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『007/ダイ・アナザ・デイ』来日記者会見

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007/ダイ・アナザ・デイ


 取材・文/竹内詠味子


世界中を魅了してきたジェームズ・ボンド映画が、最新作『007/ダイ・アナザー・デイ』で20作目、40周年のダブル記念を迎えた。昨年アカデミー主演女優賞を獲得したハル・ベリーがボンド・ガールを演じることも話題になり、ますます注目が集まるなか、監督のリー・タマホリが、2人のボンド・ガールとともに来日し記者会見を開いた。


Q:20作目を手がけたタマホリ監督、今回、ボンド映画の魅力のひとつである悪役を、北朝鮮の将軍の息子にしたのはなぜですか?


リー・タマホリ監督(以下LT): この企画に参加したのは2年半前だが、脚本がとてもよくできていた。今回は、ジェームズ・ボンドが14ヶ月間監禁され、拷問を受ける。つまり、本当にそういうことが起こりそうな国を舞台にする必要があった。北朝鮮は閉鎖された社会だし、完璧なアイデアだったよ。ただ、この映画で悪役なのは「北朝鮮」という国ではなく、個人なんだ。この息子は西洋で教育を受けて、西洋にかぶれている。彼の父である北朝鮮の将軍は、そんな息子をさとす役として、良心の部分を担っているんだ。


Q:ハル・ベリーさんは、女優なら誰でも夢見るボンド・ガールと、アカデミー受賞という2つのことを実現させた唯一の女優ですが、その感想は?


ハル・ベリー(以下HB):とても素晴らしいことよ。特に、オスカーを受賞した同じ年にボンド・ガールを演じられるんだもの。セクシーで、強い役を演じられてとても誇りに思うわ。ボンド・ガールは昔から、ただセクシーで、見下されてきたわ。アカデミー賞を受けたとき、まわりはみんな、「え?あなた、ボンド・ガールもやるの?」と言われたけど、私はむしろ、この素晴らしい役をぜひやりたいと思ったわ。ジンクスも、ロザムンドが演じたフロストも、強さを持った現代の女性。新しいタイプのボンド・ガールを演じられて、2人ともとても誇りに思っているわ。


ロザムンド・パイク(以下RP):長い間ボンド・ガールが見下されてきたのは、嫉妬もあったのかもしれない。この世のものとは思えないような女性だもの。それだけたくさんの人を触発してきたということね。
Q:激しいアクション・シーンもありますが、役作りや撮影のときに苦労した点はありますか?


HB:動いている飛行機に乗り移ったの。ピアース(ブロスナン)はいとも簡単にやってのけたわ。彼は私より10歳も年上だし、私もできると思ったの。何度も何度も、本当に何度も挑戦したけど、結局できなくて…夜のシーンなのに日が昇っちゃって、仕方なくスタント・ダブルがやったの。


LT:できなくても当たり前なんだ。僕がどんどん飛行機のスピードを上げていたんだからね(笑)。


Q:ロザムンド・パイクさんは、今回が初の長編劇映画ですが、この役をオファーされた時の感想は?


RP:素晴らしい瞬間だったわ。返事はあまり待ってもらえず、本当に自分がボンド・ガールを演じるとは思わないまま、最初のミーティングに出かけたの。実際にセリフを読んで、私にもできるかも、と感じたわ。人生がこんなに変わるなんて、すごく驚いた。こんなに世界的な展開になるとは思っていなかったし、まさに、未知のものに踏み込むような気分。エージェントから「君が新しいボンド・ガールの1人だ」といわれたときは、忘れられない瞬間ね。


Q:ジンクスがビキニ姿で海から上がってくるシーンは、初代ボンド・ガールのウルスラ・アンドレスを思い起こさせます。このシーンを演じたハル・ベリーさんの感想は?


HB:最初は死ぬほど怖かった。あのシーンは、ジェームズ・ボンドのファンなら誰でも知っているような有名なシーンだもの。でも、すべて彼女を真似しても仕方ないから、私ができることを自分らしく演じようと考えたわ。


Q:ハルさんは、アカデミー賞を受賞した後、映画に対する姿勢は変わりましたか?今後は、どんな作品にチャレンジしていきたいですか?


HB:もちろん、様々なことが大きく変わったけど、生活そのものはあまり変化していないわね。オスカーを取ったからとか、とるために、というんじゃなくて、アーティストとしての姿勢を続けて生きたいと思ってる。これまで私は、アメリカで働く黒人女優として私ができる道を歩んできたつもり。新しいタイプの映画や役に挑戦して、オスカーが取れたのはその結果だと思うの。これからも、このアプローチを続けていきたいわ。どんな役でどんな映画に出たら賞が取れるかなんてわからないし、考えたない。自分らしいやり方を忘れずに、女優として、役の枠組みを決めず幅広いチャレンジをしていきたいと思っているの。


1月28日(火)  新宿パークタワーホールにて

 

 

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