シネマトゥデイ

私的映画宣言 セカンド・シーズン8月

鴇田崇 高山亜紀 今祥枝 中山治美 前田かおり 相馬学

執筆者の近況など

前田かおり
相馬学
オヤジ俳優好きな私でありますが、一方で、美人でデカくて強い姐御にも憧れる私。で、ついに会えたよ、ファムケ・ヤンセン。でも、プラダの真っ赤なブリブリ服を着て登場し、目の前で小瓶に入ったナッツをボリボリ食べながら答えるという豪快さには驚き。ついでに、しょっちゅう長~い脚を組みかえるもんで、目のやり場に困ったっす。 夏バテに効くのは、やっぱホラーでしょ……と思い、『ハイテンション』の試写へ。観るのは2度目だが、やはりコレはスゴい! ブラックユーモアに逃げることなく正面切って怖がらせることに徹した、タイトルに偽りナシの傑作。同監督のリメイク版『サランドラ』も、ある意味オリジナルを超えた力作なので、ぜひ日本公開してほしい。
中山治美
鴇田崇
とある俳優さんを追いかけて北京へ行くことになった。自腹なので、せっせと貯めたマイルを無料航空券に変えて、安いホテルをネットで捜して予約OK。サッカーW杯終了し無気力状態だったが、久々に頑張ってみた。渡航6日前だけど、何とかなるもんだね。 暑くなってきたので飲む機会が増え、まぁ飲み代が凄いことに。だいたい中生からホッピーへダラダラと移行して、朝まで飲み明かすオールのパターンが多い。とりわけ夜遅めの試写がある日は要注意で、直前に観た映画が駄作であればあるほど話が盛り上がるという……。そんなダメ人間の近況報告。皆様も飲み過ぎにはご注意を。

 ゲド戦記
(C) 2006二馬力・GNDHDDT
  アメリカの女流作家アーシュラ・K・ル=グウィンの「ゲド戦記」シリーズを、スタジ オジブリが映像化したファンタジー・アニメ超大作。宮崎駿監督の実子である宮崎吾朗がメガホンを取り、少年アレンと大賢人ゲドの旅を通じて混迷する時代を 生き抜くためのメッセージを投げかける。V6の岡田准一、菅原文太ら新旧の実力派が存在感ある声の演技を披露するほか、主題歌と挿入歌も担当した手嶌葵の 圧倒的な美声にも心奪われる感動巨編。

監督: 宮崎吾朗

岡田准一
手嶌葵
田中裕子

   
前田かおり   作品評価2 好き度1
過去の宮崎パパ作品ならばいたはずの、お笑い担当のキャラクターもユーモアもなしで、混迷した時代をまっとうに生きるというメッセージをひたすら問う。全編堅苦しいが、いい意味で宮崎ジュニアの生まじめさは感じる。でも、“真の名”など、原作を読んでいないとわかりづらい物語の世界観はほとんど説明されず、ラストは力ワザで強引にまとめてる。正直、印象に残ったのはテーマ曲「テルーの唄」を歌う手嶌葵の心洗われるような歌声ぐらいでした。それにしても、ジブリ王国の行く末があれこれ言われている中で、偉大なる父親を乗り越えられず、悶々としてる息子の話を宮崎ジュニアのデビュー作にするなんて、鈴木プロデューサーはジュニアの才能をよっぽど買ってるのか……、あ、それともバクチ? 
前田かおり   作品評価3 好き度3
  恥ずかしながらエロもグロも笑いも少ないこの手のアニメはほとんど観ないので他との比較はしづらいが、思ったよりも面白かった。原作はもしや『スター・ウォーズ』に影響をあたえたのかと思わせるほどドラマはSW的で、主人公の男の子はルーク・スカイウォーカーで、共に旅をする魔法使いはオビ=ワン、魔女はダース・ベイダー(または皇帝)だな……などと当てはめて観てしまったせいか。いずれにしても、善悪の狭間で道を求めるという、アドベンチャー・ムービーの基本はしっかり押えている点に好感。“人間の頭が狂っている”という現代に向けたメッセージが頭でっかちで、映画から浮いているのが惜しい。それと“えんがちょ!”などとシャウトしない、菅原文太の渋い声が聴けたのは収穫。
中山治美   作品評価2 好き度2
  どーしても親父と比較し、親父の偉大さを再確認しちゃいますね。気になったのが2点ほど。親父さんの映画は、例えば前作『ハウルの動く城』だったら城が歩いているところ、『千と千尋の神隠し』だったらあの風呂屋の建物そのものだったり、一つの映画で印象に残るシーンが必ずあるのだけど、今回はそれがないこと。そしてもう一つ、“笑い”がないのだ。これは新人ならではの余裕のなさかもしれないが、黒澤明しかり、今村昌平しかり、巨匠と呼ばれる人は皆、どんなにシリアスな物語でも、真面目にやっているからこそ生まれるくだらない笑いをフッと入れて、観る者に共感を与えるのが上手いのだ。そこらへん、後継者として精進して頂けることを期待します。ハイ。


 スーパーマン リターンズ
(C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
  世界中で愛されているヒーロー、スーパーマンが活躍する人気アクションのシリーズ最 新作。スーパーマンが失踪を遂げてから5年後を舞台に、再び悪に立ち向かうスーパーマンの姿が描かれる。監督は『X-MEN2』のブライアン・シンガー。 スーパーマン役には数千人の中から選ばれた新人のブランドン・ラウスが務める。悪役にはオスカー俳優ケビン・スペイシー。最新のVFX技術で生み出される スペクタクル映像のほか、無敵のヒーローであるスーパーマンが、1人の男として愛や人生に思い悩む姿を描いている点も見逃せない。


監督・製作: ブライアン・シンガー


ブランドン・ラウス
ケイト・ボスワース
ケビン・スペイシー

     

前田かおり   作品評価3 好き度3
ニコラス・ケイジをはじめ、多数スターの名が挙がったが、クリストファー・リーブ色が強いだけに、彼に似ているブランドン・ラウスが新生スーパーマンを継いだのは正解! しかも、ブランドンのほうが先代よりずっと甘いマスクで、ナイーブさも際立ってる。最愛のロイス・レインへの思いにウジウジする姿には母性本能くすぐられた。とくにメガネフェチな私は、クラーク・ケントのときのブランドンのメガネに隠れた瞳には惚れました。ヒーロー映画として、銃弾を跳ね除け“鋼鉄の男”の強さしっかり描写するあたり、ブライアン・シンガー監督もファン心理を心得たもの。ただ2時間半の長さはダレる。それとケビン・スペイシー演じるレックス・ルーサーの冷酷ぶりも、私的にはジーン・ハックマンのようなお茶目さが欲しい。
前田かおり   作品評価3 好き度4
  ジョン・ウィリアムズによるテーマ曲がバーン!と鳴り響いた冒頭だけで気持ちが高ぶる。とにかくスーパーマンは別格だ。映画のアメコミ・ヒーローの多くは自身のダークサイドと格闘し、それはそれで面白いのだが、悩みといえば女のことぐらいで、正義を行なうことに迷いのないスーパーマンの潔さは希少だ。そのうえ空を飛べて、高速移動して、怪力も発揮して…と、すべてのヒーロー・スキルがマックス値なのだから、能力発揮をビジュアルにしたスペクタクルのスケールもデカい。ケビン・スペイシーの楽しげな悪役ぶりも含めて、ワクワクしながら観ました。ただ、ヒーローのコスチュームがメタリックな光沢を放つのが当たり前の昨今、タイツ姿が現代の観客に受け入れられるか、一抹の不安が……。
中山治美   作品評価3 好き度4
  今夏の大作映画の中では、最も食指が動かなかった作品。ところが意外にハマっちゃいました! 「弾丸よりも速く、機関車よりも強く、高いビルもひとっ飛び」という昔懐かしいスーパーマンの特性を表したフレーズ、そのまんまのシーンをちゃんと、あの心躍るテーマソングも流れて(さすがに“機関車より”ってのは今は古いけど)、ツボを外していない。ただ、今回の敵役ケビン・スペイシーの野望が浅はか過ぎて、ぷぷぷーッとそのハゲ指さしながら笑っちゃう。で、この映画、まだ続くの? 主演の新人ブランドン・ラウスはいかにもアメリカン!な大味。『スター・ウォーズ』のヘイデン・クリステンセンを彷彿とさせる、本作品限定のスターである匂いがプンプン。

 マッチポイント
(C) JADA PRODUCTIONS 2005
  ニューヨーク派の名匠ウディ・アレンが初めてロンドン・ロケを敢行したサスペンス。イギリスの上流社会を舞台に、持ち前の野心で地位と財産を手に入れる男の運命を描く。運命に翻弄(ほんろう)される主人公を演じるのは、『アレキサンダー』のジョナサン・リース・マイヤーズ。彼をとりこにする奔放なアメリカ人女性を『アイランド』のスカーレット・ヨハンソンが演じる。先の読めないサスペンスの魅力とウィットに富んだ語り口が融合した贅沢な作品。


監督/脚本:ウディ・アレン

ジョナサン・リース・マイヤーズ
スカーレット・ヨハンソン
エミリー・モーティマー

スタッフ

 
     
前田かおり   作品評価4 好き度3
『M:i:III』に続き、今夏は活躍のジョナサン・リース・メイヤーズ。本作では彼の妖しく光る眼が上昇志向満々の野心家というキャラクターにハマり、悩める男を熱演。ウディ・アレンのキャスティングセンスはさすがだ。ヨハンソンも魔性の女にドンぴしゃ。彼女のたわわな胸とやーらしい唇を見たら、ヤバいと理性では抑えても、下半身は抗えない男の気持ちは手に取るようにわかります。そんな主人公の転落の一途がスリリングに描かれる。物語には決して新味はないのに、運・不運で人生を嘲笑う巧さは泥沼恋愛の経験が豊富なウディならではだし、運に恵まれない刑事の存在など、脇キャラでもピリッと辛味を効かせているのもいい。ところで、ウディは次回作でヨハンソンと共演。あーたもオヤジ殺しの毒に当たったか。
前田かおり   作品評価4 好き度3
  ウディ・アレンの作品は、ほとんどが自身の分身ともとれるダメ男を主人公にしている。しかし、よりよってジョナサン・リース・マイヤーズを持ってくるとは、ずいぶん美形の分身を選んだものだ……などといツッコミはともかく、本拠のニューヨークを離れてロンドンで撮った本作では、それもアリだろう。何より、階級意識が明確なロンドンの方が、この人の描く人間の特権意識やスノッブな面が明確になるので面白い。ヒッチコックを意識したのかなと思わせるサスペンス描写もチラチラと見え隠れして、映画ファンとしては興味深い作品である。個人的には、年甲斐もなくスカーレット・ヨハンソンを愛人にして鼻の下を伸ばすウディ・アレン自身のダメ男っぷりが観たかったが、これは次回以降に期待。
中山治美   作品評価4 好き度4
  昨年のカンヌ国際映画祭で上映され、日本ではだいぶ公開が遅れちまったが、スカーレット・ヨハンソンが美乳No.1だの、セクシーだのもてはやされるようになったのも、ジョナサン・リース・メイヤーズがまさかの『M:i:?』でトム造と共演したのも、すべて本作品のおかげ。世に不倫劇は多々あれど、2人がフィーチャーされるくらい、匂い立つような官能とスリリングさを見せてくれた作品は久々。それも、自他共に認める(?)ロリ男ウディ・アレンが作ったってところがミソ。私生活ではジョニー・デップ同様、スキニーちゃん好きのアレンだけど、本当はヨハンソンみたいなむっちり系が好きなんじゃないの?と、アレンの性癖まで想像して2倍楽しめる作品。

 ユナイテッド93
 
  アメリカ史上最悪のテロ攻撃事件として記憶された2001年9月11日の出来事を、 当事者の視点から再現した衝撃的作。『ボーン・スプレマシー』のポール・グリーングラスが脚本と監督を手がけ、4番目のハイジャック犠牲となった、ユナイ テッド航空93便の乗員と乗客らが経験した未曾有の恐怖心をリアリスティックに描く。離陸からハイジャック、そして運命の瞬間までを時間軸にそって再構築 し、悲劇の結末を臨場感たっぷりに伝える。

監督:ポール・グリーングラス


コーリイ・ジョンソン
デニー・ディロン
タラ・ヒューゴ


     
前田かおり   作品評価5 好き度4
とてつもなくヘヴィな気持ちになる作品だが、昨年の『ヒトラー~最期の12日間』と同じく観るべき作品だと思う。一般的な認識としてはテロリストたちが悪だが、本作では彼らは一様に純粋で信じるモノのために行動を貫いたとして描写、脚本を手がけたポール・グリーングラス監督の勇気ある描写に拍手。演出にも一切ムダがなく、刻一刻と悲劇的な結末に向かっていくまで緊張感をドキュメンタリータッチでジリジリと高めていく。それにしても、離陸するまでの間、乗客、乗務員の顔には一切、不安などなく、世間話を楽しみ無防備にくつろいでいるだけに、その後の彼らの恐怖も余計身に迫る。9.11以降、日常どこもかしこも「一寸先は闇」だらけを痛感。ああ、やな世界だ。
前田かおり   作品評価5 好き度4
  こんなにハラハラする映画体験も珍しい。米同時多発テロの際にハイジャックされた旅客機の機内を、事件の進行とともに再現した体感惨劇ムービー。結末がわかっているとはいえ、臨場感が押し寄せてくるドキュメンタリー調の映像と対峙すると、恐ろしいほどの緊張を強いられることになる。『ブラッディ・サンデー』で観る者を暴動の最前線に放り込み、『ボーン・スプレマシー』で荒唐無稽になりがちなスパイ活劇をリアリティに引き寄せたポール・グリーングラス監督の渾身の仕事ぶりに脱帽。新聞やTVをとおしてしか“9.11”を知らない日本人は、一度は観ておいた方がいいのではないだろうか。それはともかく、しばらく飛行機には乗りたくありません。
中山治美   作品評価5 好き度5
  素晴らしい!! 世界に衝撃を与えた“9.11”の話だけに、下手したらお涙頂戴物語に走りがちだが、余計なエピソードは一切排除。テロリストにとっては目的を達せられなかった「ユナイテッド93」機の離陸から墜落までを、管制塔の混乱ぶりを交えてリアルに再現した、作り手の潔い&真摯な姿勢に感服。だって日本人で搭乗していた男性までも、ちゃんと描いていて、彼の存在を忘れないでくれた事に対して、同じ日本人として胸が熱くなってしまった。それにしても、他の飛行機がワールド・トレードセンターに激突していた頃、このフライトはまだ離陸していなかったのね。お前の対応が遅れたからだ! ブッシュさんよ! と改めて悪態を付いてみたくなった。


偏愛映画宣言

だれが何と言おうとこの映画を愛します宣言! 
ライターが偏愛してやまない1本をご紹介!

 パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズチェスト
鴇田崇
(C) Disney Enterprises, Inc. & Jerry Bruckheimer, Inc.
 生ジョニデが目当てで成田空港に集結する心理は分からないが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』に関しては強く支持したい。

全米中で記録的な観客動員数を叩き出し、気持ち悪いほどの熱狂的な歓迎を受けている続編の『~デッドマンズ・チェスト』。船長ジャック・スパロウのカリスマ性が映画ファンを魅了しているのも事実だが、名プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが仕掛けた、ウソみたいなアクション映像のオンパレードこそが大多数の人を惹き付けているはず。

回転する水車内でのチャンバラ剣劇や海賊船を襲う巨大な軟体生物などなど、純粋に楽しめる娯楽要素がてんこ盛り。陳腐な感想だが、これぞ本物のエンターテインメント映画だと改めて思ったわけ。

映画好きなら洗礼を受けたという映画人が必ずいるもの。僕の場合、ジェリー・ブラッカイマーがそのひとり。わざわざ偏愛映画で取り上げるまでもない超話題作だということは百も承知。でも仕方ない。好きなんだから。
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