シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
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映画ライター
先月はハゲのカミング・アウトで触れられなかったんですが、1月までメンバーだった今祥枝さんは内紛の末、抹殺(!)なんて事じゃなくて、ご多忙で編集に専念なのです。お疲れさまでした&引き続きチェックよろしくです。
ライター
ドキュメンタリー映画『WATARIDORI』の総監督ジャック・ペランに取材。俳優でもある人なので、「映画にはもう出ないの?」と尋ねたら、「今、アラン・ドロンと共演映画を撮ってる」。こんな所で懐かしのアラン・ドロンの名を聞くとは……。
ライター
突然、パソコンの通信機能がダウンし、サポートセンターへ問い合わせたところ、リカバリーしなければならなくなった。商売道具が2週間も使用不能になる非常事態に半べそをかいていたが、インターネット・カフェの快適さにご満悦。
 デアデビル

ストーリー:幼くして盲目となったマット(ベン・アフレック)は、視力の変わりにレーダーセンスと呼ばれる超感覚を手に入れる。昼は弁護士、夜はレーダーセンスを駆使して法の網を逃れた悪漢を私刑していたが……。
日本公開:2月8日
(渋谷東急3他)
上映時間:1時間43分
配給:20世紀フォックス映画

Daredevil Character Likenesses:TM (C) 2002 Marvel Characters, Inc. All Rights Reserved. (C) 2002 Twentieth Century Fox.



まず気になるのが、この主人公はなぜ視力を失っただけで超人になってしまったのか? だってビルから飛び下りちゃうんだよ。いくらボクサーの親父に鍛えられたってそれは無理だ。目にかかった化学物質のせいって、私は勝手に設定しました。それと超感覚レーダーセンスとかも、使えたり使えなかったりの設定が曖昧でスッキリしません。これも自分で勝手に設定しようとしたけど、あまりにご都合主義で破綻してて手に負えませんでした。救いは敵役コリン・ファレルの面白さかな。


話は荒唐無稽。よって、盲目で一人ぼっちなのに、バットマンとタメ張る秘密基地のような家や武器やらはどうやって作ったんだ? とツッコミ出したらキリがない。しかし、盲目ゆえに身に付いた超人的な感覚の描写がユニークで、とくに令嬢エレクトラの顔をイメージするシーンはロマンチック。それにしてもだ、コリン・ファレルの悪役ぶりには爆笑。いいのかここまで色物と化しても、と心配になるぐらいハジケちゃって、影あるスーパーヒーローを頑張って演じたベン・アフレックを完全に食ってます。てなワケで必殺仕事人なコリンに★1つ半!


ベン・アフレックは皆様の期待を裏切りません。予想通り、またしてもB級。ツッコミどころも満載です。一応、ヒーローものなんだろうけど、恐ろしく弱い。盲目ゆえ、他の4つの感覚が発達した設定なのに、殺し屋(コリン・ファレル)にも、ただ体がデカいだけのマイケル・クラーク・ダンカンとも力は互角。恋人がピンチの際には、まったく役立たずという有様。これは“なんちゃってヒーロー”という新しいジャンル映画なのか!? ベンを尻に敷いていると噂されるジェニファー・ロペスよ。今こそ、あなたの出番だ。パート2製作は阻止するべし。

 ピノッキオ
ストーリー暴れん坊の丸太から生まれたあやつり人形のピノッキオ(ロベルト・ベニーニ)は大変なイタズラ小僧だった。青い妖精(ニコレッタ・ブラスキ)はピノッキオをいさめるが、彼の悪行は収まらず逆にエスカレートし始める。
日本公開:3月21日
(全国松竹系)
上映時間:1時間51分
配給:アスミック・エース エンタテインメント



キーワードはハゲ。ジェペット爺さんはカツラだし、コオロギもハゲ親父だし、生まれたてのピノッキオまで薄らハゲです。ハゲたピノッキオはどうやったって可愛くない。だとしたら普通どうする? シニカルやブラックな笑いにしようと思いませんか? 原案のF・フェリーニの企図はその辺にあったと思うんだけどね。ところがベニーニは原作に忠実に作った。だから年老いたピエロが無理してハシャいでるみたいで辛いのよ。ハゲはハゲなりに活かし方があるはず、と信じたいんです。


冒頭「私も50歳。ジェペット爺さんを演じられる歳になりました」という一文。なら素直にそうしようよ、ベニーニ。『ライフ・イズ・ビューティフル』で息子に「強制収容所での生活はすべてゲーム」と思わせる演技には魅了された。でも、額にシワのある顔で「私はピノッキオ」と言われても受け入れ難い。何せ、ディズニーアニメのピノキオがしっかりインプットされてるもんで。セットは見事で、色使いは美しく、雰囲気はしっかりファンタジックしてるだけに、ムリに若作りな俳優たちが浮きまくって、別の意味でコワい童話になってます。


幼少時代、天地真理の「まりちゃん自転車」と「ピノキオ自転車」が人気を二分していました。「真理ちゃんは一発屋で終わるはず」と判断してピノキオを選んだ私は、我ながら先見の明があると信じてました。が、映画を見て愕然。私はこんなにやかましくて、なかなか人間になれない切なさなんて微塵も感じられなくて、おまけにすげぇおっさんに、夢とか親しみを抱いていたの!? 「その自転車は木で出来ているんだぜ」と兄にからかわれながらも大切に自転車を乗っていた私は何だったの!? いたいけな幼少時代の思い出を返せ!

 24アワー・パーティ・ピープル
ストーリー1976年、英国のマンチェスター。セックス・ピストルズのライブに触発されたTVレポーターのトニー(スティーヴ・クーガン)は、自身のレコード会社“ファクトリー”を設立。社のアーティストとしてジョイ・ディヴィジョンなるバンドと契約を交わし、彼らを大ヒットへと導いていく
日本公開:3月22日
(シネセゾン渋谷他)
上映時間:1時間55分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ


80年代後半から90年にかけてのイギリスの音楽事情にまったく疎い。出てくるバンドが有名かどうかも分からない。なのであんまり感情移入できず。ドラマとしても際立った作品ではない……。だけどジョイ・ディヴィジョンというグループのボーカルのキャラクターと、そのエピソードだけが他のお話とはまったく異質で違和感覚えてしまうほどダークな魅力に溢れてた。演じた俳優もうまい。おまけに曲も初めて聴いたんだけど、いきなりイイんです。だから☆二つは彼のものって事で。


マイケル・ウィンターボトム監督の作は好きで、とくに『ひかりのまち』はお気に入り映画の1本なんですが、すみません、本作はあまりピンと来なかった。というか、へぇー、セックス・ピストルズがこんな場末なステージで歌っていたこともあったのか。なんて感じで、出てくるバンド名を聞きつつ、勉強しているような気分。思い入れがあれば、きっと違うんだろーが。てなワケで、私は巨漢のプロデューサーを演じてたアンディ・サーキスが気になった。『ロード・オブ・ザ・リング』でゴラムやってるもんで。


マイケル・ウィンターボトムの中では「ひかりのまち」が一番! だと思っているので、それを基準に考えると「無難にまとめたな」という印象をぬぐえない。ウィンターボトム作品って編集が抜群にイイから、毎回、及第点の作品が出来ちゃうのだ。そろそろ“それ以上”のモノを期待したいんだけど。そもそもこの映画のモデルとなったトニー・ウィルソンって、今、例のマイケル・ジャクソンのインタビュー番組を作って、マイケル側に訴えられているグラナダTVの社長じゃん。この映画より、はるかに現実の方がハチャメチャでおもろそう。

 スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする
ストーリー:精神病院からとある施設に収容されたクレッグ(レイフ・ファインズ)は、少年時代に見聞した父(ガブリエル・バーン)と母(ミランダ・リチャードソン)の確執と父の愛人との関係を思い出しながら再体験していく。
日本公開:3月29日
(ニュー東宝シネマ他全国)
上映時間:1時間38分
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)


原作小説は主人公の妄想がグロい。食卓のジャガイモが血を噴いたり、内臓にクモが巣くってると思い込んでたり……。こりゃクローネンバーグの想像力を刺激しちゃって、ネチョネチョグチャグチャの内臓やら奇怪なクリーチャー満載かと思いきや、内臓どころか血もほとんど流れない。あまりに淡白なので少々物足りない気もしたが、主人公がトランクを開けた瞬間にその内容物で彼の精神状態を描写しちゃうなんてさすがクローネンバーグ。楽しめる作品じゃないけど、見応えはあります。


最近アブない男づいてるレイフ・ファインズ。登場した時点で、全身にまとっている空気が普通じゃない。妄想世界で生きる男にハマり過ぎです。原作者が脚本も手掛けていて、たとえば、主人公には日記を綴る習慣があるのだが、それが映像化されると、なるほど精神を病んでるわ、と納得のシーンになっている。また、ミランダ・リチャードソン演じる主人公の母にも注目。本とは違う映画ならではの趣向がいろいろ凝らしてある。ただクローネンバーグ監督作にしてはあっさりしすぎで、物足りなさも……。


カナダの変人監督と英国の超個性派俳優の競演! なんて素敵なコンビだ! ミステリアスでダークで、とっても変態チックな映画に仕上がりました。よほど2人は相性がいいのでしょう。レイフなんて、『レッド・ドラゴン』よりも本作品のイッちゃった演技の方が真に迫っていて、「素じゃないか?」と錯覚してしまいそうなくらいハマってる。今回のクローネンバーグも代表作『裸のランチ』や『ビデオドローム』のころに戻った。監督の性格をそのまま投影したような体温の低い映像で、観客を危険な精神世界へと導いてくれる。

 シカゴ
ストーリー1920年代のシカゴ。平凡な日常をくり返すロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)の憧れは美しいスターのヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)だった。ある日、2人の運命の歯車が狂いだす。ロキシーとヴェルマはそれぞれ別の殺人事件の容疑者として逮捕されてしまうのだ。
日本公開:3月21日
(丸の内プラゼール他)
上映時間:1時間53分
配給:ギャガ・ヒューマックス


物語の設定は奇抜で、演出もそれなりに凝ってるから楽しめるんだけど、登場人物が紋切り型で面白みがない。それよりなにより肝心の歌と踊りが物足りないんだな。ゼタ=ジョーンズは経験者だけに迫力も魅力もある。だけど肝心の主役が厳しい。レニーは一生懸命なので、許されるとしてもギアさまは辛いぜ。とくにあの「つまずいて転びかけてる人」みたいなタップダンスはひどいね。凄いギャラもらってんだからちゃんと練習して下さいよ。でも最高に笑えるけどね。


見終わった瞬間、思わず出た言葉は腹いっぱい、めいっぱい! オヤジ殺しな色気ムンムンのキャサリン・ゼタ・ジョーンズの肢体にまずやられ、舌っ足らずなレニー・ゼルウィガーの歌声にハートをわしづかみされ、ギア様のお見事なタップに魅了されました。ですが、正直言って、私は途中でダレました。いずれ劣らぬ芸達者たちの熱のこもった歌に踊りに演技、見応えあるけど息抜きする間もなくて。そんな中で、哀れな夫を演じたジョン・C・ライリーの存在が私には救いで……。アカデミー助演男優賞はぜひ彼に! 


このミュージカルの素晴らしさは、映画の中身を見なくても一目瞭然。どうよ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズとレニー・ゼルヴィガーの鍛え上げられた肉体は。マドンナのようにマッチョではなく、程よく色香を感じさせる体つきで“肉感的”という言葉がぴったり。その体からこの映画に賭けた彼女たちの気迫が伝わってくるじゃありませんか。特に舞台出身のキャサ・ゼタは当然として、歌に踊りにと、レニーちゃんの奮闘ぶりはスゴイ。ドラマとミュージカル部分の構成も巧みで久々の大型エンターテインメント映画が堪能できるゾ。

イラスト:micao
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