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高島礼子
『バルトの楽園(がくえん)』
『バルトの楽園(がくえん)』高島礼子 単独インタビュー

取材・文:FLIXムービーサイト 写真:田中紀子

たくさんの女性から「大人の女」として憧れを集め、男性からは「1番癒されたい美女」として、絶大な人気を誇る高島礼子。そんな日本を代表する女優である彼女が、映画『バルトの楽園(がくえん)』で、松平健ふんする主人公・松江豊寿の妻・歌子役に挑戦した。自ら「恩師」として敬愛している松平の相手役を大切に演じたという高島に、本作の魅力や撮影秘話を語ってもらった。

■ロケ地の鳴門の皆さんのおかげで、頑張れました

Q:まず、この脚本を最初に読まれた感想を聞かせてください。

実際にあったことですよね。今まで教科書にも載っていないんで知らなかったんですけど、こんなことがあったんだ! っていうことにびっくりしたことと、それから日本人を見直しましたね。戦争時代の話になると、日本人って結構苦しい話題が多いじゃないですか。でも、このお話を読んでなんだかうれしい気持ちになりました……。

Q:鳴門に作られた板東収容所のセットはいかがでしたか?

セットは本当にとても立派で……、立派というのはきれいとかそういうことじゃなくて、細部にまで気を使っていて、これ全部本当にカメラに収まるのかな? というくらい収まらないところまでとても細かく仕上げてありました。

Q:ロケ地の鳴門では、地元の方々がすごく盛り上がっていらっしゃったようですね。こういう心強いサポートのある撮影というのは、楽しいですか?

はい! 板東の方たちや鳴門の人たちは、いわゆる、おじいちゃん、ひいおじいちゃんの時代の祖先がその時代に生きていた方たちだったので、こんな素晴らしい人たちの末裔(まつえい)だったというような誇らしい気持ちがあるように感じられました。ですから、とても過酷なスケジュールだったんですが、徳島弁の行きかう中、エキストラとしてとても楽しんでお芝居に協力してくださったのがうれしかったです。皆さんのおかげで「頑張ろう!」って気持ちになれて、なんだかその時代にタイムスリップしたような感覚で、とても気持ちよくお芝居ができました。

■歌子との共通点? まったくないです(笑)

Q:高島さんが演じられた松江の妻、歌子はだんな様を影で支える女性ですが、どんな人物だと思いますか?

いわゆる古き良き、素晴らしい女性だと思います。何が起ころうと、家は私が守ります! という歌子の姿勢は、とてもかっこいいと思いますね。

Q:高島さんとの共通点は?

共通点はね~。ない!(笑) 本当に。でも、歌子のようになりたいかというと、私には結構、難しいというか……。自己主張できないしね(笑)。でも、目に見えないところで、心の中の面では共通点があったらいいなと思います。

Q:歌子を演じる上で気をつけたことはありますか?

歌子の出番はそれほど多いわけではないんですけれども、それだけにインパクトの強いせりふが結構あって、ちょっと間違ってしまうと説教くさくなる可能性もあったんです。子供を亡くしていない歌子が、お子さんを亡くした人に対してかける言葉も、ちょっと言い方を変えると、ただの余計なお世話に聞こえてしまうせりふもあったんです。でも、歌子の優しさや思いやりを大切にして、余計なお世話にならないように、気をつけました。監督は芝居に注文を多くする方ではなくて自由にやらせてくれました。なので、一度芝居をしてみて、気になるところは監督とちゃんと話し合いましたね。

Q:松江所長のような男性は?

すてきな方だと思います。とても苦労を強いられて、厳しい幼少期を育った方なのに、優しい心を持っているから。子供に対しては、眉間にしわを寄せて……というイメージはあるんですけれども、それは怖いというより、堅い感じなんです。その中に真面目な幼さがあるという、魅力的な男性ですね。

■ドイツ人俳優との撮影

Q:ドイツ人の俳優がたくさん参加していましたが、ドイツの俳優の方々との交流はありましたか?

私は、板東収容所の最後のオーケストラの場面でご一緒しただけでしたが、皆さんとてもフレンドリーですね。向こうの方たちは語学の習得能力が高いのかな? せっかく日本に来たんだから日本語を覚えようという気持ちが高いのか、私が合流したときには、結構日本語をしゃべれる方が多くなっていて、日本語でコミュニケーションをとってくれるんです。私のほうは遠慮したところがあったんですが、皆さんのほうから話しかけてくれました。

Q:ラストシーンでの生の「第九」はいかがでしたか?

あれは鳥肌が立ちましたね。ちょうど風の強い日だったんですが、音楽が風に巻き込まれるような。私は野外でクラシックを聞いたのは初めてです。もちろん、歌子も初めてだったんですが、リアクションがないんですよね、あまりの感動で。本当だったら、もっと「エッ!」ってオーバーリアクションがあっても良かったんでしょうが、あまりにも素晴らしすぎて、幸せな気分になって、初めて聞く歌子にしても、高島にしても心地よく聞くことができたんです。

■国境、人種を超えた愛情

Q:収容所というと、たとえば、イラクでアメリカ兵が虐待していたりとかそういうイメージが強いですよね。板東収容所のような温かい収容所が実在したということは本当に驚きですね。

ねー! いいですよ、本当に。実際に自分の子供たちとかだんなさんが戦死しているような状況下で、人を許すことができる、優しくしてあげられるという感情は素晴らしいと思います。もちろん、それに応えているドイツ人の方たちがいて、戦争中だからこそ、言葉を超えたというか、温かいきずなみたいなものを感じることができました。

Q:歌子は、志をちゃん(ドイツ兵の父と日本人の母を持つ少女)をまるで我が子のように温かく接するじゃないですか? あの当時の普通の女性はあそこまでの態度は取れないんじゃないですか?

そうですよね。しかも、父親がドイツ人っていうのは当時とても珍しいし、あの時代では、現実にはなかなか受け入れられなかったと思うんです。でも、歌子は幼くして戦争の重みを背負った子をかばってあげなくちゃ、いえ、かばってあげるべきと感じたんでしょうね。

■理想の女性を演じる

Q:松平さんと共演されていかがでしたか?

松平さんは、私が女優の道を歩むことになった機会を築いてくださった方なんで、そういう方とこんな素晴らしい作品で共演できるということで、とても緊張していたんです。でも、こんなにいい映画だからこそ、私がちゃんと歌子を演じて、お客さんにこの映画の素晴らしさをきちんと伝えることが、松平さんへのお返しになるんだと、緊張を振り払って大事に演じました。

Q:第一次世界大戦を題材にしている映画はなかなかないですよね。映画でも第二次世界大戦の話はよく観るんですが……。

そうですよね。それに戦争映画というと、ボロボロになって……ってそんなイメージですよね。本当に悲しくて悲しくて大泣きしちゃうという戦争映画のイメージが定着していますよね。けれども『バルトの楽園(がくえん)』は、優しい戦争映画。本当に大泣きとかそんなのは期待しないでくださいね(笑)。でも心が温かくなる、優しい気持ちになる戦争映画です。

Q:高島さんが、女優としていつも心にとめていることはありますか?

いい人を演じようとするとあざとくなっちゃうので、そこに一番気をつけています。まさに、今回演じた歌子は本当にすてきな女性なんですよ。だから、それをあまりにも強く表現しすぎてしまうより、これは素直に私自身の理想の女性を気持ちで演じればいいのかなと考えました。後は、映画を観てくださる方が歌子の気持ちになって、自由に想像してくださればいいのかな? 映画って「ながら」で観るものでなく、お金を払って観てくださるものだから、観てくださる方に自由な見どころを作っていただきたいですね。

高島礼子というと、どこか色っぽくて、物静かな女性というイメージを描いていたが、インタビューで「私と歌子とは正反対」というほど、高島は明るく朗らかだ。おかしいときは大声で笑い、カメラには冗談半分におどけた顔でポーズをしたり、気さくで楽しい彼女は、一瞬にして場を楽しい雰囲気にしてしまう不思議な魅力の持ち主だった。そんな高島が、大正時代に生きる優しく、強い母を演じた『バルトの楽園(がくえん)』。この優しい戦争映画で、温かい感動を感じてほしい。

『バルトの楽園(がくえん)』は6月17日より全国東映系ロードショーにて公開。

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