シネマトゥデイ

小西真奈美
『天使の卵』
人は完璧じゃない、そこがすてきなんです
『天使の卵』小西真奈美 単独インタビュー

取材・文:鴇田崇 写真:秋山泰彦

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村山由佳原作の100万部突破のベストセラー小説を映画化した『天使の卵』。運命の恋に翻弄(ほんろう)される男女の姿がエモーショナルに描写される本作で、ヒロインの春妃を透明感あふれるたたずまいで演じた小西真奈美がインタビューに応じた。原作を読んでいたときから普通の純愛ラブストーリーとは違った印象を受けていたという彼女に、作品に流れるテーマやヒロインと同年代の女性としての感想、この作品に込めた思いなどを聞いた。

■必死に生きている人は輝いて見える

Q:出来上がった映画をご覧になった感想は?

最近、純愛をテーマにした作品が多いですが、『天使の卵』には純文学テイストというか、普遍的なものがしっかり描かれていたのがうれしかったですね。あまり自分の作品を客観的に観ることができないのですが、『天使の卵』については自分が出ているのを忘れて一観客となって観られた瞬間がありました。それだけ力のある作品になっているということだと思います。

Q:小西さんご自身もかなりお気に入りのようですが、一番気に入っている部分は?

人を愛することや生きることについて、とても丁寧に描かれていたのが新鮮で気に入っています。登場人物が痛々しいまでに必死に生きていて、生きることは楽じゃないし、ぶつかることもあるけど、それでも前に進もうとする人は輝いているんだなぁと感じました。

Q:市原さんとの演技の相性もバツグンでしたよね。休憩中とか演技プランとか具体的に話されたんでしょうか?

全然しなかったんですよ(笑)。お互いに演技プランについてはまったく話さなかったんですけど、逆にそれが良かったみたいです。本番で何が出てくるか分からないからこそ、お互いの演技を受け止めた瞬間によりリアリティーがあるものが生まれたのだと思います。休憩時間に役のことをずっと考えているわけでもないですしね。そういうメリハリがついたところは良かったんじゃないかと思います。

■感情と理性が闘っている20代後半について

Q:ヒロインの春妃を演じる際、どのように役の掘り下げたのですか?

春妃という女性は、「明るい人です」とか「おとなしい人です」とか、ひと言で表現できる人物ではないんです。はかなげに見えたり、しっかりしていたりと、いろいろな面を持っていたので難しかったですね。でも、あれこれ考えずに、一度ニュートラルな状態にして、現場でいろんなものを感じながら答えを探そうと努力しました。毎日が必死っていう状態で、結構大変でしたね(笑)。

Q:ヒロインと同年代の女性として、小西さんご自身も内面的にヒロインの春妃とは共通するところはありましたか?

20代後半って、20代前半のころみたいに思ったままを言葉にしたり、行動したりすることができなくなってくるんですよね。だんだん分別がついて責任も背負ってくる時期だと思うんです。でも、感情のままに突き進むことも忘れてない……。そんな中で、感情と理性が闘っている部分を持っている年齢ですよね。そういうところは、今のわたしでなければ感じられないことがたくさんあったと思います。

Q:映画の中で「自分だけが幸せになればいい…」というセリフがありますが、小西さんご自身はそのせりふにどんな感想を持たれましたか?

自分だけが幸せになればいい時期がある……。「自分だけが幸せになることを考えちゃいけない、もっと周りのことを考えなきゃいけない」と考えている自分と、「でも人は幸せになるために生まれてきたんだから、そうなっていいんじゃないか」っていう自分もいて……。そんな深い意味のある言葉なのだと思いました。

■自分自身が何を求めて生きているか考えることが大切

Q:そう考えると、一般に女性としてどういう生き方を送れば、幸せな生き方だと思いますか?

うーん、どうなんでしょうねぇ(笑)。それはたぶん、人それぞれ何を優先するかによってまったく変わってくると思います。人生は一度きりだし、誰の人生でもない、自分の人生だから、本当にその瞬間、一番強く大事にしたいと思ったものだけを選び取れる強さがあれば、いいんじゃないかと思います。

Q:小西さんが考える、女性にとって最も大切なこととは何でしょうか?

何でしょうねぇ(笑)。女性にとって……。ちょっと昔の時代であれば家庭を持って、愛に恵まれてっていうのが幸せだという時代もありましたよね(笑)。でも、今は仕事をして生きていく女性が増えたし、そういう風に自立していることもすごくすてきなことだし、選択肢がいっぱいあるので“女性にとって”というのがなくなってきた時代なんじゃないでしょうか。だからこそ、自分自身が何を求めているかが大事になってきているんじゃないかと思います。

■好奇心旺盛にチャレンジし続けたい

Q:『天使の卵』では、小西さんにとってご自分のどんな一面を劇場のお客さんに見つけてほしいですか?

演じていてすてきだなと感じたところは、春妃の完成されてない人間臭さです。人ってそんなにきれいに生きていないじゃないですか。落ち込んでボロボロになったり、必死に這い上がろうとしたり……。わたしが演じた春妃のそういう人間臭さを感じていただけたらと思います。

Q:最後になりますが、『天使の卵』を経てこの先どんな人間になっていきたいという理想や目標はありますか?

人って年齢を重ねれば重ねるほど、どんどん自由になるし、見えなかったものが見えてくるようになると思うんです。だから、わたし年齢を重ねていくことがすごく楽しみなんです! 今後はもっともっと好奇心旺盛になって、いろんなことにチャレンジできる人になりたいと思っています。

撮影前から全力で取り組んできた意欲作だけに、質問に対する謙虚(けんきょ)で丁寧な受け答えが印象的だった小西真奈美。そんな彼女の素の魅力こそが、観る者を引き付けてやまないに違いない。今年はセルフプロデュースの写真集を出すなど精力的な活動を展開中だが、彼女の飽くなき好奇心が女優という枠組みを広げていっているのは確かだ。今後の活躍からますます目が離せない。

『天使の卵』は10月21日より全国公開。

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