シネマトゥデイ

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佑子の韓流日記

わたしのヨン様をもとめて? それとも仕事で新境地を開くため? はっきりした理由は本人にも謎のまま、直感だけを信じ、いきなり韓国へ留学した安田佑子のエッセイ連載開始です!

~韓流日記20~ 韓国の年明けキーワードは王の男にスクリーン・クウォーター
日記20でご紹介した『王の男』(仮題)はその後3月5日に観客動員が『ブラザーフッド』を抜く1180万人を記録し、韓国映画史上1位に君臨しました。時代劇かつ同性愛を扱った斬新な作品が1位になるなんて、ほんとにセンセーショナルでなんだかうれしいです^^日本でもちょっと先ですが来年に公開が決まったようです。さて、今回は2006年韓国映画界のキーワードの2つ目。「スクリーン・クウォーター制」について書こうと思います。
観客動員が1000万人突破!これぞテーハミングの力。  
3月中旬。ソウル市内大韓劇場のラインナップ。上映11本中6本が韓国映画。残りはアカデミー賞ノミネート作などのアメリカ映画。ちょうど新作公開前の週の半ばということもあって、『王の男』が2館、ハン・ソッキュ主演の『淫乱書生』(原題)が3館上映という状態だった。
2月6日。韓国の国会議事堂前でSQ制縮小に反対する一人デモを行ったチャン・ドンゴン。
プラカードには自分の出演した映画のタイトルを使って「スクリーン・クウォーターの友達(『友へ チング』)になってください。世界に太極旗を翻します(『ブラザー・フッド』の原題)」と書いてある。
2月10日には『オールド・ボーイ』のカン・ヘジョンもデモに参加。彼女のプラカードには「スクリーン・クウォーターは全世界のトンマッコル(彼女の出演した映画で理想郷として登場する村)です」と書かれている。

私が韓国で映画館に初めて行った時、上映ラインナップ中、ハリウッド映画と並ぶ位韓国映画の上映数がとても多いのに驚いたお話は以前しましたが、これは韓国では「スクリーン・クウォーター(国産映画年間義務上映日数)=以下SQ制」という政府が定めた制度があるからなんですね。つまり、韓国の映画館は韓国映画を決められた日数以上上映しないと罰せられてしまうんです。1966 年から施行されているこの制度はこれまでに何度も改正されて、現行は1985 年に改正された「年間実質106日以上」の上映が義務づけられています。
なぜこのような制度があるかというと簡単です。「国の文化である韓国映画を守るため」です。でも面白いことに、お金がもうかる映画だけ観ようとしたら結局はハリウッド映画に席巻されるので、韓国映画が育たないのです。なので、政府が外国映画の輸入本数を規制してまで韓国映画に上映の場を作ってくれていたのです。現在もヨーロッパなど10か国前後の国でSQ制が施行されているとか。

 
「王の男」(仮題)はどんな映画かと言いますと・・・・  
施行されて40年以上が経っているSQ制ですが、その効果が目に見えるまでには時間がかかりました。韓国では90年代に入っても韓国映画の観客動員数は外国映画の3分の1にすぎませんでした(資料1)。それが1998年から1999年にかけて観客が急激に増え出し、(ちょうど1999年といえば、海外に韓国映画のパワーを知らしめた『シュリ』が公開された年)それから2001年にはついに外国映画の動員数を超え、2003年には外国映画を完全に抜く動員数を記録するようになったのでした。ちなみに2003年に上映された外国映画は175本に対し、韓国映画はたったの65本だったそうです。
そして韓国映画の輸出実績も1996年に30本で40万ドルだったのが2003年には世界56カ国へ164本が3010万ドルで輸出されました。
 
「王の男」(仮題)の人気の秘密とは?  
でも面白くないのはアメリカです。「韓国映画はもう十分に発展したし、SQ制がなくなっても皆観るだろう」と、市場開放をずっと訴えていました。そしてついに韓国政府は今年初めに、「今年7月から上映義務日数を実質106日から73日に減らす」と発表。監督、俳優をはじめとした映画人たちはそれに反対して2月などは連日のようにデモを行っていました。映画人の立場からすると韓国文化が廃れてしまうのはもちろん

SQ制の縮小によって韓国映画の上映日数が

製作本数自体が減る

映画人達が職を失い、
新人も育たないし、
映画の質も下がる
ヒット確実の商業映画しか
作られないようになる

儲からないので映画製作にお金が集まらなくなり、
儲かるハリウッドの大作をたくさん輸入する。

韓国映画の大ピンチ!
となるのを心配しているのでした。じゃあ実際に国民レベルで韓国人たちはどう考えているかというと、これがとても微妙なんです。もちろん自分の国の映画が発展していくのには大賛成。でも今まで輸入が規制されていたために、アメリカ映画だけでなく、ヨーロッパやアジア映画でいくら観たいのがあってもスクリーンでは見られる作品は限られていました。なので、外国映画をもっと観られるように制度が変わればいいと思う人も多いのも確かなのです。
実際に住んでみて感じましたが、韓国でハリウッド以外の映画を見られる劇場はまだまだ少ないですし、上映されるハリウッド映画も日本に比べれば本数も少ないです。映画は異国文化に興味を持たせてくれたり、気分だけでも海外旅行に連れていってくれる素敵なもの。都合がいい話かもしれないけれど、韓国でもいろいろな国の多様な映画を見る事ができ、韓国映画もさらにさらにパワーアップ! ……そんな環境になるといいなと思います。

 
 
資料1  韓国・年度別映画総観客数
(単位:万人)
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
韓国映画
976
1,212
1,259
2,172
2,271
4,481
5,082
6,391
外国映画
3,244
3,540
3,759
3,300
4,191
4,455
5,431
5,566
出典:映画振興委員会 韓国映画年鑑
 

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