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『メトロで恋して』ジュリー・ガイエ 単独インタビュー

取材・文:芳井塔子 写真:FLiXムービーサイト

パリを舞台に現代のカップルの姿を描く『メトロで恋して』。メトロでひと目ボレされる女性を演じたジュリー・ガイエが来日した。電車が出会いの場となる本作ということで、女性専用車両がある東京の電車事情について、「出会いの場がなくなるから残念ね」と微笑みながら答える、ちゃめっ気たっぷりな女性、ジュリー・ガイエに話を聞いた。

■北野武はアルモドバル監督と感性が近い

Q:初来日ということですが、日本映画はご覧になりますか?

浴びるように観ているわ。『愛のコリーダ』とかね。これも日本映画になるのよね? 昔のモノクロ映画もよく観るのよ。黒澤明監督の『赤ひげ』は、とても強烈な印象を受けたわ。カットの構図や光の使い方などが衝撃的だった。それとアニメ作品も好き。大友克洋の『AKIRA』や宮崎駿『天空の城ラピュタ』、押井守の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』などが好きだわ。宮崎駿監督の作品はすべて見ているわ。そうそう、最近では北野武監督の『座頭市』ね。彼の作品はすべて大好き。

Q:北野武監督は、日本以上にヨーロッパで大きな評価を受けているようですね。

そうなの? 彼は偉大な監督、巨匠よ!

Q:『座頭市』の好きなところは?

音響の使い方が素晴らしいわ。オリジナリティにあふれていると思う。アクションそのものは非情で暴力的なのに、音楽は絵画のように流れている。そのギャップが素晴らしいと思う。それと、ダンスのシーンね。貧しい2人の芸者兄弟がダンスをするでしょ? あのシーンを見たとき、鳥肌がたつくらいに感動したわ。きっと感情が過多になることを恐れない監督なのじゃないかしら。爆発する感情そのものをじっくりと映し続けることをを恐れていないのね。ヨーロッパでいうなら、スペインのアルモドバル監督と感性が近いのではないかしら?

Q:ベタぼれですね。

それと彼にはユーモアがあると思う。ちょっと不器用なユーモアというのかしら? 顔はとてもまじめなのに、ちょっとおかしなことをしているような。何かのギャップからきているおかしさね。

Q:北野監督のことをとても愛しているような話し方をされますね。彼はコメディアンであり、俳優であり、監督でもあります。そういう男性がタイプですか?

北野監督の素晴らしいところは、これだけの才能がある人なのに、謙虚さも持っているところ。とても繊細な感受性を持っている人なのだと思うわ。それがスクリーンからも感じられるの。喜劇というもの、人を笑わせるということは、とても難しいものだと思うけれど、それもできて、さらに人を感動させることもできる。そのふたつをすることができる感性の持ち主だと思うわ。そういう彼のパーソナリティは大好きだわ。

■メトロは素晴らしい出会いの場所

Q:ところで『メトロで恋して』は、電車でナンパされるシーンで始まりますね。これは日本に住む私たちには信じがたいシーンなのですが、パリではよくあることなのですか?

いいえ(笑)。でもフランスの観客は、このシーンが一番のお気に入りだって言う人が多いのよ。メトロでステキな人を見つけたら声を掛けたいなって思う人が意外といるみたいね。フランスでは人を探すための広告のようなものが新聞の紙面には多いの。「何時の何番線の何両目に乗っていた人、連絡ください」とか書いてあるの。実際にフランスでは、この映画の公開後に、自分の気持ちをすぐに声に出して行動する人が増えたって聞いているわ(笑)。

Q:メトロでクララのように声を掛けられたらどうされますか?

クララのように対応する勇気はないかもしれない。怖気ついて声を返さずに後悔してしまうタイプだから。でもこの映画の撮影が終ってから、私自身にも変化が起こったような気がするの。今までは私に微笑みかけてくれる人に対して、それほど反応しなかったのだけれど、今は違うわ。微笑んでくれた人には、自分の中にある扉を開けようとするようになったわ。

Q:日本には女性専用車両とかがあるんですよ。

それはとても残念なこと! せっかくの出会いの機会がなくなってしまうなんて(笑)。パリのメトロは、フランス人にとって歴史のある記念物であり大切なものなの。シンボルでもあり、日常的に使う交通手段でもあるわ。だからこそメトロは素晴らしい出会いができる場所なんです。この映画を見て、日本の人にも電車で声を掛ける勇気を持ってほしいわ。

大きな瞳を輝かせながら話す姿がとてもかわいらしいジュリー・ガイエ。少女のような無邪気さと大人の優雅さを持つ魅力的な彼女の人柄が、女優としての幅の広さになっているのだろう。

『メトロで恋して』は、8月27日、Bunkamura ル・シネマほか、全国順次ロードショー。

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