シネマトゥデイ

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ジョディ・フォスター
『フライトプラン』
『フライトプラン』ジョディ・フォスター インタビュー

取材・文・写真:FLIXムービーサイト

フライト中の飛行機の中は、まさに密室。その中で子どもが消えてしまうという前代未聞のサスペンスで、3年ぶりにスクリーンに戻ってきたジョディ・フォスター。自身も母親になったジョディのリアリティある演技は迫力満点だ。親日家でも知られるジョディが本作のプロモーションで来日し、話を聞くことができた。

■男が主役だったら違う映画になっていた

Q:前作から3年ぶりの映画出演となりましたが、3年間のオフの理由は母親業に徹したかったからでしょうか、それとも作品を選ぶのに慎重になっていたからでしょうか?

たぶんその両方だと思うわ。わたしの人生はとても忙しいの。やることがほんとうにたくさんあるから、いつだって疲れているのよ。映画に出演するということは普段の日常からかけ離れたところへ自分を置くということだから……どちらともいえると思う。

Q:脚本を読んだ感想は?

すごく感動したわ。夫を亡くすというつらい経験をして、いろいろなことを整理した後にようやく乗り込んだ飛行機で、絶望的な状態に陥ってしまう。それはすごく面白いアイデアだと思ったわ。それにプラス、オリジナルの脚本の主人公は男だったの。主人公の性別の違いだけで、ひとりの男がさまざまな事態を切り抜けてくようなもっと違う作品になっていたわね。

Q:でもやっぱりこの映画は女性のあなたがやったほうがよかったですよね。

あはは! そうね。わたしもそう思うわ! でも男ならまたそれはそれで違う映画になっていたはずよ。

■子どもが急にいなくなった体験

Q:目の前から突如いなくなった娘を必死に探すあなたの役には、多くの母親が共感すると思いますが、あなた自身子どもが急にいなくなったような経験をしたことはありますか?

あるわ。きっと、どんな母親でもそういう経験を持っていると思う。スーパーや道ばたでぱっと振り返ったときに子どもが見えなくなったら、たとえ2秒とか5秒だったとしても、まるで誰かにおなかをパンチされたようなショックで心臓がバクバクいって、目は大きく見開かれて、それはもうひどい最低最悪な瞬間なの。その感覚がいつまでも続くことを想像してしまって、ものすごい絶望感に襲われるわ。子どもを見失ってしまったってだけじゃなくて、どんな恐ろしいハプニングが起こるかを考えてしまうのよ。

Q:この映画の話を聞いたとき、多くの人があなたの『パニック・ルーム』を思い出したと思いますが、あの映画であなたが演じた母親像と今回の母親像の違いを教えてください。

確かに『パニック・ルーム』と似ている部分はいくらかあると思うわ。プロットが似ている部分もあるし、2人とも娘がいる。ほらね? でもこの映画のキャラクターは、『パニック・ルーム』とは正反対の経験をするの。あの主人公は何が起こっているのかさえ理解する自信も持てずに、なにをどうすればいいのかも分からなくなるという感じだった。でもこの映画の主人公は、自分のそばにいた娘がいなくなってすぐに事態のおかしさに気付く。その時点ですでに反対だと思うの。キャラクターの部分でも、彼女はすごく頭が切れる女性で、少しずついろいろな問題を整理して、自分の状況を把握しながら核心に迫っていくの。

■夢は大統領になることだった

Q:あなたが12歳のころ、インタビューで「夢は、大統領になることと、ステージに立つこと、そしてローマにいくこと……あと、ハムスターを飼うこと」と言っている記事を読んだことがあります。

ほんとに? でもそれ本当かもしれないわ! 子どものころからの夢で一つだけ、かなえられなかった夢が大統領になることなんだけど、今は絶対なりたくないの。それとすごくおかしいことに、ハムスターじゃないけど今ちっちゃな白ネズミを飼っているの。ピンクの目でとってもかわいくて、とってもスイートなのよ。実はそのネズミってこの映画の監督の"ドッキリ"のために、わたしが買ってきたのよ。彼ってお菓子が大好きだからいつもみんなにお菓子を配って歩いているのね。それでわたしがその箱の中に買ってきたネズミをいれておいたの。彼がその箱を持ったのを見て飛び上がる!……って思ったら、彼ってば「おや、かわいいネズミだね」って……全然きかなかったのよ! それで仕方がないから家に持って帰ることにしたの。その子今は、かわいい車のおもちゃ持ってるのよ。それを押しながら家の中を駆けずり回ってるわ。こんな風に走っていって……それからこっちに向かってテケテケって! すっごいおかしいのよ!

Q:大統領になること以外の夢は、すべてかなえられたそうですが、今の夢はなんでしょう?

年をとってくると、ふと気が付くと目標にしていたゴールにたどり着いていることがあるかもしれない。今の夢は目標よりも経験ね。わたしはスキーが大好きだから、今の夢はスキーが上達することかな。それからもっと旅をしたいわ。

■映画は事実と反対のことが多い

Q:この映画の撮影を終えて以前よりも飛行機に乗る時に用心深くなりましたか?

そんなことないわ。映画って事実とは正反対のことが多いから。もし何か心配なことがあっても、撮影しているうちに、いろいろなシステムに詳しくなって、何も怖いものはなくなってしまうのよ。でも確かにこの撮影が終わってから飛行機に乗った時はすごくおかしな気分だった。座席のカバーをはずしたり、つけたり、動かしたり……知っちゃった分いろいろやりたくなっちゃって落ち着かなかったわ。

Q:この映画は、子どもがいなくなるという恐怖のほかに無関心な人々の怖さも描かれていましたが。

そうね、それはすごく興味深い最近の現象だと思うわ。わたしたちはすごく国際的な文化を持っていて、それは経済市場でもそう、東京にあるお店がパリにあったりね。たとえばヨーロッパではみんなパスポートを持たずに国の間を行き来しているし、わたしたちって本当はとても国際的なはずなの。それなのに、なにか悲劇的なことや事件が起こるとあっという間に個々の存在に立ち帰ってしまう。それは人間だから、仕方がないことだとは思うの。ただそういうことを認識しておけば、きちんと人を助けられると思うわ。この作品は9.11が関わっている映画でもあるから、アメリカ人としても時代は変わってきているし、国際的にも時代は変わってきているということはわたしたちにとってとても重要なことなのよ。

質問の一つ一つに、テキパキと歯切れよく答えるジョディは、さすがハリウッドの才女と呼ばれるだけあり、頭の回転も速く、知性に満ちていた。しかし、飼っているネズミのことを一生懸命伝えようとしているときは少女のような無邪気な表情で、その両面を合わせ持っているジョディはとても魅力的な女性だった。お母さんになって女性としての深みも出てきた彼女に今後も注目したい。

『フライトプラン』は1月28日より丸の内ピカデリー1ほかにて公開。

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