シネマトゥデイ

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~第78回アカデミー賞ノミネーション会場の裏側~こはたあつこのアカデミー賞レポート
取材・文・写真 こはたあつこ
そうなんです!私の長年の夢が、今年やっと、実現できました。ロスに引っ越してきてから、はや一年。始めの年は、取材パスがもらえず、悲しかったけど、今年はやっと取材の許可が!うれしいー!夢って、追いかけ続けるとかなうんですね。
アカデミー賞をプレスとして取材した、こはたの体験レポートお届けしまーす!
 
ロス時間、1月31日の早朝
 
なんてったって、世界中から取材陣が集まる、アカデミー賞ですからね。しかも、9・11の同時多発テロ以降、これだけセキュリティーの厳しい日もありません。授賞式当日は、コダックシアター周辺の道は、すべて封鎖され、取材陣でも、一歩間違えると、入れなくなるほど。
 
そのため、本番4日前の3月1日(ロス時間)に、取材陣を集めての説明会が行われました。
 
会場内には、世界各国のプレスの人たちが。さすが世界中の人たちが注目している映画の式典だけあります。みな真剣な表情でアカデミー事務局の担当者の説明を聞いています。
 
内容は、「この会場では、一切写真を撮ってはだめ」とか、「会場へは指定の道の指定のセキュリティー・ゲートをくぐらないと入れません」とか、結構厳しい。
 
でも、私が一番驚いたのは次の説明。
 
「取材記者も礼装で」
 
そうなんです。アカデミー賞は由緒正しき映画の式典。たとえ取材で入るにしても、男性はタキシード、女性はロングドレスなんですって!記者だからスーツぐらいでいいのだろう、と思っていた私はあわててドレスを買いに行きくことに。フォーマルドレスやーい! いったいどこに売っているのーー!?
 
私の天に向けた声が聞こえたのか、たまたま入ったショッピングモールでぴったりのドレスが!……点でも、気になるのがお値段。ネックレスとあわせると、600ドル近く(6万円以上)!
 
ええい、このさい、背に腹は変えられない!買っちゃえー! ああ、お金が飛んでいくーー!
 
さて、靴はどうするか。すると、なんとラッキー。ドレスにぴったりのシルバーのハイヒールが、近くのお店で29ドル(3000円ぐらい)という破格な値段で売っている!
 
しかも、もっとラッキーなことに、別のお店でセールに遭遇。そこで真っ白のフェイクファーのショールが、なんと26ドルで売っているではありませんか! これでアカデミー賞の衣装がすべてそろったぞー!
 
「マネージャーが日本から来る!」
 
そうなんです。ずっと私を担当してくれている大切なマネージャー。彼女も、「なんてったって、アカデミー賞ですから!」と助っ人に来てくれました。てなわけで、私のお部屋はいきなり事務所に!ドレスのストラップを短く縫ってくれたときは感動! 持つべきものは、心の優しいマネージャーだ! がんばるぞおおお!
 
「そして、いよいよ当日!」
 
そうです! 当日です! 本番です!
 
この日は、記者会見会場から5つのラジオ番組の生放送に出ることに。だから、朝から、気合入っています!髪をアップにし、ドレスの上からフェイク・ファーのショールを羽織る。すると、朝からミニ・デビ夫人誕生。おーほっほっほっ!ワタクシ、今日はアカデミー賞なんざますのよー。
 
そんな格好で運転している私も変なのか、隣でやたら写真を撮る毛塚マネージャー。こら、よさんか!
 
そのまま、コダックシアターに向かいたいところ。でも、今日は、シアター周辺の道はすべて封鎖。当然、駐車場も封鎖。だから、コダックシアターから車で10分ほど離れた指定のパーキングに車を入れ、そこから指定のシャトルバスに乗り換えるんです。
 
そう、ミニ・デビ夫人がドレスのすそをエイッとたくし上げて、「シャトルバス」に乗る光景はちょっと笑えるざますわよ。
 
そして、いよいよ、コダックシアター付近で降りる。
 
さすがに当日。いたるところにセキュリティーが立っていて、なんだか重々しい感じ。
 
混んでいるかなあ、と心配したけれど、まだ朝10時ごろなので、見物客はいませんでした。これが午後になると、一転。黒山の人だかりで、ゲートまで人ごみの中を歩いていくのは至難の業になります。
 
そして、いよいよレッドカーペット前のセキュリティー・ゲートに。これ以上先はパスが無いと入れない。
 
さあ、どうじゃあ! 水戸黄門のように、派手にプレスパスを出す私。
 
「ははあ、こちらでございます!」
 
と、セキュリティーの人は、床にひれ伏した、……てのは、冗談で、今年は堂々とセキュリティーをくぐれたのでありました。しかもセキュリティーの人に「素敵なドレスですね。あなたはビューティフル!」なんて、おべんちゃらまで言われちゃって。行く先々でほめられるこのドレス、6万出したかいがあるってもんよ。こんなことなら、毎日着てやるぞ!
 
ずらりと並ぶ、白いメイクアップ・トレイラーの間を通り抜けると、おおお! そこにはレッドカーペットが!
 
ああ、この光景! ここを渡辺謙さんも、スピルバーグも、トム・ハンクスも、歩いたのね!
 
「当日のレッドカーペットはいかに!?」
 
うわあ、賑わっています! ドレスやタキシードを着た人たちが、レッドカーペットを照らすライトを浴びながら、大勢歩いています。取材のカメラも並んでいます。そのカメラにむかってしゃべる、レポーターたちも。彼らも思いっきりドレスアップして、とってもきれい! 去年は塀の外からしか見られなかったレッドカーペット。さすがにその中に入って、歩いてみると、感動!
 
きらきら光るライトを浴びて、まるでスターになった気分。
 
そして、レッドカーペット専用の観客ベンチには大勢の観客が座っています。
 
これは「ブリーチャー・シート」と言われる席で、スターを一目見たい人たちのために、何ヶ月も前から抽選で決められるんです。でも、この人たち、セキュリティーの関係で、朝の7時から座っているんですって。中にはドイツから来たなんて人も。みんな嬉しそうにはしゃいでいます。
 
あれ、あそこにいるのは、アメリカの人気エンタメ番組「Entertainment Tonight」のジャン・カールじゃないですか! 同じ映画の紹介をしている関係上、前々から親近感を感じていたんですよね。
 
「私も日本で同じような仕事をしているんですよ」、と話しかけたら、快く写真に写ってくれました。メイク前なのに、OKしてくれるなんて、いい人だなあ。
 
彼女は、これから、先ほど通り抜けたメイク・トレイラーで、メイクや着替えをするのでしょう。そういえば、彼女の名前が張ってあるトレイラーがあったっけ。
 
ところで、目が合った、女性が2人いました。1人は東洋人の歌手。もう1人は胸の大きな女優さん。この人たちは、おもいっきりドレスアップして、早めにレッドカーペットに来て、自分たちの売り込みを行っているんです。
 
そんなところもハリウッドらしいですよね。
 
「記者会見会場」
 
おお! いきなりIQレベルがポーンと上がった感じ。そう、いかにも頭のよさそうな記者たちが、テーブルのパソコンに向かってもくもくと仕事をしています。
 
会場には記者用のテーブルがずらりと並び、その上にはたくさんのラップトップ、マイク、録音機材、電話、ケーブル回線などが、こんがらがりそうになりながら置かれています。記者の人数は200人ぐらい。
 
マイクに向かって、スペイン語でしゃべっているコメンテイターもいます。
 
そして、前方のステージには、大きな金色のオスカー像と、オスカーの柄が入ったカーテンが。受賞したばかりのスターや監督さんが、コダックシアターの席に戻らず、そのままこの会場にきて、記者の質問に答えてくれるんです。そう、まさに受賞した瞬間後の、興奮冷めやらぬコメントが聞けるわけです。
 
会場のあちこちには、大画面テレビスクリーンが設置され、どこを向いても、授賞式会場の中継が見られるようになっています。
記者会見中でもテレビの音声が聞こえるようにと、ヘッドフォンが配布され、また、受賞者達のスピーチはすぐさま文字に起こされます。
 
また、会場の廊下にはビュッフェも。さすがアカデミー賞、いたれり、つくせりです。ちなみに一回の授賞式にかける予算は約15億円から20億円だとか
 
「すべててが終わって」
 
5時から始まった代78回アカデミー賞は3時間33分41秒後、無事終了。アカデミー事務局が配布した「スピーチ短縮アドバイスビデオ」のおかげで、長々としゃべる人もいず、時間内に収まった感じです。
 
メッセージ性の強い社会派作品が多かった今年の授賞式。
それは、アカデミー会員が「アメリカが今抱える問題を考えようよ」と伝えているかのように思いました。
 
一番印象に残ったのは、ジョージ・クルーニーのスピーチ。
 
「確かにアカデミー会員はアメリカ一般からずれているのかもしれない。でも、アカデミーは、エイズがまだ知られていなかったときに、真っ先に取り上げたし、公民権についても、まだ人気が無かったときにいち早く取り上げた。そういった問題点を取り上げるのがアカデミー会員なんだ。僕はそれを誇りに思う。」
 
そう。確かにそう。映画を作る人たちは、どの国でも、一歩先を歩いている。今年は地味だ、地味だ、と批判される声も多いなかで、私は、個人的には良い年だと思いました。
 
と、同時に、助演男優賞にはジョージ・クルーニー、女優賞にリース・ウィザースプーン、と会員達の人気どころを選んだ結果を見ると、多少、「人気投票的」な面も。
 
アカデミー会員たちって、インテリで、問題意識が高いけれど、業界の仲間意識も強いのね。……と、そんな彼らの素顔を、ちょっとだけ垣間見た気がしました。
 
最後のラジオ番組の出演を終了し、会場の外に出た頃には、すっかり夜の11時を回っていました。
 
やれやれ、これで、すべて終わった。ハイヒールの足が疲れちゃったなあ。
 
夜の解体作業が行われるレッドカーペットの横を、ぽつんと歩きながら、プレスで入れた喜びを、もう一度噛み締めたのでした。
 

 
「第78回アカデミー賞ノミネーション会場の裏側」
も読んでくださいね!
 
この階段を登って、スター達はコダックシアターに入りまーす!
このショール、とても26ドルには見えないでしょ?靴は29ドル!
 
29ドルの靴はこちらざますっ!
 
ミニデビ夫人?「おーほっほっほっ!」
 
この女性も早めに来て、雰囲気を楽しむのと同時に、自分を売り込んでいた。女優さんだそうだ。とてもフレンドリーで気さくな人でした。それにしても、見よ、このバストのすごさ!私の頭とほぼ変わらない?
 
お土産やさんに並ぶオスカー像。
 
前日のレッドカーペット。こんな格好で写真を撮るのはどうなんだろうね。やっぱ、ドレスを着たときは、エレガントにしてないとね。でも、取材もしないといけないから、結構大変なのよ。
 
オスカー像にスプレーをかけている人。
 
ねえ、見て見て。等身大のオスカー像!おうちの玄関に一体いかが?
 
カナダのエンタメ番組のプロデューサーと。このように、前日でも、色々なテレビ局の人が、取材をしに来る。
 
当日の会場前
 
当日。レッドカーペットの近くのメイクトレイラー。出てきているのはメイクさんたち。
 
こんな長いクレーンも。これで、頭上からのワイドショットが撮れる。
 
ビュッフェにはこんな大きなサブマリンサンドも。
 
コダック・シアター入り口。ここからスター達が、入っていく。
 
コダックシアターの周りはものものしい雰囲気です。
 
おお、セクシーレポーター!
 
ブリーチャーシートに座る人々。歓声を上げる練習をしている。
 
カメラって重いんだぞー。
 
アカデミー賞が終わったあとのレッドカーペット。なんだか寂しげ。
 
アカデミー賞後のレッドカーペット周辺。解体作業が始まっている。
これで終わりかと思うとちょっとさびしい。
 
 
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