シネマトゥデイ

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私的映画宣言 セカンド・シーズン5月

鴇田崇 高山亜紀 今祥枝 中山治美 前田かおり 相馬学

執筆者の近況など

相馬学
鴇田崇
『プルートで朝食』を筆頭に、この夏は良質のイギリス映画が豊作。『フーリガン』の仁義なき戦いに燃え、『レイヤー・ケーキ』のフィルム・ノワール的世界にシビれ、『ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男』に無情の世界を覚える。暗闇より、怪物より、女性がコワいことを再認識させる傑作ホラー『ディセント』も忘れちゃいけません。 パチンコ「CRフィーバー インディ・ジョーンズ」に挑戦。黄金像リーチや吊り橋リーチ、トロッコリーチなど名場面を再現したリーチアクションにハラハラ&ニヤニヤ。本編の実写も織り込まれてて最近のパチンコ進化は凄まじい。『GOAL!』を見て夢を持とうと思ったけど、目下の夢はテレ東の「今夜もドル箱!!R」に出ることだ!!
中山治美
高山亜紀
今年のカンヌ国際映画祭はフジテレビ関連の取材やらいろいろあって疲れました。おまけに途中、体調を崩すし。体力が如実に落ちていることを実感。リゲインじゃ、もう効かない体らしい。(泣) 日清焼そばUFOのCMで、およそ食べ物とは似合わぬヴェルディのレクイエム「怒りの日」が使われているのはなぜなんでしょうか。松浦亜弥→『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』主演→監督は深作健太→といえば、『バトル・ロワイヤル』……という繋がりなんでしょうか。気になってしょうがない。ってか、怖いの、CMが。

 ダ・ヴィンチ・コード
(C) 2005 Warner Bros. Entertainment Inc.
  世界中でベストセラーになっているダン・ブラウンの同名小説を映画化した超大作ミステリー。レオナルド・ダ・ヴィンチの名画に秘められた謎を、アカデミー賞俳優のトム・ハンクス演じるロバート・ラングドンが解き明かしていく。そのほかのキャストに 『アメリ』のオドレイ・トトゥや『レオン』のジャン・レノら演技派スターも名を連ねる。監督はアカデミー賞を獲得した『ビューティフル・マインド』のロ ン・ハワード。ルーヴル美術館で撮影が行われたり、歴史的価値の美術品がぞくぞくと登場するところも見逃せない。

トム・ハンクス
オドレイ・トトゥ
ジャン・レノ

監督: ロン・ハワード

   
相馬学   作品評価3 好き度3
キリスト教にまつわる象徴主義のウンチクは面白かったが、物語的にはムリがあるなあと思った原作。で、映画はこれをソツなくまとめた感があり、原作を読んでいれば改めて観る必要もないのでは……と思えるぐらい、ほぼ忠実な映画化。ウンチクが減量されているのは物足りないし、ストーリー展開も原作のままなので驚きもない。とはいえ、原作では肝心の“キリストとマグタラのマリア夫婦説”を唱えるティービングに同意していたラングトンに、否定的な立場をとらせている改変はどうよ? カソリックに日寄ったな、と邪推したくもなる。ヘタレになったラングトンに対して、祖父を殺した犯人に飛行機内でビンタを食らわすソフィーの勇ましさ。この改変部分は好きだなあ。
鴇田崇   作品評価2 好き度1
  長い、長いわな。が、この2時間30分という長尺こそ、原作ファンのために贈られた至福の時間なのね。活字で説明されてもよく分からん解釈劇を目で楽しめるし、何より原作にほぼ忠実な作りがファン限定って感じ。“だいたい自分、キリスト教はおろか、ダ・ヴィンチの暗号なんぞ興味ないっす”という身も蓋もない出発点に立つと、残るミステリーとしての側面を期待して挑むしかないのだが、普通のミステリーと違って頭の中で推理を働かせるための判断材料が大量かつ専門的すぎ。だから一度つまづいたら最後、ラストが来るまで“うすうす気づき始めるオチ”を待つばかり。無限の想像力を掻き立てる小説だからこそ生み出せたカタルシスはないよねぇ。
高山亜紀   作品評価3 好き度3
  原作『ダ・ヴィンチ・コード』の多数あるガイドの中では、これまでで最高の出来ではないか。一部惜しいけれど、ちゃんと現地に訪れて、本物の映像撮ってるし……。主演の二人もどうなることかと思っていたけど、恋愛なしなら納得のカップル。人がよすぎて、事件に巻き込まれても怒りもしない男と、無邪気過ぎて他人を事件に巻き込んでいるのに全く気に病むでもない女。オドレイ・ソフィーの余りに傍若無人な姿には笑いすら、こみ上げた。既にやられて虫の息の大男シラスの頭をつかんで、床に強打。それだけじゃ飽き足らず、ぐったりした彼にさらに張り手2連発。揚げ句の果てに「地獄に落ちろ」と呪いの言葉まで浴びせかける。やりたい放題のプリンセス、これはコメディーですか?


 プルートで朝食を
(C) Pathe Production Limited 2005
  パトリック・マッケーブの同名の小説を、『ダブリン上等!』のニール・ジョーダン監督が映画化。自己のアイデンティティについて悩む青年が、自分を捨てた 母親を探す旅に出ることで、自分自身を見つめ直していく様を描く。『バットマンビギンズ』のキリアン・マーフィーが、ぞくっとするほどの妖艶さを見せる主 人公を熱演。共演は『キングダム・オブ・ヘブン』のリーアム・ニーソンや、『コントロール』のスティーヴン・レイ。厳しい状況下でもひたすら前向きに生き る無垢(むく)な主人公の生き様に注目。

キリアン・マーフィー
スティーヴン・レイ
ブレンダン・グリーソン

監督: ニール・ジョーダン
     

相馬学   作品評価4 好き度5
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』に匹敵する、素晴らしきはみ出し者賛歌。故国アイルランドではIRAに邪険にされ、ロンドンに渡ればアイルランド人だからとテロ容疑で逮捕され、どこへ行ってもアウトサイダー。それでも背筋を伸ばして生きている主人公の姿は、女装趣味がなくても胸にグッとくるとものがあるに違いない。生活感のある描写もリアルで、決して大げさに見えないところは、さすが庶民的な味を重視するイギリス映画。大注目のキリアン・マーフィだがシナを作った怪演はキモいけれど、慣れるとだんだんかわいく見えてくるから不思議。ここでもいい仕事ぶり。ルーベッツの名曲「シュガー・ベイビー・ラヴ」が、また泣かせる!
鴇田崇   作品評価5 好き度5
  開巻直後に流れるルベッツの「シュガー・ベイビー・ラヴ」にいきなりガーン!! ここで★×4確定。そしてこの後、曲のパワーに負けない、切ないドラマに胸打たれることになるのです。心が女性の青年パトリックが生き別れた母を訪ねてウン千里っていう設定だけを聞けば、よくあるお涙頂戴モノと思われちゃうかもしれないけど、旅の途中で悪い男どもに遭遇するわ、IRAのイザコザにまで巻き込まれてしまうわで、“嫌われ松子”もハダシで逃げ出すほどの不幸な出来事のオンパレード。そんな中でも自らを“キトゥン=仔猫ちゃん”と人に呼ばせながら、たくましく生きていくパトリックの姿に胸が熱くなる。自分らしさを失わないで生きるって大変っす。
高山亜紀   作品評価4 好き度5
  小学生からボウイファンの筋金入りグラム好きの私にはたまらない作品。音楽もポップで素晴らしい。主人公のドラァグ・クイーンがロック歌手とか有名人になろうとするでもなく、親友思いの普通の人であろうするところがまた新鮮。ま、欲をいえば、キリアン・マーフィは素っぴんは美青年だけど、女装するとごついのがちょい目立って残念かな。タッキーの女形もそうだったけど、化粧することで、男顔が際立ってしまう。本作の見どころは、断然、リーアム・ニーソン。特にマーフィ演じるキトゥンによる妄想場面でのエロ神父っぷりのコミカルな演技が最高! 神父でありながらブロンド美女にたまらずかぶりつく姿に爆笑。元々悲しい顔つきのスティーヴン・レイの哀愁漂う演技も秀逸。

 ポセイドン
(C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
  1972年に公開されたパニック映画『ポセイドン・アドベンチャー』を、『トロイ』のウォルフガング・ペーターゼン監督が現代版にモデルチェンジしたスペク タクル・アクション。荒波に飲まれ沈みゆく豪華客船に、カート・ラッセル、ジョシュ・ルーカス、エミー・ロッサムら新旧実力派俳優たちが乗り合わせ、絶対 絶命の危機からのサバイバルを決行する。最新技術を駆使して映像化した、未曾有のパニック映像の数々にも圧倒させられる。

ジョシュ・ルーカス
カート・ラッセル
ジャシンダ・バレット

監督: ウォルフガング・ペーターゼン
     
相馬学   作品評価2 好き度2
『ポセイドン・アドベンチャー』を愛する身としては、このリメイクは正直言って物足りない。オリジナルの面白さはアクの強い人間ドラマにあった。“何がなんでも生き残る”というジーン・ハックマンのガッツ、一本気で憎めないなアーネスト・ボーグナインの自己主張、すっかり動転して皆の足を引っぱる女の子のビビリっぷりや、太ったおばさんの意外な才能など、サバイバルを面白くする要素がキャラクターのなかに潜んでいたが、ここではそれがスポッと抜け落ちている。結果、感情がついていかない群像劇となったのは、なんとも歯がゆい。オリジナルを超えていたのは、船が転覆する際の怒涛のスペクタクル。デジタル技術サマサマの地獄絵図でありました。
鴇田崇   作品評価4 好き度4
  水と安全はタダなんて言われた日本も近頃じゃ物騒でして、平穏無事な暮らしが当たり前ではない時代へ突入。いつ命が危険に晒されてもおかしくないご時世ですが、ポセイドン号に乗り合わせた人々は生き残るために何らかの専門的知識まで必要だったような気がした。もはやガッツや勇気、友愛だけではスペクタクル映画もダメなんでしょうか。“頑張れば報われるというのはまやかしだ!”なんて、ウォルフガング・ペーターゼン監督がそんなことを言いたいのかどうか知らないけど、サバイバルで勝ち抜くためには他人より抜きん出た技術や才能が必要だということを、僕はこのリメイク作品で改めて学んでしまいました。ちょっと大げさに言いすぎたかな。
高山亜紀   作品評価3 好き度4
  パニック映画なのにこの豪華キャスト!? と思ったら、実はマット・ディロンの不細工な弟だったりして、微妙な出演者陣。ブラック・アイド・ピーズ の紅一点ファージーの出演は儲け物だけど。一応、怒濤の展開だが、『海猿』観ちゃった人は「またか」と思いそう。気になったのはみんなをグイグイ引っ張ってくヒーローがこれまでなら、カート・ラッセルの役どころなのに世代交代なのか、ジョシュ・ルーカスも同じ役割を果たすとこ。ヒーロー二人もいらんから! しかもジョシュはアウトローで、団体行動をするうち、仲間意識が芽生え……となるのが自然だが、急に親切だったり、急に突き放したりでキャラが不安定。「どうしたいんだ、この色男!」としばしばツッコミたいことこの上なし。

 ジャケット
(C) 2004 VIP MEDIENFONDS 2/VIP MEDIENFONDS 3/MP PICTURES. All Rights Reserved.
  スティーヴン・ソダーバーグとジョージ・クルーニー共同プロデュースによる新感覚サスペンス。時空を超えて謎の死の真相を探る男女を、オスカー俳優エイド リアン・ブロディと、『プライドと偏見』のキーラ・ナイトレイが熱演。さらに名優クリス・クリストファーソン、『マシニスト』のジェニファー・ジェイソ ン・リーら実力派が脇を固める。映画、MTVなど多方面で活躍するジョン・メイブリーが監督を務め、独創的で陰影に富んだ映像世界を創りあげた。

エイドリアン・ブロディ
キーラ・ナイトレイ
クリス・クリストファーソン


監督: ジョン・メイブリー
 
     
相馬学   作品評価3 好き度4
コレは好きだなあ。話がどこに向かおうとしているのかまったく予想できない最初の30分に、まずやられた。“嫌われ松子”どころではない主人公の転落は、不条理のジェットーコースターと呼びたいほど激しく、こちらも口アングリ。気づけば未来にタイムスリップしている大胆な展開に驚かされ、ちょっといい話へと流れる転調に切ない気持ちにさせられる。とにかく不思議な映画で忘れられず、もう一度観たら、あのキャラとこのキャラが同一人物だったり、一度出番を終えたはずのキャラが、その後にチラリと出てきたりなどのトリッキーな箇所をいくつか発見。それを手がかりにして解釈を試みると、意外に深い話であることに気づく。ハマりました。
鴇田崇   作品評価4 好き度2
  エイドリアン・ブロディ演じる精神病扱いされる主人公が、赤い引き出し棚に出し入れされる珍妙な荒療治を経験して、生と死を意識する異色のサスペンス・ドラマ。死を意識した時点から逆算的に人生に固執するテーマは素晴らしいけど、好きなキーラ・ナイトレイが光ってないわ(一応、脱いでいるが)、エイブロのデカっ鼻が気になるわで、要はそのテーマを浮かび上がらせるための物語にあまり興味が沸かなかったのが気が散った原因っス。ただ、無類のボンド映画好きとしては、6代目ボンドのダニエル・クレイグの出演とシリーズ6作目『女王陛下の007』のエンディングで流れるアノ曲が使用されたことが嬉しかったので(作品とは関係ないけど)、この評価。
高山亜紀   作品評価4 好き度4
  ゲーマーでもある私は、主人公の生き方次第でラストが変わるマルチ・エンディングものにどうにも弱い。『バタフライ・エフェクト』も然り。ただし、『バタフライ~』のヒロイン、エイミー・スマートがダメ人間にもキャリアウーマンにもなりえたのに対し、ハスッパなイメージのキーラのもう一つの顔は少々チャレンジング。いや、わざと外したキャスティングが逆に本作の持ち味のよう。武骨オヤジのクリストファーソンが博士、筋骨隆々ダニエル・クレイグが精神病患者、何よりアメリカ人なのにヨーロピアン顔のエイドリアンがいかにもアメリカのヒーローな元軍人を演じているのも異色(地でいけそうな役のレンフロ君は例外)。それがうまく作用し、話に奥行きが生まれ、相当、面白い。


偏愛映画宣言

だれが何と言おうとこの映画を愛します宣言!
 ライターが偏愛してやまない1本をご紹介!

 トランスポーター2
中山治美
 大甘な脚本&奇想天外な展開で失笑を買うことの多いリュック・ベッソン印映画。その中で、唯一筆者が寛大な心で見ちゃう作品がコレ。ひとえにブルース・ウィリスに変わる”新セクシー・ハゲ”のアクションヒーロー、ジェイスン・ステイサムの男前な姿に他ならない。「契約厳守」「名前は聞かない」「依頼品は開けない」のルールを貫くプロの運び屋役。無駄口叩かず任務を遂行。驚異のドライビングテクニックだけでなく格闘もイケるとは恐るべし。そんな寡黙な凄腕のイメージに、ステイサムの渋さがマッチ。何てったって、酒焼け気味の枯れた声がセクシー。ラッセル・クロウしかり、声も女を惹きつける大事なポイントなのよね。
 ただ映画は、舞台が山道入り組んだプロヴァンスから直線の多い米国に移り、カーチェイスシーンの魅力は半減だけど、ステイサムの体を張ったアクションが満載なので大目に見てあげる。3も期待したいけど、シリーズが進むに連れて失速した『タクシー』の二の舞だけは御免。
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