シネマトゥデイ

私的映画宣言 セカンド・シーズン
 

執筆者近況報告など

初めまして! 子供のころに『ゴジラ』を、中学生の時に『スター・ウォーズ』を、高校時にエロ映画を見たときのような、ワクワクするような気分を追いかけ続けてウン十年。映画は娯楽であってほしいと思うタチなので偏食傾向は強いですが、呆れずお付き合い下さい。 最近、映画の題名や俳優の名前のド忘れがひどいので、脳を鍛える大人のDSトレーニングを購入。訓練前、脳年齢を計測したら21歳! 物忘れひどいのは年齢のせいじゃなかった。訓練必要なし。
まもなく今年もアカデミー賞の発表。その日は恒例、我が家に朝から知人ライターが集ってオスカー予想で燃えることになってます。今年もまた燃えます。とくに、今年はシブ~い俳優やら、作品がノミネートなんで楽しみっす。朝から美酒を飲みます、ハイ。 寺島進ファンの方に、2か月続けて情報をお届け。「東スポ映画大賞」で助演男優賞を獲得。日頃、ダボシャツかジャージ、オシャレしても革ジャンの寺島さんが、尊敬するたけしさんが選んでくれた賞ということで、授賞式に自前のスーツで登場。「着慣れないもんで」と大照れ。いやん、素敵ですワ。
 ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
THE CHRONICLES OF NARNIA, NARNIA, and all book titles, characters and locales original thereto are trademarks of C.S. Lewis Pte Ltd. and are used with permission.
(C)DISNEY ENTERPRISES, INC. and WALDEN MEDIA, LLC. All rights reserved.
  20世紀を代表する英国作家、C.S.ルイスによる全7巻からなるファンタジー巨編「ナルニア国物語」シリーズの第1章を映画化。

監督は『シュレック』シ リーズのアンドリュー・アダムソン。主人公の子どもたちはイギリス中から選ばれた天才との呼び声も高い4人の子役が演じている。「ロード・オブ・ザ・リン グ」シリーズのロケでもお馴染みの、ニュージランドでの大規模なロケで描かれる風景は、ナルニアの世界感に壮大さを加えることに成功している。

キャスト
ジョージー・ヘンリー
ルパート・エヴェレット
ウィリアム・モーズリー

スタッフ
監督: アンドリュー・アダムソン
   
 
予想した通りの出来で、期待以上でもそれ以下でもないけれど、これだけ話題の作品で、それはすごい力量だと思う。2時間20分、あっという間。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズほど、真剣に見なくてもついて行けるし、『ハリー・ポッター』シリーズより子供がかわいいのが良い。特に末娘ルーシーは愛嬌も演技力も最高。気になったのはティルダ・スウィントン演じる魔女が着替え過ぎ。主役の子供たちより断然多くて、場面ごとに衣装が変わる。しかも何か田舎の服飾学校の卒業製作ばりにデザイン重視で全く機能的でなく、襟のあたりは妙にデコラティブでサイズもパカパカな感じ。出てくるたびに笑っちゃった。あれは何か、意味があるのかな。
 
  子供の頃、かくれんぼに燃えた私としては、次女ルーシーが見事な衣装ダンスを前にして、開けちゃマズそうだけど、でも開けてみたくなるシーンに思いっきりシンパシー。というわけで、ナルニア国のファンタジックな世界にもすんなりと入り、ビーバー夫婦とお茶してる光景にも違和感を覚えなかった。子役4人のキャラも良く、とくにイジけてる次男クンの半ズボン姿はカワイイし、次女は奈良美智が描くデコッパチな女のコに似てて、今後が楽しみ。あと、魔女役のティルダ・スウィントンにもシビれた。『オルランド』から好きですが、前作『コンスタンティン』の大天使といい、クールビューティなところが人間離れしたキャラクターにお似合いっす。
 
  正直、「やっと『ロード・オブ・ザ・リング』が終わったのに、またこの手のファンタジーに付き合わないかんのか!?」と渋々試写会場に足を運んだが、意外や意外、ハマって見てしまった。だって、ケニアに行くこと2回。バルーンに乗って空からライオンを愛でた私を興奮させるような、まさに“百獣の王”そのもののアスランがカッコイイんだもの。ナルニア国を救うために、我が身を犠牲にして一人で敵の元へ乗り込んでいくんだぜ。おかしな言動を繰り返す首相の国より、こんな頼りがいあるナルニア国の住人になりたいッス。あとは願わくば、後半に登場した四兄弟の成人バージョンの俳優より、現・兄弟たちの成長過程をそのままシリーズに生かして欲しい。
 シリアナ
(C) 2005 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
  アカデミー賞に輝く『トラフィック』のスタッフが集まり、アメリカ当局とアラブの王族、イスラム過激派テロリストの石油をめぐる黒い関係を描いた問題作。

体重を増やしてベテラン諜報員にふんしたジョージ・クルーニーをはじめ、マット・デイモンら主演級クラスのスター俳優が顔をそろえる。元CIA工作員によ る全米ベストセラーのノンフィクションの原作からヒントを得た、世界的な陰謀を炙り出す衝撃のストーリー展開に驚かされる。

キャスト
ジョージ・クルーニー
マット・デイモン
ジェフリー・ライト

スタッフ
監督・脚本: スティーブン・ギャガン
     
 
『トラフィック』のアンサンブルもすごかったが、今回の方が舞台がワールドワイドで(すべて対アメリカだけど)、情報量も多いから、ずっと真剣に見てないと完全に置いていかれる。しかも、こんなテーマながらエンターテインメント作品なのはさすがハリウッド。最後は手に汗握る展開になるし、一人ひとりのキャラクターに父子のエピソードが入っているのでちょっとしつこいけど、キャラクターも認識しやすくなっている。それにしても『オーシャンズ12』で50過ぎ疑惑が出ていたジョージ・クルーニー。この映画では64歳くらいに見える。ここまで違う人になるんなら、別の人が演じてもいいんじゃないかと思えるほど変貌した根性に拍手。
 
  「このタイトルを日本語で考えて、笑う人はいないのかなー」と知人のライターに言ったら、「高尚な映画なのに、ンなことを考えるのはあんただけ」と叱られた。そーだろーか……。確かに中身は超がつくほどマジメな内容で、CIAの工作員にアナリスト、弁護士、パキスタンの青年という4者の目を通して、複雑に絡む陰謀話を最後には1本に結ぶ力ワザは凄い。さすが『トラフィック』の脚本家。もっともオヤジ俳優好きな私は目の保養として、ウキウキ楽しんだ。すっかり好々爺のクリストファー・プラマーに、いつも渋々クリス・クーパー、ちょい出ても存在感のウィリアム・ハート……。で、今回の収穫は中東の王子役のアレクサンダー・シディグ。素敵すぎる!
 
  監督作『グッドナイト&グッドラック』同様、TVレポーターだった父親のジャーナリスティックな血を引くジョージらしい米国社会の暗部に斬り込んだ意欲作。まさに湾岸戦争&米国のイラク侵攻の構図で興味深いのだが、登場人物が多く、彼らの関係が複雑ゆえ、その見せ方が気になった。製作&監督に当たったのが『トラフィック』チーム。今回もそのスタイルを踏襲しているのだが、いかんせん分かりづらい。米国とメキシコを舞台にした『トラフィック』の際、ソダーバーグ監督はメキシコ・シーンの映像を、ちょっと荒っぽくするなど一工夫あり、そこが親切かつスタイリッシュで作品の質を高めていた。まっ、今までにないジョージ兄さんが見られたので許したる。
 県庁の星
(C) 2005「県庁の星」製作委員会
  「白い巨塔」など数々のヒットTVドラマを手掛けてきた西谷弘の劇場映画デビュー作は、キャリア官僚とパート店員が衝突を繰り返しながらも協力して三流 スーパーの改革に乗り出す人間ドラマ。

出世欲丸出しの官僚に織田裕二、彼の教育係で現場主義の店員に柴咲コウがふんし、コミカルな掛け合いを披露する。 『踊る大捜査線』シリーズではノンキャリアの熱血刑事を演じた織田が、融通の利かない公務員を好演して新境地を開拓している。

キャスト
織田裕二
柴咲コウ
佐々木蔵之介

スタッフ
監督: 西谷 弘
     
 
原作はパートのおばちゃんとの友情物語でいい話だったが、本作はヒロインが柴咲コウなので、ラブストーリーの予感もある。とってつけたような話になるんじゃないの?とみくびっていたら、これがまた良かった。スケールの小さい『ローマの休日』的な異文化交流の恋というか……。さらに映画ではゼネコンの話や原作では描かれなかったその後のストーリーもあったりして、よりドラマティックなのにより社会派でもあった。それに織田裕二は昔の映画スターのように全くプライベートが謎の人。その生活臭まるでなしの織田裕二がスーパーにいるという違和感が、エリート公務員がスーパーに出向させられるという画と重なり、それだけでも相当面白い。
 
  ドラマで、かつてエリート医師というキャラもやっているから、今回、織田裕二がエリート公務員を演じるのにムリがあるわけじゃないんですが、我こそは日本映画界の星と演じてるような力みが全編に見えちゃって……。柴咲コウのほうが、いつものふてくされた表情で演じてて、それなりにスーパーのおねぇーちゃんに見える。そもそもダメスーパーが舞台になると、つい伊丹十三の『スーパーの女』が浮かぶんです。で、原作を未読ですけど、大体、スーパーの人気アップ作戦のために弁当に力を入れるってのはどーよ?とか、普通、それで客足が戻るかよーなんてことが気になり。あ、リアリティなんて求めちゃダメってことはわかってるんですけどねー。
 
  この映画に関しては、スーパーのシーンで三日間、織田&柴咲コンビと夜を共にしたりとかなり密着させて頂いたので、思い入れが強い。そういう作品がいざ完成したらへなちょこでガッカリすることもたま~にあって、この仕事をしている人間のツライ部分であるのだが、本作品は想定外のデキの良さ。正直、泣けました。現場ではまぁとにかく西谷監督のしつこいまでの粘りの演出に驚いたのだが、その意味が映画を見てよく分かった。織田がいいのだ。もともとこの方、ドラマ「振り返れば奴がいる」で見せたように影のある暗い役が似合う。そこから話が進むにつれ、人間らしく変わっていくその姿に魅せられた。本当の意味で、織田の代表作になるかも。
 PROMISE 無極
(C)Beijing 21st Century Shengkai, China Film Group and Moonstone Productions, LLC
  中国の巨匠、チェン・カイコーを監督に迎え、圧倒的なスケールで描くアクション・ファンタジー大作。主演に『ラスト サムライ』で世界にもその名が知れ渡った真田広之と『ブラザーフッド』のチャン・ドンゴン。ワイヤーアクションと特殊効果の融合で、まるでマンガのコマ割 りをそのまま映画化したようなおもしろさ。緻密(ちみつ)な脚本は観るものの心を最後までとらえて離さない。

キャスト
真田広之
セシリア・チャン
チャン・ドンゴン

スタッフ
監督: チェン・カイコー
     
 
セシリア・チャンの体を張った挑発やら、チャン・ドンゴンの爆走やら、この映画の荒唐無稽な場面の一体、どこから書き始めたらいいのかわからない。もう潔すぎるほど、全編荒唐無稽。『SAYURI』の誤った日本解釈を日本人は半ばあきらめムードで受け入れたけど、中国人は自ら誤った解釈を世界に向けて発信したりして、商魂逞しいのは先刻承知だけど、ここまでとは。真田さんやドンゴンは真面目に頑張っていて、それを見るのもまた忍びない。あんな生花で作った鎧を着て、蜂は大丈夫だったのだろうか。リウ・イェは何かメイクが濃くて、森村泰昌みたいだった。ニコラス・ツェーだけは妙に活き活きしてたが、日頃から荒唐無稽に慣れっこだからか。
 
  ソフトSMな『キリング・ミー・ソフトリー』に続いて、希代の珍品を作ったチェン・カイコー。冒頭、チャン・ドンゴンが野牛よりも速く爆走するシーンは、『Dr.スランプあられちゃん』ばり。ギャグとしか思えません。大体、話の出発点がムチャです。まだ年端もいかない子供で、ひもじい思いをしてたヒロインに、食べ物を取るか、愛を取るかと女神もどきな存在が迫るけど、んなもん選べないってーの。真田さんも頑張って中国語に挑んだんでしょーが、ラストのバトルシーンはJACで昔培ったアクションを彷彿。なんだかなー。でも、凝りに凝った美術セットや衣装は素晴らしいし、爆笑、失笑もさせてくれる。やっぱり中国の鬼才はすごかった!
 
  『さらば我が愛~覇王別姫』以来、「なんだかなぁ」という作品が続いていた“中国の巨匠”チェン・カイコー。真田氏には悪いけど、イヤ~な予感は的中。監督は、今の若い子に合わせた、SFXを多様した新しいアクション映画を作ろうと思ったらしいが、目指したSFXが『少林サッカー』とは、明らかに方向性が間違っている。曲がりなりにもあなたは“巨匠”なわけで、何もそこまで大衆に迎合する必要はないし、誰もそれを期待していない。そんな時代と自分を客観視出来ない甘さがヒロイン選びにモロ現れていて、香港映画界ではとうに盛りを過ぎたセシリア・チャンというのも、とても旬な男優陣に愛されるような魅力はなかった。お願いだから無理するな、カイコー。

だれが何と言おうとこの映画を愛します宣言! ライターが偏愛してやまない1本をご紹介!

 ジャーヘッド


戦争に何より必要なのは武器でも金でもなくまず平然と人を殺せる神経である。しかし『ジャーヘッド』では、そんな狂気が決して報われない。

地獄のような訓練を受け、殺す気満々で湾岸に飛んでみれば、敵がいない上に暑い砂漠でひたすら待つだけ。そんな設定のブラックユーモアにニヤニヤしつつ、退屈という別種の狂気を上塗りさせられた兵士たちが順番に正気を失っていくスリルにハラハラさせられる。その気にさせたのにヤラせてくれない性悪女にも似た国家に、一太刀浴びせる社会派の視点も頼もしく、“一発でいいから撃たせてくれ!”という辛抱たまらん男の心からのシャウトにいたっては無情の極みで、『戦場にかける橋』の橋爆破シーン級のインパクトがあった。

バイオレンスもアクションもスペクタクルもないまま、狂気だけを抽出してエンターテインメントとして成立してしまった奇跡の逸品。改めて、この監督とんでもねえなあと思ってしまった。

 

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