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今週のクローズアップ ジェレミー・アイアンズ

 週末に公開される話題の映画の中から、気になる人物をご紹介します。今週は、7月21日公開の『インランド・エンパイア』のジェレミー・アイアンズをクローズアップします。夢と現実の境界が入り乱れていく、混沌とした世界を描いたリンチワールド炸裂の本作。リンチの世界観に妙をくわえる、まろやかな中年の魅力を徹底解剖!
芸達者は昔から

 ジェレミー・アイアンズは、1948年9月19日イギリスのワイト島で生まれ、父親が公認会計士という家庭で育ちました。イギリスの名門であるシャーボン校に入学し、在学中は、演劇に夢中で学業にはあまり熱心ではなかったようです。演劇だけでなく音楽活動にも熱心で、ドラムやハーモニカの演奏者としても有名だったということ。

 

卒業後は、ブリストルの大通りで、歌ったり、大道芸をしながら過ごしていたようです。そして、さまざまなアルバイトを転々とした後、演技を1から学びなおすためにブリストルのオールド・ヴィク座付属の演劇学校に入学し、そのまま同劇団の団員として演技の経験を積みました。

 

1971年、ロンドンに渡ったアイアンズは、舞台だけでなくテレビでも活躍を始めます。そして1979年、ロシアの伝説のバレエダンサー、ニジンスキーの悲劇的な生涯を描いた映画『ニジンスキー』でついにスクリーンデビューを果たすのです。

 
小さなころから器用だったんですね
(C) Jeff Vespa/WireImage.com
堂々!受賞暦の数々

 その後、1981年には『フランス軍中尉の女』でメリル・ストリープの相手という大役を演じ、一躍世界の注目を集めます。それを皮切りにアイアンズの活躍は勢いを増し、同年、TVシリーズ『華麗なる貴族』への出演で、英アカデミーやエミー賞を受賞するという快挙を成し遂げます。

 

1983年にグレン・クローズと共演したブロードウェイミュージカル『Real Thing』(原題)でトニー賞を受賞と、快進撃はとどまるところ知らず。そして1985年には、自らカーリー・サイモンのミュージックビデオを監督するという多才ぶり。歌がヒットしなかったにもかかわらず、その時代に合った作風は評判を呼びました。それ以降彼は、音楽関係の活動にも精力的に関わっていきます。

 

役者としては、デヴィッド・クローネンバーグ監督のサイコ・スリラー『戦慄の絆』(1988年)での、双子の産婦人科医の見事な一人二役でNY批評家協会賞男優賞を受賞、また、妻の殺害を企てた罪で告訴された実在の人物を描いた問題作『運命の逆転』(1990年)での神がかった演技が評価され、アカデミー主演男優賞を受賞するなど、「演技派」俳優として確かな実績を手にしていきます。

 
いたるところで賞を総ナメ!
(C) Jeffrey Mayer/WireImage.com
社会派の一面も

 私生活では、女優のジュリー・ホールマンと結婚し離婚。1978年には、後にベルナルド・ベルドリッチ監督の『魅せられて』(1996)で共演することになる、女優のシニード・キューザックと再婚しており、現在では2人の子どもの父親でもあります。

 

社会的には、いくつもの慈善団体の後援者となっていたり、アイルランドに城を所有している関係で地方政治に関与している、などという、活動家の一面も持っています。そんな彼は、1991年のトニー賞授賞式に、当時活動が開始されたばかりだった、エイズ患者支援キャンペーンの象徴である「レッドリボン」を身につけて出席したという、数少ない著名人のひとりだったのでした。

家族でお目見え。息子も父親ゆずりのイ・ケ・メ・ンです
(C) Tony Barson/WireImage.com
さすがの御大!リンチワールドにもシックリ

 デヴィッド・クローネンバーグやベルナルド・ベルトルッチなど、癖のある監督の作品のなかでも数々の名演を残しているアイアンズ。彼の最新出演作『インランド・エンパイア』は、なんとあのデヴィッド・リンチ監督作品です。

 

『インランド・エンパイア』でアイアンズが演じるのは、主演の2人が殺害されたことで撮影が中断されていた、いわくつきの作品を撮ろうとする映画監督の役です。ジャスティン・セロー、ハリー・ディーン・スタントン、ウィリアム・H・メイシーといった豪華キャストの中で、ひときわリンチワールドになじんで、その世界観を増幅させるアイアンズの謎めいた貫禄の魅力的なこと。

 

欧米では、そのクールなダンディぶりが中年男性のあこがれの的になっているそうですが、今後も、世代や国境を超えて、いぶし銀の魅力にとりつかれるファン層は拡大していくことでしょう!

『インランド・エンパイア』(2006)
(C) 2006 BY INLAND EMPIRE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
文・構成:シネマトゥデイ編集部

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