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『奇談 キダン』阿部寛、藤澤恵麻単独インタビュー

取材・文・写真:FLiXムービーサイト

1980年代、多くのクリエイターたちに影響を与えた漫画家、諸星大二郎。映画化は不可能と言われていた彼の名作「生命の木」を見ごとに映像化した『奇談』。隠れキリシタンの里に伝わる不気味な言い伝えの数々……、現実と非現実的な空間の狭間にあるさまざまな謎を解明していく2人の主人公を演じたのは、藤澤恵麻と阿部寛。NHK連続テレビ小説「天花」でブレイク以降、待望の映画デビューである藤澤恵麻と、近年は個性派俳優としての地位を不動のものにしている阿部寛に、この不思議な映画の魅力を語ってもらった。

■恐怖のインパクト

Q:脚本のどのような点に魅力を感じましたか?

藤澤:最初に、この台本を読んだ時、フィクションであってもどことなく現実にあるかもしれない話、という気がしたんです。隠れキリシタンの里とか本当にありそうで、そんなところが面白いと思いました。

阿部:わたしも、歴史的な背景がある中で昔から伝わっている迷信を深く調べていくような、そんな雰囲気が気に入りました。ホラー映画だったら、ただ恐怖のインパクトがあると思いますが、この映画は違うんですね。脚本を読んで、まるで小さな頃に祖母から聞いた昔話のような感じがしたんです、全体に漂う神秘的な空気にとても魅力を感じました。

Q:原作は読まれましたか? 阿部さんの役は、原作では長髪でしたが……。

阿部:はい。長髪は、ちょっと間に合わなかったのであきらめました(笑)。でも、彼の持つスタイリッシュな雰囲気は壊したくなかったので、なるべく原作の役に近い役作りを心がけましたね。衣装を着てみて、知的な感じを出すために、めがねを掛けたらどうだろう? と提案して、実際映画の中でも眼鏡をかけて演じました。

Q:藤澤さんの役は、原作にはありませんでしたが、役作りはどうされましたか?

藤澤:わたしの役は、この映画のナビゲーター役だと思っています。役作りは、初めはどうしようかと悩んでいたんですが、撮影が始まる前に監督に、「この映画は里美の幼い頃からのトラウマ克服の物語でもあるんだよ」と言われたんです。その一言があったので、肩の力を抜いて演じることが出来ました。

■堂々の映画デビュー

Q:藤澤さんにとっては、初めての映画出演でしたが、撮影はいかがでしたか?

藤澤:なにもかもが初めての体験だったのですべてが驚きの連続でした。この映画は天候もベストな状態になるまで待ったり、本当にじっくりと時間をかけて撮影していったんです。そんな、映画に対しての強いこだわりがとても印象的でした。

Q:阿部さんから見て、藤澤さんの映画主演デビューはいかがでしたか?

阿部:すごく堂々としていて、役に対してもとても深く考えながら演じられていたので、本当に感心しました。僕のデビューの時なんて、感情を考える余裕なんて全然なくて、ただセリフを言うだけでしたから。

■ぞっとしたこと

Q:映画の撮影中に、なにか不思議な出来事には遭遇しませんでしたか?

阿部:ひとつだけあるんです……。詳しくは、お話しできないんですが、実は、映画の撮影が始まる前に、この映画の前半部分のストーリーと全く同じことが起こったんです。しかも、撮影が始まる1日前で……。ただの偶然とはいえ、とてもぞっとしました。

Q:一番印象に残っているシーンはどこでしょうか?

藤澤:子供のころ、神隠しにあった新吉が突然現れるシーンです。彼は、一度消えてもう一度、わたしの前に現れるんです。それは、わたしにしか彼が見えない設定だったんですが、そのシーンの撮影で目の前にいる新吉くんを見た瞬間、里美としても、そしてわたし自身も、とても不思議な感覚に包まれたんです。その不思議な感覚がいまでも抜けきらずに残っています。

■前向きな神隠し?

Q:映画に出てくるような神隠しにあってしまったら、どの時代に現れたいですか?

阿部:そ、そんな前向きな神隠しもあるんですね。ドラえもんのどこでもドアみたいだなあ(笑)。もし、神隠しにあったら、地球上では、過去でも未来でも切なくなるからいやですね。どっか、宇宙とかでポンって出てきたいですね。

藤澤:わたしは、神隠しにはあいたくないです(笑)。だって、全然知らない人たちと、言葉も何も分からない状態で暮らすって絶対大変だと思うので。

Q:お2人のキャラクターは、どんな人物だと思いますか?

藤澤:わたしがこれまで演じていた役は、感情をストレートに出しちゃうような感じの女の子だったんです。たとえば虫がいたら「きゃーっ」って叫んじゃうような……。でも、里美はそういう反応をするような子じゃないんですね。どちらかというと、感情をなるべく出さないような。静かで、物事をとても深く考えている人だと思います。

阿部:僕は、こんな山里になんでこんな人がいるんだ(笑)。っていうイメージですね。でも、とても冷静で頼りになる。それなのに、とても暖かい。すごく、魅力的な人物だと思います。

■僕は普通の人

Q:阿部さんは、これまでもコミカルな役を演じられたり、さまざまな顔を見せてくれますが、いままで、ほんとうの阿部さん自身に近い役はありましたか?

阿部:それが、ないんです。この役が自分に近かったなあという役はないですね。ほんと、普通ですよ。

Q:この映画をジャンルに分けるととても難しいと思いますが、どんな映画ですか?

阿部:歴史ミステリー。実在した隠れキリシタンなど、さまざまな歴史背景がある壮大な物語です。
とにかく、映画全体に流れる奇妙で、不思議な雰囲気を楽しんで下さい。

映画の中では、無口な印象の藤澤恵麻と阿部寛だったが、常に優しい笑顔を絶やさない2人はモデル出身という事もあり一緒に並ぶとまさに美男美女! 美しいのに、おごることなく常に自然体な藤澤恵麻と、189センチという長身なのに、座ると記者と座高がほとんど変わらないくらいスタイル抜群、常に紳士的な阿部寛。映画にまつわる不思議なエピソードは、あまりに現実的で恐ろしいものだったのでここでは紹介できないが、この映画を見ればなにか奇妙な出来事が起こってもおかしくないと納得してしまうはず。『奇談 キダン』に流れる独特な空気を是非劇場で体感してほしい。

『奇談 キダン』は11月19日より新宿オスカーほかにて公開。

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