビルを占拠してしまう。一人助かったJが頼れるのは元相棒のK(トミー・リー・ジョーンズ)のみだった。
日本公開: 公開中
(丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系)
配給: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
(C) 2002 Columbia Pictures Industries.Inc. All rights reserved.


前作に比べるとストーリーも分かりづらいし、ギャグも決まらない。原因の一つは、前作からのネタを引っ張り過ぎた事だ。監督が期待するほど、観客は前作の詳細を覚えてないんだよな。もう一つの原因は、本筋と関係なく、唐突に繰り出される小ネタの数が多過ぎて戸惑ってしまうのだ。その小ネタに時間を奪われる分、本筋のストーリーが散漫になってしまっている。だけど、その小ネタもいくつかは、見逃すのが惜しいほど凄くおかしい。ラストのオチは、前作同様に凝っていて笑えた。


MIBを引退し、フツーのおじさんと化したトミー・リーは一体、どんな顔して現われる? これだけを楽しみにしてたので、短パン姿にすっとぼけた顔で登場の彼を見た瞬間、もう満足。敵エイリアンに前作ほどのインパクトがなく、ララ・フリン・ボイルのお色気が無駄に終わってようと、はなから期待してないんで。とにかく、ウィルとのコンビで繰り出すトミー・リーのコミカルな味をしっかり楽しめれば、私的にはOK! 後は歌うパグ犬と、遂に自ら色モノとして自覚したマイケル・ジャクソンの出番が見ものって感じです。


映画が始まってから?分、ウィル&トミー・リーの2人が揃っておなじみの黒ずくめのカッコで登場。そのシーンを確認した時点で、心の中で“オッケー!”。その画が観たかったのよっ。最初から最後まで、ひたすらノリだけで突っ走ってる映画だけど、ギャグも笑えるし、うわさのパグ犬フランクのしゃべりも最高。TVドラマ『プラクティス』で高慢ちきな検事を演じているララは、エイリアンになっても女王様キャラ全開で個人的に好感度大。85分という潔のいい上映時間も◎。

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃

ストーリー: 惑星間に広まった分離主義運動と強力な企業同盟は銀河系に対する新たな脅威になっていた。パルパティーン最高議長(イアン・マクダーミド)は劣勢になっているジェダイを支援するために共和国の団結を認可した。
日本公開:公開中
(日劇1他、全国))
上映時間: 2時間22分
配給: 20世紀フォックス映画
(C)Lucasfilm Ltd. & TM All Rights Reserved. Digital work by ILM.


CG映像の説得力はあるけど、物語ることを放棄しちゃってる感じです。伏線を張って物語に説得力を持たせたり、嘘話がリアルになるように工夫を凝らしたりって事が全くないのだ。全宇宙を動かすような悪事を“偶然”立ち聞きしちゃったり、要職にあるお姫様が野放し状態で、簡単に若造と恋に落ちてバカ丸出しでラブラブ、フォースもご都合主義で能力が拡大したり、縮小したり……。まあ、ルーカスも20年以上もこの物語をイジり回して、すっかり嫌になっちゃってるんだろうけど。


第1作目から毎度、SFXの進歩に驚いてきた。でも、ハイテク技術を駆使した作には、もはや食傷気味の昨今。さらに『ロード・オブ・ザ・リング』を見てしまった後では物足りない。加えて、今回はアナキンが暗黒面に堕ちた原因が描かれるはずが、肝心の禁断の恋は青臭いガキのジャレ合い。草原のラブ・シーンには、観てるこっちが恥ずかしくなった。こ、こんなことでダース・ベイダー誕生へと向かっちゃっていいの? 広げ過ぎた風呂敷を、どう畳むんでしょう。ますます最後まで目が離せないわ、ルーカスさん。


ユアン好きなので、前作以上に彼が大活躍なのは嬉しいし、ご贔屓サミュエル・L・ジャクソンのファイト・シーン(ちょっとだけど)もかっこいい。好みじゃないが、ヘイデンの美しさはほとんど少女漫画の王子様のよう。また、隙のないCGワールドはとにかくスゴイと思わせるものがある。ただ、前作より出来はいいと言われているものの、ストーリー・テリングや人物描写は相変わらず??? それをカバーするような、勢いやテンポの良さがないのもツライ。ファンなら楽しめる映画。

チョコレート

ストーリー: 保守的な考えの父親(ピーター・ボイル)をもつハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)と息子のソニー(ヒース・レジャー)は州立刑務所の看守の職業に就いていた。黒人嫌いのハンクは息子のソニーが近所の黒人と親しくするのを好まななかった。
日本公開:7月20日
(日比谷シャンテシネ他)
上映時間: 1時間53分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ



ハル・ベリーがアカデミー賞を獲った時には、人種的な配慮を感じてしまったので、彼女の演技には期待してなかった。ところが、観てみたらセリフに頼らず、喜怒哀楽をくっきり演じ分けるベリーに釘付けだった。激しいセックスシーンもあるが、これもセリフでは伝えきれない心理描写のための必然シーンだった。また、作品のクライマックスでは作り手の志の高さが感じられたし、説明し過ぎない演出も効いている。作品全般が素晴らしい出来。だが、やっぱりベリーが出色。


本作でオスカーに輝いたハル・ベリーは、複雑な感情の機微を見事に表現。さすがだ。特に、夫に続いて息子まで亡くした彼女が酔っ払って、ビリー・ボブに自分の本音をぶつけて抱かれるシーンはリアルで痛々しい。そんな彼女に愛を注ぐことで、息子への罪をあがなおうとする男を演じるビリー・ボブ。寡黙な演技でそつなくこなすが、人種差別主義者で独善的な男が、息子の死で180度も変わるのか? なんて思うし、スリリングなクライマックスの末に用意されているラストをどう解釈するか? 何度も観たくはないけど、悶々と考えちゃうんだな。


夫と一人息子をほぼ同時に失い、貧しく苦しいだけの毎日。そんな絶望の渕に立たされた女性をハル・ベリーが熱演。体当たり演技とは、こういうのを言うんでしょう。でも、これでもかとベリーを襲う不運の連続や、相手役のビリー・ボブが人種偏見主義をすんなり撤回するあたり、観ていてやや無理を感じる。ラストの解釈は人それぞれと思うが、ベリーの選択にあまりにも現実的な妥協を感じて、暗澹たる気持ちになった。結局、生きていくって大なり小なりの妥協の連続なのかな、なんて思ってみたり……。

イン・ザ・ベッドルーム

ストーリー: メイン州で医者を営むマット(トム・ウィルキンソン)と高校で合唱団を教えるルース(シシー・スペセック)の一人息子リチャード(ニック・ストール)が大学の夏休みに帰郷した。離婚暦のある年上の女(マリサ・トメイ)とつき合うリチャードだが、ある日彼女の別れた旦那が現れ、思わぬ悲劇が一家を襲う……。
日本公開:8月3日
(シャンテシネ)
上映時間: 2時間11分
配給:UIP


もし、最も愛する人を突然失ってしまったら? 重ーいテーマです。でも、誰でもそんな事を想像した事があるでしょう? 自分の恋人や家族が……。この作品は、その問題に真っ正面から生真面目に取り組んでる。しかも、建前のモラルの話しで逃げようとしたりしない。まして神様が登場したりもしない。ひたすらにリアルだ。息苦しくなるほどに。そしてこの作品の登場人物たちは、最後にある選択をする。彼らの選択に私は驚きと同時に怒りを感じた。だが、彼らを嫌いにはなれなかった。


シシー・スペイセクの顔を見ると、我がトラウマ映画『キャリー』を思い出す。以来、彼女を見ると、鳥肌が立つ(って大げさだけど)。本作の彼女にも別の意味で恐怖した。息子を殺され、やり場のない怒りを夫にぶつける熾烈な夫婦ケンカは観てて、体が震えた。ラストの血の気の失せた彼女の表情は今も目にやきついている。静かに演技するトム・ウィルキンソンも上手い。そして、この監督の演出は際立っている。伏線の張り方、些細なワンシーンにも意味を持たせ、観客に最後まで気を抜かせない。今年前半の中ではベスト1。


品がよくインテリで、幸せに暮らしてきた中年夫婦が、ある日突然、前途有望な一人息子を失ってしまう……。やりきれない悲劇を、一歩引いた視点でドライにつづるトッド・フィールド監督の演出手腕に心から感激! 事件の後も、淡々といつも通りの日常生活を送ろうとする夫婦の間に漂う、息苦しさと緊張感。クライマックスは極めて深刻なのにどこか滑稽で、そのことが返って起こった出来事の虚しさを際立たせている。俳優の演技も素晴らしく、見応えのある1作。

トータル・フィアーズ

ストーリー: CIAの分析官ジャック・ライアン(ベン・アフレック)はある朝ポケットベルの呼出音で目覚めた。ロシアの大統領が急逝し、ライアンが予測した人物が新大統領に就いたのだ。さっそくロシアに飛ぶことになった彼だが……。
日本公開: 6月29日
(渋谷シネマライズ)
上映時間:2時間4分
配給:東宝東和


傑出したストーリーや卓抜したビジュアルがあるワケじゃないんだけど、“次はどうなる?”的に引っ張る巧みなストーリー・テリングと、会話の中に最高のタイミングで織り込まれるジョークがうまく噛み合って、アッと言う間に2時間2分を駆け抜ける。演技の面で言えば、からかい甲斐のあるおとぼけアフレックと、ちょっとシニカルなフリーマンのコンビがとってもイイ感じ。それとチョコチョコ現れる、工作員のリーヴ・シュライバーがもうけ役。唯一の欠点は、核と放射能に対する鈍感さかな。


頭脳明晰なCIAアナリスト、ジャック・ライアン役をマッチョな兄貴が似合うベン・アフレックが演じる。ミスキャスと思っていたが、さほど違和感なかった。もっとも今後シリーズが続くなら、要即刻シェイプアップだ、ベン。個人的にはモーガン・フリーマン、ジェームズ・クロムウェルやリーヴ・シュライバーなど、味ある俳優たちの火花散らす競演を楽しみ、右傾化が問題視されてるヨーロッパ諸国の現状が頭をよぎるような物語に、怖気を走らせた。でも、核爆弾の描き方が粗雑。やっぱハリウッド映画ということですね。


ベン・アフレックを一度もいいと思ったことがないので、切れ者CIAのジャック・ライアンを演じるなんてっと反感を募らせつつ観たが、これが結構サマになっている。だが、安心してベンの演技を観ていられたのも、脇をきちっとしめるモーガン・フリーマンのおかげ。彼の威厳に満ちた存在感には、まったくもって惚れ惚れ! 映画自体も、サスペンスとアクションの要素を巧みに織り交ぜてた展開で、最後まで一気に楽しめる。核爆発のシーンさえなければ満点なんだけど。

 似顔絵イラスト:川合夕香

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