シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
.
ジェット・リー、中村獅童
『SPIRIT』
『SPIRIT』ジェット・リー、中村獅童 単独インタビュー

取材・文・写真:FLIXムービーサイト

中国の伝説的な英雄であり、武道家の霍元甲(フォ・ユァンジャ)。武道というひとつの道に人生を賭けた男の“SPIRIT”を、みずからも中国が誇る武道家として、そして俳優として強い精神力を持つジェット・リーが迫真の演技で見せる映画『SPIRIT』が3月18日より公開される。作中で、主人公のフォと死闘を繰り広げるのは本作が世界進出第1弾となる、中村獅童。武道、そして歌舞伎の世界で幼いころから活躍している2人が、互いの築き上げてきた“SPIRIT”について語った。

■続けることが力

Q:お2人は、武術、そして歌舞伎を幼いころから続けていらっしゃるという共通点がありますが、1つのことを継続してきたことで人生にプラスとなった点はありますか?

ジェット・リー(以下、J):わたしの個人的な経験からですが、8歳のときに武術の世界に入ってチャンピオンを目指して1日8時間の容易ではない練習をしてきました。それをどう乗り越えるのかというと、強い意志が必要でした。わたしが、長い間続けることで一番養えたものはこの強い意志の力だと思います。

中村獅童(以下、N):やり続けるということは情熱がないとできないことです。元をただせば好きで始めたことですから、歌舞伎という世界でこれまでやってこなければ“現代役者”中村獅童もここにはいないと思います。そこはやっぱり、やり続けてきてよかったなと中国でこの作品を撮って感じましたし、わたしが初舞台を踏んだ年齢とリーさんがカンフーを始めた年齢が偶然にも一緒だったことで、いままでやってきたことを改めて考えさせられましたね。

■武術、武士道

Q:それぞれの役柄に、重なる思いはありましたか?

J:共通するところは大変多いです。フォという人物は、武館「精武体操学校」(後に精武体育会)というものを立ち上げて若者のモラルなどの教育に尽くしてきた。彼は僕の大先輩です。作品の中では、わたしにとっての武術に対する思い、また恨みは恨みしか呼ばないということ、そして「武術を励むものにとっての人生の目的とはなにか、それはその目的を見つけて、それと戦い、それに勝つことが大切なのだ」という自分の信条を取り入れるようにしました。

N:田中という人物は、武士道精神の持ち主だと思います。武士という世界は、歌舞伎の中でも経験しておりますし、時代劇を演じるときも刀を使います。そういったところは、僕が今まで経験させていただいたことに共通することが多く、それらの経験をふまえて演じるようにしました。

■アクションの裏に隠された意味

Q:お互いの戦いぶりはいかがでしたか?

J:個人的にわたし自身はアクションを何年も経験してきました。いつも思うことなのですが、アクション映画においてのアクションというのは表面的なものにすぎない。一番大切なものはその裏に隠された物語、精神的なもの。わたしの映画ではその精神的なものを表現したいと感じています。そういった面では中村さんとわたしは共通した意識を持っていました。そうするとアクションはとても楽になってくる。わたしより中村さんのほうがずっと大変だったと思います。中国語もアクションもすべて学ばなければいけませんので。そういった面で、中村さんが撮影中に見せてくれた精神的な強さを見られたことはとてもよかったと思います。

N:動いているときはもちろんなんですが、8歳のときから培われてきたリーさんの肉体の動きは本当に美しくて芸術作品のように感じました。それから、これはリーさんがなにもしていないときの立ち姿を見て感じたことなんですが、リーさんの思想ですとか哲学のような、そういったことが、じっとしている姿に表れているんですね。それが本当に素晴らしいと思いました。

■最後のカンフー映画

Q:ジェット・リー、最後のカンフー映画ということをうかがいましたが、本作に対する思いをお聞かせください。

J:今までの作品は“復讐”がテーマになっていることがほとんどでした。それが典型的なカンフー映画だったのですが、本作はそういったパターンを超えています。相手を倒さなくても自分自身が大切だということが強調されているんですね。いままで、武術映画に出演していた目的は、とにかく武術を広めていくことでしたし、常に映画の成功を祈っていました。でも最近は、もっと自分のための作品を探すようになってきたんです。もっと自分自身にどんな責任があるか、8歳から自分が重ねてきた経験をどう皆さんと分け合っていくかを考えたい。映画を通じて、反暴力の思想、そしてわたしの人生観を伝えていきたいと思っています。本作でわたしの武術に対する思いは出し切ったと思っていますので、今後はもうこのように武術に対する個人的な考えを語る武術映画は撮らないと思っています。

Q:中村さんは世界進出第一弾として、どのようなお気持ちでしたか?

N:自分の中では世界進出という意識はないんです。世界中の人に見ていただけることは自分にとってはとてもありがたいことなんですが、まずは日本の方に喜んでいただくことが僕にとっての一番の喜びです。

■あきらめずに追う夢

Q:日本には、強いSPIRITをもてない若者もたくさんいると思います。そんな彼らにメッセージをお願いします。

J:この映画には、わたしが今まで生きてきた中で学んだこと、悟ったこと、人生に対する考え方をたくさん詰め込みましたのでぜひご覧ください。人生を生きていますと、いろんな困難がやってきます。でもその困難を理解して、それに勝つことができれば人生はより美しいものになると思います。

N:趣味でもなんでもいいと思いますが、好きなことって子どものころから変わらないと思うんです。1つのことを続けることはとてもすてきなことだと思います。あきらめずに夢を持って追いかけてください。実現させるエネルギーをしっかりと蓄えて、いつかそれを爆発させる力を持つこと。えらそうなことはいえませんが情熱を持つことを忘れないでもらいたいと思います。

「継続は力なり」。ジェット・リーと中村獅童に共通している言葉はまさにこれしかない。8歳から、途中で投げ出すことなく“武道”そして“歌舞伎”に打ち込んできた2人からは、映画のなかの役柄と同じ“SPIRIT”が感じられた。そんな2人が語った言葉だからこそ、それぞれの語る一言一言に説得力があった。「困難を理解して、それに勝つことができれば人生はより美しいものになる」。多くのスランプを経験してハリウッドスターまで昇りつめたジェット・リーの最新作『SPIRIT』には、多くの思いが詰まっている。

『SPIRIT』は3月18日より、サロンパス ルーブル丸の内ほかにて公開中。

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2006年
  3. 3月
  4. 27日
  5. 『SPIRIT』ジェット・リー、中村獅童 単独インタビュー