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今週のクローズアップ マイノリティーな愛を描く映画

週末に公開される話題の映画の中から、気になる作品をご紹介します。今週は、11月10日公開の『超立体映画 ゾンビ3D』をクローズアップします。ゾンビ映画は数知れませんが、そのルーツは一体どこにあるのでしょう? 今回は、おなじみのモンスター“ゾンビ”の謎に迫ってみましょう。

ゾンビって一体何?

 映画をはじめ、マンガやゲームでもすっかりおなじみの怪物“ゾンビ”。現代においては、“ゾンビ”といえば多くの人が“生けるしかばね”をイメージするのではないでしょうか。人間を襲い肉を食らう腐った死体は、今やホラー界のみならず、コメディー界にも引っ張りだこの花形スターです。そんな人気キャラクターとして怪物界に名をとどろかせる“ゾンビ”ですが、そもそも“ゾンビ”とは一体何者なのでしょう。

 現在ホラー界の重鎮として認識されている“ゾンビ”の起源は、ハイチや西アフリカ、そしてアメリカのニューオーリンズなどの民間で信仰されている、ブードゥー教にあります。この信仰には「一度死んだ人間をよみがえらせ、意のままに操る」という教義があり、そうして“よみがえった”人間のことをゾンビと呼ぶのだそうです。“死者がよみがえる”謎の仕掛けについては、薬物などを用いて人間が一度死んで生き返ったように見せる、などの諸説があります。ゾンビのオリジナルは「腐乱死体が人間を襲う!」というような恐ろしいモンスターだったのではなく、人間に操られる奴隷的存在の人間そのものだったのです。

 

Gareth Cattermole / Getty Images
ゾンビだョ!全員集合

『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』

 ゾンビが初めて映画に登場したのは、1932年、ヴィクター・ハルぺリン監督の『恐怖城』(別題:『ホワイト・ゾンビ』/『ベラ・ルゴシの ホワイト・ゾンビ』)という作品です。このとき登場した“ゾンビ”は、いわゆる生けるしかばねのモンスター“ゾンビ”ではなく、悪い魔術師に操られる前述したようなブードゥー式のゾンビでした。では、現在認識  されているようなゾンビは、一体いつ生まれ、現在の地位を得るに至ったのでしょうか。

 1968年、ホラー映画の巨匠として名高いジョージ・A・ロメロが監督を務めた1本の映画が公開されました。現在ではニューヨーク近代美術館にフィルムが所蔵され、クラシック・ホラーの金字塔として崇められているこの作品こそが、ゾンビ映画の草分け的存在と言われている『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』です。この映画に出てくるモンスターは、腐乱した肉体をふらつかせながら人間たちを襲い、その肉をうまそうにむさぼります。また襲われた人間は同じ怪物になってしまう、という吸血鬼のような特性も見られます。

 映画全体を覆う濃厚なカニバリズムや、モラルに反した衝撃のラストシーンなど、当時のタブーに迫ったこの作品は、物議をかもしながらもロングランを記録しました。そしてこのセンセーショナルなモンスターは一躍人々の間に浸透し、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』は、その後いくつも作られることになる“ゾンビ”映画の先駆けとなるのです。

 

Pictorial Parade / Hulton Archive
『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』(1968)

恐るべし ゾンビの遺伝子

 『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』以降も、ロメロ監督によって、『ゾンビ』(1978年)、『死霊のえじき』(1985年)というゾンビ映画が作られます。この3本はロメロの“ゾンビ3部作”と呼ばれ、これを基に多くのリメークやパロディー作品が作られていき、ホラーというジャンルの中に“ゾンビ”というさらなるジャンルが確立されるに至ったのです。


 そういえば、ロメロの描くゾンビたちはみな動きが鈍く、ヨタヨタ、トボトボ、じれったいほどのん気に歩きます。そのせいで、落ち着いて対処すれば何とか逃げ切れるという安心感が、映画の中にそこはかとなく漂っているように思えます。何しろ、ロメロの作品の主人公たちを最終的に脅かす敵はゾンビそのものではなく、人間だとも言えるので、ゾンビに対する緊張感は多少薄いと言えなくもないのです。しかしゾンビの子孫の中には、そんな安心感を覆すべくスクスクと進化してしまった優秀な(?)子どもたちもいます。

 『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』で描かれた出来事が事実だったという設定で、間接的な続編として1985年に作られた、ダン・オバノン監督の『バタリアン』という作品。これには何と、俊足のゾンビが出てくるのだから、恐ろしいったらありゃしない! それだけでなく、苦手なはずの炎も怖がってくれなければ、弱みであるはずの頭を破壊してもくたばらないのです。ゾンビの足が速くなったらまったく世も末、とてもじゃないが太刀打ちできません!ちなみに、一時期の流行語「オバタリアン」の語源にもなったこの作品、実は笑えるコメディー・タッチのホラーです。

Kevin Winter / Getty Images
ジョージ・A・ロメロ

『超立体映画 ゾンビ3D』

 今月の10日から公開される『超立体映画 ゾンビ3D』(ジェフ・ブロードストリート監督)では、ついにゾンビの世界がスクリーンから飛び出します!『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』の世界を再構築し3D作品に仕上げたのがこの作品です。

 叔母の埋葬に向かう途中、道に迷ったバーブとジョニーの兄妹。夕暮れになって目的地の墓地にたどりついた彼らが目にした光景は、墓からよみがえった死者がゾンビと化し、人肉を食らうという世にも恐ろしい光景だった……! 

 突然墓場にゾンビが現れるというオープニングはオリジナル版と一緒です。あのシーンを立体で体験できるなんて、オリジナルのファンにとっては夢のような話ですよね。そのあとに続く不思議な空気感にも乞うご期待! またこの作品は、アトラクションとしてスリルを与えてくれるだけでなく、当時の世相を反映させた1968年のオリジナル版が批評性を持っていたように、現代社会への批判に満ちてもいます。そんな部分から読み取れるさまざまな事情が増幅させる恐怖も。オリジナル版への、バイカル湖より深く澄んだ愛、ピナツボ火山より熱く煮えたぎるオマージュの念が築き上げてしまった新感覚のゾンビワールド、『超立体映画 ゾンビ3D』。2007年現在、最新最恐3Dワールド在住のゾンビたちは、必ずや世界中のゾンビファンたちの血を沸かせ、肉躍らせることになるでしょう!

『超立体映画 ゾンビ3D』(2007)

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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