シネマトゥデイ

内村光良
『ピーナッツ』
『ピーナッツ』内村光良監督 単独インタビュー

取材・文・写真: FLiXムービーサイト

映画好きでも知られている、お笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」のウッチャンこと内村光良が、映画『ピーナッツ』で待望の監督デビューを果たした。初監督作品にかける熱い思いと、出演メンバーに寄せる愛をほがらかに語ってくれた。

■飲み屋でひらめいた企画

Q:内村さんといえば、なんとなくアクション映画のイメージがありますが、監督デビュー作に本作を選ばれた理由は何ですか?

映画に出演しているメンバーはふかわ以外みんな野球好きなんですけど、彼らと毎週のように飲んでいる席で、「草野球やりたいっすねぇ」って言い合っていたのがヒントになりました。

Q:では実際にみなさんで野球をされることもあるんですか?

いや、みんな言うだけです(笑)。朝早いと眠いから集まらないんですよね。でも撮影前に駒沢とか神宮に集まって練習したので、映画をきっかけに実現することができました。

Q:内村さんの背番号が5番というのには何か理由があるのですか?

中学生のとき5番でサードだったんです。

Q:もしかして劇中と同じで“伝説のサード”だったんですか?

ある意味“伝説のサード”でした(笑)。大切な試合で、ファーストに投げなきゃいけないところを、後ろの川に投げてしまったことがあって、“伝説”を作ってしまいました(笑)。

■即興シーンもあり

Q:実際監督業をされた感想はいかがですか?

まだ監督をしたっていう実感がなくて、あのメンバーがいてこそ実現したメモリアルな要素の強い作品なので、全員で作り上げたと思っています。

Q:ではアドリブなどもあったのですか?

そうですね、例えば大竹と僕が歩きながらガムの話しをするシーンや、ゴルゴ夫婦のシーンはほとんどアドリブですね。全部アドリブっていうのはウドと僕のからみのシーンだけですね(笑)。

Q:即興シーンなんですか?

最初の脚本にもあのスポーツ用品店のシーンはなかったんですよ。たまたま飲み屋でウドと会ったときに、「監督、使ってくださいよー」って言われたから、急遽シーンを加えたんです。あのシーンは本当にコントみたいですよね(笑)。

Q:内村さんの人徳でたくさんの出演者のみなさんが集まったのですね。

人徳っていうわけではないです(笑)。でも今までお付き合いのあった人たちに出演していただくことができました。恋人役のさっちゃん(桜井幸子)は、昔一緒に出演していた番組でもヒロイン役をやっていただいていました。そんな感じで出演者の皆さんは、ほとんど過去に共演したことのある人たちばかりですね。

■おっさんの悲哀

Q:そんな思い入れの深い作品の出来栄えのほうはいかがですか?

いや、それはまったく分らないです(笑)。インタビューを受けていてよく、「もっと、はちゃめちゃな作品かと思ったら、意外と正攻法な作品ですね」と言われるんです。1番最初に書き上げた脚本はもっとコメディよりだったんですけど、だんだんとドラマ性を深めていったんです。

Q:ハリウッドっぽくないラストにも意味があるのでしょうか?

そうですね、“おっさんの悲哀”を出したかったからですね(笑)。ある人物がこけるんですが、腹からですからね。普通手をつくところを腹からっていうのが、中年の悲しさですよね(笑)。

Q:監督としてメンバーの皆さんに接する際はいつもと違いますか?

どうでしょう?  特に関係は変わらないですね。メンバーからは「現場がピリピリしてなくて良かった」って誉められました。僕あんまり怒鳴らないんで「よーい、はい。はいオッケー」って感じですね(笑)。

■竹中監督の技

Q:監督と主演の両方をされるという経験はいかがでしたか?

竹中直人さんが監督と主演をされた『サヨナラ COLOR』という作品に出演したとき、竹中さんの仕事ぶりを見て勉強させていただきました。自分に似たダミーの方でリハーサルするという方法も盗ませていただきました。

Q:そのほかにも参考にされた監督はいらっしゃいますか?

もういっぱいいますよ。ウディ・アレンとかヒッチコックとか好きですね。実は僕が冒頭、商店街に登場するシーンで黒澤明監督の『用心棒』みたいなカットを、ちょっとかっこつけて撮影してみたんです。でも編集の段階でボツにしちゃったんですけどね(笑)。

Q:ボツになってしまったシーンはたとえば、どんなシーンなんでしょうか?

僕の知らない間に、美術さんが西部劇っぽい雰囲気を出そうとして干し草を転がしてくれて(笑)。あるわけがないんですけど、そのしゃれっ気が面白かったですね。

Q:そのほかにこだわったシーンはありますか?

試合のシーンは本物を撮りたいと思ったので、1か月の撮影期間中1週間という限られた時間の中でいい映像を撮るためにぎりぎりまで粘りましたね。

■実家のエピソードを活用しました

Q:映画では三村さんは酒屋さんですが、内村さんのご実家も酒屋さんだとお聞きしました。

そうなんですよ。酒屋さんの内部には詳しいんで、描きやすいかなと思いまして。ほこりの付き具合とか、手書きで「焼酎フェア」って書いて貼るところとか、実家と同じですね(笑)。

Q:では内村さんがスポーツライターなのにも理由があるのですか?

Yahoo! ニュースだったかな……証券マンの事件を取り上げた記事があって、それがきっかけで最初、僕の役は証券マンだったんですよ。でも証券マンの内情がよくわからなくて、そんなときたまたま水球のドキュメンタリーを観て、「スポーツライターなんていいんじゃないかな」ってことになったんです。

■心は少年、寝起きはおっさん!?

Q:内村さんご自身も、主人公たちのように“少年の心”を感じることはありますか?

そうですね、あればいいんですけどね。そう思って毎日頑張っています。それにしても寝起きの顔はひどいですね(笑)。起きてすぐ鏡を見ると、おっさんが映っているんです。すっごいですよ(笑)。

Q:では、今も追い求めている夢はありますか?

今回の映画は群像劇だったので、次の機会があれば親子の物語とか、学園ラブストーリーみたいな、焦点を絞った作品を撮りたいですね。そのときは学校の先生役かもしれないし、演出だけかもしれないし……まだわからないですね。

Q:最後に、毎日一生懸命生きようとしている人たちに向けて、ガッツのある一言をお願いします。

何かに打ち込んでいる姿はかっこいいと思うんで、皆さんも好きなことを見つけて、日々の生活を輝かせてください!

ほのぼのとしたいつもの“ウッチャン”の雰囲気をかもし出しつつも、時おりきりりとした表情を見せ、監督らしい一面ものぞかせた内村監督。信頼するメンバーたちが勢ぞろいしている本作は、笑いと涙が絶妙なバランスで盛り込まれているとともに、監督の人柄がにじみ出た“分身”ともいえる作品に仕上がっている。内村光良監督の今後の活躍に期待したい。

『ピーナッツ』は1月28日より渋谷Q-AXシネマほかにて公開。

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