シネマトゥデイ

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情報誌等で活躍するライターや編集者が毎月5本の映画を評価! 映画を観ることに関しては‘プロ’には違いないが、プロといえども人の子。作品の出来の善し悪しに関わらず、好き、嫌いはどうしてもつきまとう。このコーナーでは作品評価の他に個人的な好みを★5段階で表現した。ただしあくまで映画は私的なものなので、ここでの評価が低いからといって読者にとってつまらない映画かといえば……それは劇場へ行って自分の目で確かめよう!

 

-近況など-

映画ライター
『暴力脱獄』『パピヨン』などなど監獄モノが大好き。特に『ロンゲスト・ヤード』はガキの頃に見たのにディテールまでハッキリ覚えてるほどの強烈な傑作。74年作品なのでビデオ屋で見かけないけど、是非探してみて!
ライター
『トリプルX』で来日のヴィン・ディーゼルに取材。どさくさまぎれに二の腕の立派な筋肉にターッチ!! カチンコチンかと思ったら、結構やわやわだった。胸板も厚くて、見れば見るほど素敵なマッチョなバディの彼に惚れ惚れぇ~。声もナイス。

編集者&ライター
今年で生誕80周年のジェラール・フィリップの映画を久々にスクリーンで観た。「永遠の貴公子」と言われるフィリップだが、その独特の歯並びに目が釘付け! なんで前は気にならなかったのかが不思議。11月に特集上映あり。

スパイキッズ2 失われた夢の島

ストーリー:今やトップのスパイキッズとして活躍するカルメン&ジュニ(アレクサ・ヴェガ、ダリル・サバラ)。大統領の娘を救出した直後、大統領所有の秘密兵器が奪われてしまう。奪回すべく2人が向かった島では、奇妙な生き物が闊歩していた……。
日本公開: 公開中
上映時間:1時間40分
(丸の内プラゼール他)
配給: アスミック・エース エンタテインメント


ロドリゲス監督の『デスペラード』の現実ぶっ飛ばしの逸脱が大好きなので、ガキンチョがスパイをやるっていう荒唐無稽なホラ話の一作目は楽しめた(お子様向けなのでドギツイアクションがなくて少々物足りなかったけど)。さて続編は、新たなスパイグッズが満載でなかなか凝ってるし、昔懐かしい動きをするクリーチャーは奇天烈で愉快だし……。というワケで面白いんだけど、スタッフ、キャストもほとんどそのまんまなので、一作目以上に楽しめるって作品じゃないですけど。


あの緊迫感みなぎるテーマソングを耳にしたら、思わず手はグー。ああ、高まるアドレナリン。まるでドラえもんの世界と言いたくなるようなスパイグッズには顔がほころぶ。しかしだ。今回は性悪なライバルキッズと家族総動員で手柄争い。祖父母まで出てきて、婿と姑のいびり合いもある。世知辛いな。肝心の夢の島には悪趣味一歩手前な動物がぞろぞろ。ロドリゲス監督の思い入れはわかるけど、ぶちこみ過ぎると、面白味も半減。おかげでブシェミの影も薄い。


前作はここまでお子様な内容の映画とは知らなかったので、なかなか作品の世界観に入り込めなかったけど、今回はそうとわかって観たのでそれなりに楽しめた。ブシェミがもうちょっと活躍してくれると、尚楽しめたかも。しかしこのシリーズで感心するのは、メガヒットを飛ばした前作の製作費が3500万ドルなのに、続編は3000万ドルと安く上げてるところ(倍になる場合だって少なくないのに)。さらっと続編作って無難に当てちゃうなんて、ロドリゲスってほんとかっこいい。

アバウト・ア・ボーイ

ストーリー: 親の遺産で遊んで暮らしている独身主義者のウィル(ヒュー・グラント)は、とあるきっかけでシングルマザーのフィオナ(トニ・コレット)とその息子マーカスと知り合う。以来マーカスはウィルの家に押しかけるようになって……。
上映時間:1時間42分
配給:UIP
(日劇3他東宝洋画系)
アバウト・ア・ボーイ
公式サイト:http://www.uipjapan.com/aboutaboy/index.htm
(C)2002 Universal Studios (C)2002 United International Pictures


ギャグもストーリーも在り来たりにならず、安易なお涙ちょうだいにも陥らず、なのにキッチリと笑わせて、泣かせてくれるんだから凄い映画だ。男版『ブリジット・ジョーンズの日記』なんて言われてるけど、よりリアルで、より切実で、よりギャグのセンスがイイ。ニック・ホーンビィの原作小説も読んだけど、エピソードや人物を巧みに省略したり付け加えてる脚色が見事。原作よりも映画の方が面白いって思ったのは久しぶり。脚色・監督のウェイツ兄弟は“巨匠”となる才能だと思います。


お気楽で自己チュウな38歳の独身男に、ヒュー・グラントのヤサ男ぶりがハマったおかげで、人間関係が希薄でも人生OKと信じる人々の日常を垣間見る思いがする。ホント、こういう人っているもんね。そんな主人公の信条をぶち壊す少年がいい。いつも悩める顔して、可愛げがないのだ(実物はキュートだけど)。キャスティングの妙に、二人の生活を彩るファッションや音楽などディテールのこだわり、クスクス笑いにも満ちている。そうそう、グラントファンには彼の歌声も聞き物だ。案外イケる! そして泣かせる!


この映画にはダメなヤツがいっぱい出てくる。主役のウィルは38歳独身のグータラ男だし、ウィルにくっついてくる少年マーカスは学校じゃはみだし者、彼の母親は情緒不安定で自殺騒ぎ……。基本的にコメディだから笑えるシーンはたくさんあるんだけど、どのキャラクターにもどこかに自分を投影してしまい、それぞれのエピソードにいちいちホロリ。「やっぱり人間、ひとりでは生きていけないんだよね」と実感させられるラストには涙涙。……年々、この手の話には涙腺が弱くなってるなぁ。

ジャスティス

ストーリー: 捕虜として収容所にやって来たハート(コリン・ファレル)は、収容所の捕虜のリーダーであるマクナマラ大佐(ブルース・ウィリス)に敵視される。そんな中、黒人将校が何者かに殺害される事件が起きる。
日本公開:9月28日
(丸の内ルーブル他全国松竹・東急系)
上映時間:2時間05分
配給:ギャガ・ヒューマックス共同


『タイガーランド』で惚れた悪ガキのコリン・ファレルが、インテリお坊っちゃまを演じてる。お坊っちゃまは似合わんだろと思ったが、世間知らずゆえに熱くストレートな正義漢て設定だから、ハマってた。上官のブルース・ウィリスに責められてオドオドするなんて演技も上手で、またまた惚れ直した。作品はドンパチ過剰な戦争映画が多い中、第二次大戦を舞台にしながらも、捕虜たちの法廷闘争と人種差別を描いていて面白い。だけど最後は結局、愛国とドンパチやっちゃった。残念。


ジョン・カッツェンバーグの原作を読んでないが、捕虜収容所を舞台にして、人種差別、殺人事件、法廷劇に脱走計画まで見せ場てんこ盛りの映画だ。しかし、過去の戦争映画のハイライトシーンをつなぎ合わせたようなノリだから、人物描写もツギハギ。誰にも感情移入も共感もできない。第一、主演コリン・ファレルはおぼっちゃま育ちの法学生には見えないし、ブルース・ウィリスがいくら寡黙に演じても、深謀遠慮なリーダー役はムリ。それにしても、同名のタイトルでアル・パチーノ主演作があるけど、いいのか?


第二次世界大戦中に、ドイツ軍捕虜収容所で起きた白人兵士の殺人事件。逮捕された黒人将校の裁判をめぐるドラマを描いた本作。力作だと思うが、観終わった後はなんとも憂鬱な気分にさせられる。大体、この映画は何が言いたいのかが、エピソードが盛りだくさんすぎてよくわからない。人種差別問題なのか、コリン・ファレル演じる青年の成長物語なのか、正義とは何か? といった壮大なテーマの問いかけなのか。渋い演技をしようとすればするほど、ミスマッチ感が増すウィリスもマイナス。

ミーン・マシーン

ストーリー: 元英国代表のサッカー選手のダニー(ヴィニー・ジョーンズ)は荒んだ暮らしの末に刑務所送りとなった。所内で看守VS囚人のサッカーの試合が開かれるとなり、ダニーは囚人側のコーチとなり選手を集め始めるが……。
日本公開:10月5日
上映時間:
1時間39分 (銀座シネパトス)
配給:UIP



あらすじを読んで監獄アメフト映画の傑作『ロンゲスト・ヤード』のパクリじゃんて思った。でももらった資料には、最初に『ロンゲスト・ヤード』を下敷きにしてますって断わり書きがあったので、好感を持って観た。オリジナルなエピソード作って頑張ってるけど、本家に敵わない。試合中に敵にヤクうっちゃったり、腕を石膏で固めてぶん殴るってな犯罪者チームならではの本家のエピソードをキチンと取り入れたら良かったのに。そこだけはオリジナリティにこだわっちゃったんだな。


デカくていかつい顔のヴィニー・ジョーンズ。『ロック、ストック~』で目にした時から、いつか何かドカンとやるような気がしてたけど、元サッカー選手だった能力をまんま生かすとは。脇を固めるのもクセ者俳優ばかりで、少林サッカーがマンガ的なアクションで楽しむならば、こちらはキャラクターのおかしさで楽しむ作品だ。演出が雑だったり、物語の展開にもたつく部分はあるが、意地とプライドを賭けたガチンコ対決は痛快。ラストも爽快。これ観たら、ああ一度でいいから、シュートを決めてみたいっ! という自分がいるのだ!!


製作総指揮はガイ・リッチー、監督はCM業界で活躍してきた新鋭となれば、どんな映画かは大体想像がつくというもの。だけど“オスカー候補”みたいな堅苦しい映画の合間には、こういうお気楽な映画が恋しくなるのだ。かつ、「ダメなやつらが何かを成し遂げる話」には無条件に弱いので、すごく楽しんで観た。ヴィニー・ジョーンズをはじめ、俳優はみんな個性があって魅力的。クライマックスのサッカーの試合のシーンも爽快度満点!

ロード・トゥ・パーディション

ストーリー:1930年代のシカゴ。父サリヴァン(トム・ハンクス)の仕事に興味を持ったマイケル(タイラー・ホークリン)は、ある晩、父が人を殺す現場を見てしまう。それがきっかけで母と弟の命も奪われ、父子2人の復讐の旅が始まる。
日本公開:10月5日
(日劇ほか東宝洋画系)
上映時間:1時間59分
配給:20世紀フォックス映画
(C)2002 WENTIETH CENTURY FOX & DREAMWORKS LLC.


冒頭にJ・J・リーが見せる一瞬の名演にいきなり涙。この逸話でこの作品は殺伐としたギャングものじゃないんだ、と思わせる。だから感情移入しまくりで、父子に向けて銃弾が発射されると身がすくんでしまった。だが、トム・ハンクス演じる父親はあんなにイイ人でいいのか? という疑問も。マフィアの顔役になる人物は相当に非情なハズ……。『グロリア』みたいに子供の前でも平然と敵を撃ち殺したりするリアルさが欲しかったけど、テーマはあくまでも父子の愛って事で納得。


奇をてらった作が目立つ中、サム・メンデス監督の新作は肩透かしを喰らうほどストレートだ。マフィアの世界に生きる男たちの裏切りと葛藤を描きながら、2組の父と子の絆を浮かび上がらせていく。中でも、トム・ハンクスが息子から「僕より弟の方が好きだったの?」と聞かれ、答えるシーンには胸が詰まる。マフィアのボスを演じたポール・ニューマンも重厚な人間ドラマに貢献。ただし、殺し屋役ジュード・ロウの汚れメイクはどうでしょう? 『A.I』に次ぐキワモノ路線に見えますが……。


『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデスは、本当に才能がある監督だなぁと感心しきり。映像とか脚本とか、この映画のすばらしいところはたくさんあるけれど、何より全編を彩るメンデス一流の情緒豊かな感性がいい。そして、毎回嫌味なほど上手い演技を披露して、映画ファンにはやや食傷気味なトム・ハンクスはやっぱり上手かった! 抑制の効いた演技に好感が持てます。決め過ぎの演出にあざとさを感じなくもないけれど、堂々とした貫禄を感じさせて見応えのある一作。

 似顔絵イラスト:川合夕香

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