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竹内結子
『クローズド・ノート』
偶然の出会いが3回続いたら、何かが始まるかも……
『クローズド・ノート』竹内結子 単独インタビュー

取材・文:平野敦子 写真:亀岡周一

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女優としてめざましい成長を遂げている竹内結子が、雫井脩介原作の人気恋愛小説の映画化『クローズド・ノート』で新任の小学校教諭役を熱演した。竹内は理想の教師“伊吹先生”であると同時に仕事で悩み、恋に傷つき、その抱えきれない思いを日記につづる等身大の女性をさわやかに演じ切った。36人の個性的な生徒たちとの共演や、万年筆で文字を書く喜び、“伊吹先生”の不器用な恋に対する思いなどを楽しそうに話してくれた。

■女の子たちのおませな質問にタジタジ

Q:今回“伊吹先生”という小学校の先生を演じられた感想を聞かせてください。

台本を読んで「こういう先生に会いたかった、こういう先生に会ってみたい」というイメージを膨らませながら演じていました。生徒たち全員の前でわたしが自己紹介をしているシーンを撮影している現場で、その生徒たちがわたしを見ているのを感じました。この子たち(36人)を一年間、わたしが背負うことになるんだと、学校の先生という責任の重大さを、わずかながらもひしひしと感じました。

Q:36人の生徒たちとの共演は大変ではなかったですか?

生徒たちもみんなプロの俳優ですから助監督の言うこともよく聞くし、それでいてみんなの目は生き生きとしているし、特に苦労したということはないですね。女の子たちは撮影の合間に「竹内さん、お化粧って何分ぐらいかかるんですか?」とか、「キスシーンっていうのは、本当にするんですか?」とか大人びた質問を投げかけてきました(笑)。

Q:この映画では伊吹先生の自筆の日記が重要な役割を果たしますが、メールが主流の今、万年筆で文章を書かれることはあるのでしょうか?

この映画をきっかけにわたしも万年筆を持ちました。1本は監督からプレゼントしていただいて、もう1本は自分で選びました。書いてみると硬いような柔らかいような、何とも言えない質感で文字が書けるんですが、インクで書く分、一度書いた物を消したり修正ペンを入れたりができないので、そのときそのときの思いのがそのまま紙に表れるというか……。正直、わたしは字を書くのが上手ではないのですが、それさえも何かしらいい味になることに気が付きました(笑)。万年筆を持って、じっくり長く付き合うのはいいことだと思いました。

Q:最近、手紙を書くことはありますか?

スタッフの方に何かいただき物をしたときなどは、ちょっとしたメッセージを書くことはありますね。万年筆を買って初めて、字を書く楽しみが芽生えました。

■偶然という“縁”について

Q:子どもたちにとっては理想的な教師の伊吹先生も自分の恋には不器用で、もどかしく思われませんでしたか?

わたし自身伊吹先生に「がんばって!」と思うところもあったんですが、“先生”という、わたしにとっては見上げてしまう存在の人でも、思いがなかなか相手に伝わらずもどかしく思ったり、仕事の事で悩んだりする一人の人間なんだというところに親近感を覚えました。

Q:逆に沢尻エリカさん演じる“香恵”は、思い込んだらひたすらまっすぐに突き進んで行くタイプです。ご自分はどちらのタイプだと思われますか?

う~ん……。伊吹先生ほどじーっと待つこともできないし、かといって香恵ちゃんのようにどんどんいっちゃうってこともできないし。でも、伊吹先生のノートを読んで励まされる香恵ちゃんがいるとすれば、もしかしたらわたしにも伊吹先生のノートのようなものがあれば積極的になれるかもしれませんね(笑)! わたしはチャンスが来たことにすら気が付かないかも知れません(笑)。

Q:この映画で描かれる“めぐり会いの奇跡”も、チャンスの一つだと思いますか?

随分前に、本当に縁がある人とは約束をしなくても3回偶然会うという話を聞いたことがあります。もし何の約束もつながりもない状態で、3回同じように偶然会う人がいたらきっと何かが始まるのかな……と。ヒロインの香恵ちゃんにしても出会いの瞬間は偶然だったのかもしれないけれど、それをつかむということに前向きな女の子だし、そういう風に行動しなれば、チャンスを逃してしまうのかもしれませんね。

■心の力を感じる瞬間

Q:伊吹先生は心の力という言葉を生徒たちに託しますが、最近、心の力を感じた瞬間はありますか?

雫井さんの原作を読んでいて「こういう先生っていいな。会ってみたいな」と思っていたら、「クローズド・ノート」が映画化になりますが、伊吹先生役でオファーが来ていますよと。『おおおっ!』と思いましたね(笑)。いいな、伊吹先生って思っていたら役が回ってきたので、もしかしたらそれもある意味、“心の力”かもしれませんね。後はマネージャーと一緒にご飯を食べていて、ふと『お醤油が要るかな?』と差し出したら『あ、ナイスタイミングです!』みたいな何気ない瞬間とか(笑)。

Q:竹内さんのお気に入りのシーンを教えていただけますか?

香恵ちゃんがエプロン姿でお手製のミートボール“パワーボール”を作っているシーンですね。「ああやって誰かにお弁当を作ってもらいたいな、いいなぁ~」とちょっとニコニコしながら見てしまいました(笑)。あとうらやましいという意味では劇中で流れるVシネ・スターの“夏目涼”のシーンですね。監督とスタッフが血のりや拳銃などを準備しながら楽しそうにしているのを見て「いいなぁ~、うらやましいな~」と思いました。本編とはまったくテイストが違うものを物語の中に盛り込むという企画も面白いですよね。そのシーンの撮影がある日は、監督もスタッフもやんちゃな男の子に戻ったようで楽しそうでした。

Q:撮影中、心に残ったエピソードがあれば教えてください。

自分のクランクアップが合唱コンクールのシーンで、「竹内結子さんクランクアップです、お疲れ様でした!」と声をかけていただいたときに生徒たちが壇上で整列して大きな声で「ありがとうございました!」って言ってくれたのを聞いた瞬間に、何だかうれしくて泣けましたね。「あぁ、いい子たちだったなぁ……」とジーンときてしまって。もしかしたら先生という職業の醍醐味(だいごみ)って、みんなの気持ちが家族のようにつながることができた後で、じゃぁねって言えるようなことなのかなと感じました。

Q:最後にファンの方々に一言お願いします。

今回『クローズド・ノート』という映画で伊吹という役を演じています。誰かを思い続けるという気持ちを後押しさせるような力がある作品です。純粋に誰かを思い、その気持ちがまた誰かのエネルギーになる。そう思えるきっかけがこの作品であればうれしいです。観終えた後に、皆さん一人一人にある“心の力”がどんなものかを確かめに、ぜひ、劇場まで足を運んでやってください。よろしくお願いします。

一見、はかなげな風情の竹内だが、実はよく笑い、ハキハキとしゃべるさわやかな女性だった。取材現場に入って来るなり「竹内です、よろしくお願いいたします!」との元気な言葉で、その場の空気を一気に明るくした。そんなチャーミングな彼女が“心の力”で手にした念願の““伊吹先生”役を全身全霊で演じ、“めぐり会いの奇跡”で出会った共演の子どもたちとともに、より一層スクリーンでキラキラと美しく、楽しそうに輝く姿をぜひとも多くの人に観てもらいたい。

『クローズド・ノート』は9月29日より全国公開

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